京都一日目(2)実相院門跡 | 翡翠のブログ

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京都一日目の午後は、清水寺から実相院門跡へ。

 

こちらは、これまでに1度も行ったことのないところです。京都に行ってもわりと同じあたりばかり行っていたので、少し離れた北へ。

元天台宗の寺門派の単立寺院で、住職を天皇家の血を引く方々が務められていた門跡寺院なのだそう。元々、北区の紫野にあったものが京都御所の近くに移り、さらに応仁の乱の戦火を逃れるため岩倉に移されたのだそう。

 

こちらも、そうそう行けないところ、せっかくなので特別拝観「京都「実相院門跡」皇室ゆかりの寺院で非公開エリアを執事と巡る特別拝観ツアー −行座・喫茶付き−」というものを申込みました。

 

到着し、さっそく執事さんにご案内いただきました。

御本尊の不動明王立像にお参りし、実相院門跡の歴史の話などを聞きながら寺内を巡ります。不動明王立像は、だいぶ痛んでいたのを修復されたそうで、少し和らげなお顔と姿が好きな感じ。

四脚門も客殿(本殿)も、東山天皇の中宮・承秋門院(じょうしゅうもんいん)の旧宮殿(女院御所)の一部を下賜されたもので、大宮御所の遺構なのだそうです。

波の間の『山水図襖』、つるの間の『群鶴図襖』、大玄関の『竹に虎図杉戸』『群仙図襖』、滝の間の『高士図襖』など、仏間の障壁画『四季花鳥図』など解説いただきながら拝見。色合いは退色していますが、どれも模写等でなく本物というのが驚きでした。私は特に、ご本尊の祀られた仏間の生き生き枝を伸ばした枝に、鳥たちが描かれた襖絵が素敵でした。

 

江戸時代に書かれた記録も公開されていました。日記のようなもので、「坂本竜馬」という記述があったり、当時の事件、ペリー来航などが絵図入りで描かれていて、その絵も結構上手。記述が詳しいうえに、当時、どうやら結構早く情報が伝わったらしく、それはやはり門跡寺院だったからではないかとのこと。残っている記録の数は多く、まだ全然読み解かれきっていないらしい、すごい。

 

ウェブサイトで紹介されている床に紅葉が照り映っているところも拝見しました。元々、観光タクシーの運転手さんが見つけてお客さんに案内紹介しているのを聴き、床を磨きこんで、さらに照り映るようにしたのだそう。緑もみじが、にじむように美しく映っていました。紅葉の時期には赤く映る床、上の方まで紅葉した遅めの時期に、床にもよく映りこむのですが、その時期は一瞬らしい。その写真も見せていただきました。


庭園「こころのお庭」は、庭師である御庭・植治の小川勝章氏が監修した石庭で、東日本大震災で被災した方々への追悼の意を表し、波や山を象って日本の国土に見立て、一般市民も参加して作庭したのだそうです。なかなか現代アートっぽいデザインでした。

 

さらに通常非公開の上段の間にも入り、襖絵『黄帝造船車図襖』や床の間の『帝鑑図』などを鑑賞します。やんごとなき人は、この部屋から隣の数部屋を開け放って、庭の蹴鞠を見たりしたのだろうとのことで、実際の蹴鞠も触らせていただきました。あの「光る君へ」で道長らが蹴っていた毬は、こんなだったのかなとワクワクでした。
 

中庭の奥、通常非公開の書院には、寺宝である掛け軸「後水尾天皇宸翰(しんかん)『忍』」がかかっています。ここで、門主の原敬寿氏の指導により行座を少し体験します。門主は女性の方で、優しい明るい、話しやすい方でした。行座体験の後は喫茶体験。門主から所作を教わり、でも、気楽な感じでお茶とお菓子をいただきます。お茶と共にいただく和菓子は、京菓子司「紫野源水」の「心庭」、ただし季節が変わり、次からは変わる予定だそう。

 

このときのお話が一番楽しかったです。美しい布で想定された和歌集も見せていただけました。

 

 

 

本殿の方に展示されていた日記が非常に面白かったという話をしたら、彗星も書かれている記載があること、日にちから彗星が特定できること、天文図の屏風と合わせて展示企画も考えていらっしゃるそうで、すごく心惹かれました、また来たい、見たい。また昔、京都にもオーロラが見られたそうで、その記載もあること、空が赤々と輝き、火事と間違えられたなどともあるそうで。読めたら面白そう。

 

中庭を拝見して、カエルの鳴き声などを聴き、

 

終了。おみやげとして、三十六歌仙をあしらったi限定デザインの御朱印が授与されました。加えて写真集もいただけてしまいました。

住職の方とのおしゃべりが何より楽しく、見せていただいた資料も素晴らしかったです。さすが門跡寺院と思われる静かな豪華さでした。

 

実相院の後は、宿泊ホテルで少し休憩し京都薪能を観るために、平安神宮に向かいました。

 

なお、実相院に伺う前には、岩倉でランチもしました。最初に計画していたのは、叡山電鉄岩倉駅そばの日本料理やさんがお値打ちそうで当たりを付けていたのですが、駅から電話すると「この電話番号は使われていません」と。?Googleの最終口コミが結構前だったので閉業したのかしら?と、第二候補の駅から少し離れた洋食屋へ、しかしこちらもなぜか営業日のはずが閉店。さらに岩倉駅から離れた別の洋食屋「グリルじゅんさい」へ。

 

地下鉄国際会館近くで、これなら最初から地下鉄で来たのになあ、でも、こちらの店、とーっても美味しかったです。フライが色々あって、ふだん、自分では揚げ物はしないので、クリームコロッケにしようか、それとも洋食屋ならではのハンバーグかビーフシチューか、と迷っていましたら、メニューに「スペアリブとレンズ豆の煮込み」が。豆が大好きなので、こちらを。スペアリブはトロトロ、豆はホコホコ、とっても美味しかった、選んで大成功のメニューでした。