Moonlight Book ~ことばと写真・心象風景~

Moonlight Book ~ことばと写真・心象風景~

心に沈んでいる佇む思いを、月の光はそっと照らして掬ってくれる。本当の自分を照らす光。ことばと写真で綴る記録。
撮る人であり、書く人への旅の途上。

うっすらとした朝のひかりが、カーテンにゆれた。

へやのかべに映る雨戸のかげを見ながら、ふたたびまどろむ。

秋、やすみの朝の音に、わたしは耳をかたむけた。

ねむる町のひんやりした空気をふるわせて、遠いはずの電車の音。

それは、なつかしいセカンドルームで聞こえていた、あの音がとどく。

 

やすみの日のあさごはんは、じぶんのへやでたべる。

キッチンで、何をたべようかすこし考えて、きゃべつを細くきった。

コッペのかたちの米粉パン。

まんなかに切りこみをいれて、グリルでこんがりとあたためる。

そのあいだに、ツナときゃべつとマヨネーズすこしをまぜて。

米粉パンのツナサンド、できあがった。豆乳のポタージュと。

さいごに、丸いフォルムのキントーのカップにコーヒーをドリップした。

ふわりと香りがへやにただよう。

 

だれも起きていない家はしずかで、まどから聞こえる音をひろう。

小鳥の声、ランニングしている人の足音、そしてどこかでぐずる赤子の声。

ツナサンドをほおばると「シャキ、シャキ」ときゃべつの音がした。

いい朝だなぁ。

 

用事はなにもない。ただ、歩こうとおもって外に出た。

かわいた風、そして赤銅色になったハナミズキが青空に映える。

枯れた葉を踏んで歩くと、足のうらから秋が全身にしみわたる気がした。

かさっ、かさっ。かろやかな音が風に乗って通りすぎていった。

 

大通りで、ほそいゆれる草をながめた。

長いこと気になっていたのに、名前のしらない草が道路にゆれている。

秋になり草の先には穂がたっていて、その細かな線香花火のかたちのうえに、光が差す。

つややかな光の粒が、さやさやとゆれて、それはいつまでみていても飽きなかった。

草がゆれる、草がゆれる。

 

なにかを目指さない、ぜいたくな一日。

目的も目標もない。ふらりとすごす。

そして、ひとつ、好きな草の名前を、おぼえた。

 

シナダレスズメガヤ