かなりおもしろかったです(あくまで個人の主観ですが・・・)。
おもしろかったといってもちっとも笑う場面はありません。逆に背筋が凍るような場面がたくさん出てきます。まさしく、原題の「GOYA'S GHOSTS」って感じです(といってもホラー映画じゃないですよ)。
ハビエル・バルデムとナタリー・ポートマンがキャスティングされてるってだけでワクワクしますが、期待を裏切らない質の高い作品だと思いました。
舞台は18世紀末、スペインのマドリード。宮廷画家として頂点を極めたゴヤが見た明と暗、異端審問や内政不安を五感を研ぎ澄まし、キャンバスの上で表現していきます。そして、裕福な商人の娘イネス(ナタリー・ポートマン)と修道士のロレンソ神父(ハビエル・バルデム)の2人の肖像画を描くことになるゴヤは、その後の2人の人生に深く関わっていくことになります。
この2枚の肖像画は、その後の3人の数奇な運命を象徴することになりとても印象的でした。
監督はミロス・フォアマン。『カッコーの巣の上で』、『アマデウス』で2度のアカデミー賞を受賞している腕はダテじゃないですね。
キャストは言うまでも無く、ハビエル・バルデム。あのド迫力な存在感、威圧感は見る者を釘付けにします。それにナタリー・ポートマン。二役あり、真逆の人生ありと幅広く難しい役どころを見事に演じきっています。
タイトルにはゴヤという名前があるのにゴヤ役のステラン・スカルスガルドはどこか控えめに見えたのはハビエルとナタリーの強烈な個性のせいでしょうか。そういう部分を実に上手く演出しているところが監督ミロス・フォアマンの真骨頂ともいううべき部分なんでしょうね。
それにしても、『ノーカントリー』のときも今回もですが、ハビエルが出てくる場面は異様な空気感が漂っていて、時に恐怖に背筋が凍る感覚を覚えたりします。特に最後は身震いします。
スペインでは頂点を極めるような画家であったゴヤが、宮廷の華やかな作品を製作する一方で、貧困や暗く混沌とした世をあるときは皮肉を込め怒りを込めメッセージを込めて作り出された作品は物凄い集約されたエネルギーを感じました。映画のオープニングとエンディングに実際のゴヤの作品がバックで映し出されますが、絵の持つ力をまざまざと感じます。
正直、ゴヤというと有名な「巨人」くらいしか知りませんでした。しかも宮廷画家ということすら知らず、まったくの知識の無さに情けない限りです。
映画観終わった後、すぐに本屋へ駆け込みゴヤの作品集を見たのはいうまでもありません。
