あまりの美味しさにものすごいスピードで箸が進み、あっという間に完食してしまうほど。
完食後も余韻を楽しんで、壱岐の島の一発目の食事がこの生うに丼で良かったと、大満足。これからの壱岐の島の食事が楽しみになってきた!
壱岐にもトンネルがあるんだと少しの驚きを覚えながらトンネルを抜けると、ビルが立ち並んだ町が見えてきた。昭和50年代を彷彿とさせるような佇まいに、町とはいえほっとするような感覚を覚える。
壱岐の島のバフンウニは小さいので、島の人が自宅で食べる事が多いとのこと。 なおさらバフンウニも食べてみたくなったが、仕方ない。今回は「ムラサキウニ」を堪能するとしよう。
【いよいよフェリーを降りる】
壱岐行きのフェリーの下船口近くには、すでに下船を待つ人でいっぱい。壱岐の島特有の聞きなれない方言に、島へ来たのだという思いが強くなる。
話に聞き耳をたてていると、どうやら牛を飼っていて、その牛についての話をしているようだ。
そういえば壱岐牛の事は知人に聞いて知っていた。
なんでも歴史ある黒毛和牛で、美味しさは他のブランド牛に劣らないと興奮気味に話す知人の様子から、美味しいのは間違いなさそうだと感じた。いつか食べてみたいものだと思っていたのだ。今回の旅の食事のメインとなりそうな期待が膨らむ。
そうこうしているとフェリーが着岸した。下船口を抜ける時に、切符を渡さないといけないらしく、ちょっと手間取ってしまった。旅慣れしていない感じでちょっと恥ずかしい。
【壱岐の島へ上陸!】
とうとう島に上陸!空気が美味しい気がするのは、穏やかな日差しと真っ青な空のせいだけではなさそうだ。
思いつきで出発した壱岐旅行。泊まる民宿だけは予約していたが、それまでの壱岐の島の過ごし方を考えていなかった。
自然が豊かなのは見聞きしていたので、自然を身体で感じるのもいいだろう。
そんなことを思っていたら、私の宿泊予定の民宿の看板を掲げている男性が。
話かけてみると、なんでも民宿までの送迎だという。
宿泊予定の民宿の近辺には飲食店がなく、昼食をとるなら、途中下車でレストランへも立ち寄れるという事だ。
船酔いで昼食はとれない場合もあるだろう、と思っていたので、何も考えていなかったが、とても穏やかな海だったし、なにより島の空気の美味しさで胃袋まで刺激されてしまったようだ。腹の虫が鳴ったので、その話に便乗することにした。
旅行びよりの快晴に恵まれ、長崎県の離島のひとつ、「壱岐島」へフェリーは快調に進む。
とはいっても、長崎県の離島に行くのに、長崎から出発したわけではない。
福岡市博多区の「ベイサイドプレイス博多埠頭」から、フェリーで行けるのだ。
フェリーだと、約2時間20分。超高速艇「ジェットフォイル」だと、1時間10分で着くというのは、意外だろう。
この他、佐賀県の唐津からもフェリーが出ており、こちらは約1時間40分。佐賀県や長崎県の方はこちらを利用するのもいいだろう。
この日は好天に恵まれ、波も全くなく、船に乗っている事も忘れるほど。
巨大なフェリーのエンジン音とかすかな振動が心地良い。
船室に入ると、カーペット敷きの部屋になっており、地元の島人だろう人たちですでにいっぱい。なぜなら、みんな「雑魚寝(ざこね)」しているから。
なるほど、意外と近い島とはいえ、2時間20分も船の中にいるのだからさすがに座ってばかりではきつくなる。船旅に慣れた人たちの経験則に合わせてみる気持ちになった。
フェリーの心地良いエンジンの振動に誘われ、いつのまにか眠りについてしまった。
12時をすぎた頃、船内アナウンスが。
どうやらあと少しで島に着くらしい。うたた寝のつもりがあっという間に到着で、拍子抜けするほど。フェリーの甲板から写真を撮り損なったのが悔やまれる。あわてて甲板に駆け上がると、壱岐の島の全体像がパノラマで広がった。
司馬遼太郎の「 街道をゆく 13 壱岐・対馬の道 (朝日文庫) 」に記してあったように、まさに「カレー皿を伏せておいたようなまっ平らな」島の形。
対馬は男性的な島、壱岐は女性的な島と言われるのもうなずける佇まいだ。
さて、旅慣れた島人達が支度を始めたようだ。私も下船の準備をするとしよう。
ちょうどお腹も空いてきた。無計画なこの旅のはじめの食事は何にしようか?