about 税金 12.特別会計(地震再保険特別会計)
続いて2番目。地震再保険特別会計について 阪神大震災以降も(もちろんその前からですが)大きな地震が日本全国で発生しています。日本は世界有数の地震大国です。 この特別会計については、昨年度の事業仕分けで枠組みあり方としては特別会計の廃止検討。ただし、保険契約者の安心を損なわない事を大前提に国以外への主体移管ついて、国が政府保証等で関与することを条件に具体的制度が可能か、それによって特別会計の廃止が可能かにつき早急に検討する。となっています。資金のあり方についても、明確な基準の中で必要な積立金を確保するようにと、何とも宙ぶらりんの状態です。 ところで、地震保険、聞き慣れない方もいるかもしれません。地震保険は住宅などの火災保険の加入の時に一緒に加入できる損害保険です。地震保険単独の加入は出来ないシステムになっています。大正12年関東大震災や昭和39年の新潟地震の場合などで、火災保険は罹災者救済策として役立ちませんでした。そこで地震保険の創設に対する社会的要望が高まり、昭和41年から地震保険に関する法律と地震再保険特別会計法が施行されることになり、地震保険が実現しました。この地震再保険特別会計地震保険に関する法律に基づき、民間保険会社の地震保険に対しての政府再保険事業を経理するものです。民間損保保険各社が出資して設立した、日本地震再保険株式会社という会社があります。民間の地震保険(任意)は損保保険であるから、地震の規模によっては支払い保険料が膨大となることが予想されます。地震保険は、一定規模以上の支払保険金が生じた場合、損害保険会社が支払う保険金の一部を政府が負担する再保険制度が導入されています。しかし、地震等によってどのような巨大損害が発生するか予測できないという地震災害の特異性から、1回の地震等によって損害保険会社全社が支払う保険金には限度額(総支払限度額)が設けられており、5 兆 5,000 億円(平成 23 年 5 月現在)と定められています。この総支払限度額は、関東大震災級の地震が発生しても保険金の支払いに支障のないように決定されています。万一、算出された保険金の総額が総支払限度額を超える場合、契約ごとに支払われる保険金は次の算式により削減されることがあります。 損害保険会社と政府の間では、超過損害額再保険方式(1回の地震等による支払が一定の額を超える 場合、その超過部分についての責任を負担する方式)による再保険が結ばれています。損害保険会社と政 府の責任分担は次のとおりです。 ■1,150 億円以下の場合は、損害保険会社の100%負担。 ■1,150 億円~ 8,710 億円 の場合 損保責任負担額 7,244.5 億円 (1st+2nd layer 損保責任負担額 =4,930 億円) 政府、損害保険会社とも50%づつ ■8,710 億円 ~55,000 億円 政府責任負担額 4兆7,755.5億円( 3rdlayer 損保責任負担額=2,314.5 億円 ) 損害保険会社5%、政府95% *一事故総支払限度額 5 兆 5,000 億円の場合、 (損保7,244.5億円、 政府 4 兆7,755.5 億円)となります。 この政府支払金の為に特別会計がくまれています。ある国会議員は大規模な地震災害の時に特別国債を発行して資金を調達すればよいという意見も事業仕分けの際には聞こえていました。また、いずれにせよ財源は必要なので完全に一般会計にし、融通をすればよい(どこから?)という意見も多くありました。 さて、今回の東日本大震災に置き換えて考えると、どうなのでしょう。 今回の震災に伴う地震保険の支払金額は1兆円から2兆円の間と試算されています。(12月14日時点で1兆1999億円。日本損害保険協会調べ) となると、上記の割合で行けば、損害が2兆円に至るまでは民間と政府で折半して負担し、2兆円を超えた部分については1回の震災あたり総額5兆5千億円を限度として、政府が95%、民間が5%を負担することになっています。 昭和41年の創設以来、地震保険の契約者が払い込んだ保険料を民間と政府に振り分けて積み立ててきた結果、2010年3月末時点では民間部門で約1兆円、政府に1.3兆円の準備金が積み立てられていました。 このように官民合わせて2兆円を超える準備金が用意されていたことは、今回のような震災の後でも保険金の支払いがきちんとなされると国民に安心感を与えた点で、評価すべきと思われます。(余談ですが、2010年の世界の自然災害による再保険金支払い額は4兆円に上ったそうです。) しかしながら昨年の事業仕分けでは、冒頭で記載の通り枝野議員が中心として、政府部門の「地震再保険特別会計」を廃止すべきとの評定がなされていました。(もちろん地震再保険を無くせということではなく、財務省の特別会計から民間に移管すべき、との評定であったようですが)。 確かに、一般的に特別会計の中には省庁の既得権益維持と無駄に繋がっているものも少なくないかも知れません、しかしことにこの地震再保険についていえば、1.3兆円の積立金は保険金支払いという明確に限定された使途のために存在するものであり、恣意的に使う余地が極めて少ないように感じます。運営にかかわる費用に関する会計も比較的明朗ではないでしょうか。資産とともに負債を減らしたところで、財政が改善する訳でもありません。また、日本地震再保険という一つの民間組織に国民の地震保険に備えるすべての準備金を置いてしまうよりは分けて持っておいた方が安全のように思えます。 多分、事業仕分けの時に反対!という意見があったのは地震保険の再保険のトップに財務省のOBが天下っているのではという別の意味での「反対」意見もあるのでしょう。地震災害による被害の規模は失火による火災などと比へて巨額に上るため、国か相応の保険責任を引き受けることで制度の構築を図っていると思うのです。 一方で、国債で損害費用を調達するというのは、今の日本の状況を考えると適切だとは思えません。と、記載すると、「財務省より?」と思われるかもしれませんが・・・。 ただ、地震保険の料率は再度検討をするべき時期に来ているように思います。