Moonlight Book ~ことばと写真・心象風景~ -25ページ目

Moonlight Book ~ことばと写真・心象風景~

心に沈んでいる佇む思いを、月の光はそっと照らして掬ってくれる。本当の自分を照らす光。ことばと写真で綴る記録。
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南向きの全面ガラス張りの窓辺。

 

視界の上半分は雲のない冬の空が広がり、時々飛行機が小さく右下から左上に通る。

歩道のない道幅の狭い旧道が目の前にあり、往来には右から左に、左から右に、休日の乗用車が走っている。路面とタイヤの擦れる音、小気味よいエンジン音。

時々歩いている人の姿も見える。どこに行くんだろうか。

 

「ご自由にお飲み物を」

ドリンクディスペンサーから甘味のない熱いコーヒーを選んだ。

香り立つ白い湯気がふわりと漂い、すっとした苦みが鼻腔から頭の上に抜ける。

そして、窓越しに陽の当たる一番端のその席に、わたしは座った。

 

いつも持ち歩いているリュックから取り出したのは、黄色のノートとボールペン。

コーヒーを飲みながら、少し思案し、最初の言葉を書き記した。

「箱を持たない自由時間」

 

海に行ったり、わたしにしてはずいぶん車をに走らせていたからね。

今日はディーラーで車の点検中。

この小一時間の空気を、スマホやパソコンを使わず、ブログをアナログで書いてみたくてノートとペンで書いている。文才がないなぁ。ちょっと苦笑いをしてペンを置く。

 

何もしない、ゆっくりする。空気や音を感じるわたしがいる。

 

窓越しに陽の当たる机に斜めの光が射し込んで、ノートとペンの間に細い影が映る。

ノートの上にペン先のシルエットとわたしの指が影絵のように映り、小さい時に障子に向かって「きつね」の形や「とんび」の形を作ったことを思い出したりした。

外にある店の旗が風に揺れている。冬の太陽の暖かさはじんわりとしていて、冷えていたわたしの足先を温めてくれる。

さわさわとした音を感じる。窓を通した往来の車の走る音、室内にはほどよく軽い音量のジャズが流れ、何人かの人が話す声が心地よく、音符と絡み合っている。

ノートに少しずつ言葉を描く。ああ、いいね、こうゆう時間。

 

刺激の少ない時間を過ごしたくて「箱」スマホやパソコンや、デジタルカメラも。

一週間、ほとんど使わないですごした。

ふと生まれる「なにもしない」時間を味わい、自由でリラックスしていた。