うっすらとした朝のひかりが、カーテンにゆれた。
へやのかべに映る雨戸のかげを見ながら、ふたたびまどろむ。
秋、やすみの朝の音に、わたしは耳をかたむけた。
ねむる町のひんやりした空気をふるわせて、遠いはずの電車の音。
それは、なつかしいセカンドルームで聞こえていた、あの音がとどく。
やすみの日のあさごはんは、じぶんのへやでたべる。
キッチンで、何をたべようかすこし考えて、きゃべつを細くきった。
コッペのかたちの米粉パン。
まんなかに切りこみをいれて、グリルでこんがりとあたためる。
そのあいだに、ツナときゃべつとマヨネーズすこしをまぜて。
米粉パンのツナサンド、できあがった。豆乳のポタージュと。
さいごに、丸いフォルムのキントーのカップにコーヒーをドリップした。
ふわりと香りがへやにただよう。
だれも起きていない家はしずかで、まどから聞こえる音をひろう。
小鳥の声、ランニングしている人の足音、そしてどこかでぐずる赤子の声。
ツナサンドをほおばると「シャキ、シャキ」ときゃべつの音がした。
いい朝だなぁ。
用事はなにもない。ただ、歩こうとおもって外に出た。
かわいた風、そして赤銅色になったハナミズキが青空に映える。
枯れた葉を踏んで歩くと、足のうらから秋が全身にしみわたる気がした。
かさっ、かさっ。かろやかな音が風に乗って通りすぎていった。
大通りで、ほそいゆれる草をながめた。
長いこと気になっていたのに、名前のしらない草が道路にゆれている。
秋になり草の先には穂がたっていて、その細かな線香花火のかたちのうえに、光が差す。
つややかな光の粒が、さやさやとゆれて、それはいつまでみていても飽きなかった。
草がゆれる、草がゆれる。
なにかを目指さない、ぜいたくな一日。
目的も目標もない。ふらりとすごす。
そして、ひとつ、好きな草の名前を、おぼえた。
シナダレスズメガヤ
