著者:平松茂雄
発行:講談社インターナショナル / 2006年3月 / 単行本
ジャンル:日中関係
衝撃的なタイトルですが、ある程度日中関係の本質を学習している方なら、ご存じの内容ばかりだと思います。
それでも、新聞や週刊誌などでは断片的にしかわからない、中日関係の本質を知るには、よくまとまっていて良い本だと感じました。
<目次>
序章 動き始めた「日本併合」に向けた中国のシナリオ
第1章 知らないうちに格段に進んだ中国の軍事力
第2章 東シナ海資源開発に隠された中国の真意
第3章 中国の「他国侵略」の歴史
第4章 日本は海からの侵略に耐えられるか
第5章 2010年、日本の運命の行方
おわりに
2006年の発行ですから、最終章は2010年について書かれていますが、
実際は、2010年からの中国の動きと捉えていいのでしょうか。
気になった個所のご紹介です。
「(中国とは)有限のパイをどう配分すれば一番効果があるかという国家戦略を立て、ある時点に、ある領域に重点的にパイを投入してきた国なのだ。」(24頁)
「この弱さを克服するために、まず日本は将来に耐える国家目標を設定し、各分野を国家戦略のもとに有機的に統合していくことはもちろんとして、そのためには軍事力は国家の根幹をなす要素であることを、日本国民はそろそろしっかりと自覚すべきである。」(25頁)
→国防にしろ経済にしろ、長期的な国家目標というものが、今の日本の政治家に持つことができないのでしょうか。
「(しかし)永世中立とは戦時国際法において、有事の際にいかなる国の力も頼まない、いかなる国も排除する責任を持つというごく基礎的な知識と、それゆえに一国で自国を防衛するに足る強い軍事力の裏付けが必要だという基本的な理解が多くの日本人に欠落していたのである。」(26頁)
→スイスという国に対する日本人の持つ夢想を、見事に論破しています。
「ここには、地球という小惑星には中国という一つの大国しか存立しないという中華思想の考え方が根底に認められる。「中原の地」にある自国を中心として、それより外の地域を野蛮人の住む「化外の地」と見なし、山東半島や朝鮮半島を東夷(とうい)、長江以南を南蛮、陝西(せんせい)省から西の寧夏、チベット、新疆を西戎(せいじゅう)、長城以北の満州や蒙古を北狄(ほくてき)と呼び、中国より文化程度の低い野蛮人の住む土地として、それらの地域を軍事力と政治力と文化力で同化吸収していった。」(70頁)
「(このように)中国は東シナ海のすべての海域の調査を終えている。おそらく北京オリンピックの終わった2010年代に入ると、中国は日本側海域で本格的な石油資源の開発に着手すると思われる。」(104頁)
「一般に中国人、少なくとも現在の中国を支配している中共指導者には、現在の中国の国境線を自国の主権の及ぶ領域、すなわち領土の限界とは見ておらず、中国が過去において支配した地域が「中国の領土」あるいは「中国の版図」であるという意識が強く存在するようである。」
→台湾はもちろん、沖縄もこの論理から見ると、彼らの領土となるということです。以下に続きます。
「だがここで指摘されている中国が奪われた領土の中には、琉球、ビルマ、ブータン、ネパールなど、アヘン戦争以後の歴史とは関係のない地域が含まれている。ここには、中国人の中にある「中華世界」、すなわち過去に支配した地域は「中国」という「中華意識」が反映されている。」(115頁)
「もともと中国語には、ヨーロッパ的な意味の国境という言葉はない。中国の同化力の及ぶ範囲が「世界」であり、そこから外は「世界」の中に入れなかった。中国という「小惑星には中国という一つの大国しか存在しないという考え方」が、東アジアでは数千年にもわたって存在してきたのである。」(116頁)
「西太平洋へ進出、潜水艦の展開、機雷の敷設、また海南島の潜水艦基地、上空の聖域化と、中国が途方もない労力を費やして、着々と進めているのは、まずは台湾の軍事統一という目的のためである。」(170頁)
→先日の台湾の総統選挙の結果は皆さんご存じのとおりですが、これは中国による台湾統一を目指した懐柔策が徐々に浸透してきているといえるでしょう。
「もし中国が台湾を統一できれば、中国は太平洋に面した国になる。しかも台湾海峡・バシー海峡という日本のシーレーンの、重要な拠点を押さえたことになる。」(175頁)
「「安全保障における日台の連携は可能か」ではなく、「連携をせざるをえなくなる」状況に、日本と台湾は置かれているという現実を見据えなければならないのである。」(183頁)
「有人飛行船の打ち上げ成功は、ミサイル誘導技術の向上を意味し、ミサイル技術はすなわち核兵器の運搬手段であることから、中国からミサイル技術が流出すれば、核拡散の危険性も高まることになる。」(188頁)
→ミサイル技術の流出が、仮に「北」に流れるとしたら? ・・・あとはご想像にお任せします。
「日本政府は中国に対して、1979年から2004年までに3兆3千億円、民間援助も合わせると、総計6兆円を超える援助を供与してきた。この時期は中国の宇宙と深海への拡大、「戦略的辺疆」を拡大させていく時期と符合する。」(192頁)
→その全てではないにしても、何に使われたかは、わかりますよね?
「中国の現実と将来予想は、建国以来の歩みを理解してのみ正解を得ることができる。中国は、経済一辺倒で進んできた戦後の日本とは違い、明確な国家目標を掲げ、それを具体化する国家戦略を持ち、主として核ミサイル開発、宇宙空間、海洋開発の三つの領域において、国家の財源、物的資源、人的資源の総力を投入して発展してきた国なのである。」(203頁)
「アジア諸国から反感を買っているという自己評価を日本は下しているようだが、それは中国、韓国を中心とする一部の声である、日本の経済力、科学技術力などの力に期待し、日本に対して信頼を寄せる国も多くあるのである。中国という国に対する正しい評価をするには、まず自国についての正しい評価をすることが必要である。」(208頁)
以上、この本のご紹介でした。
手に取って損のない1冊といえるでしょう。
中国は日本を併合する/平松 茂雄

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