淡交会 岡崎城二の丸能楽堂 松風 | 翡翠のブログ

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今日は、淡交会 能 松風を観に、岡崎城二の丸能楽堂へ。

 

番組
仕舞 竹生島 菊池翔子
舞囃子 天鼓 瀬戸洋子
仕舞 景清 久田勘鷗 山階 彌右衛門(やましなやえもん)
    野守 山階 彌右衛門 林本大
能解説 山階 彌右衛門
能 松風
 シテ(松風) 久田三津子
 ツレ(村雨) 梅若紀佳
 ワキ(旅僧) 飯富雅介
 間(浦人) 井上松次郎

 

物語のあらすじ:

須磨の浦を訪れた旅僧が、海女の姉妹、松風・村雨の旧跡の松に経を上げて弔い、それから塩屋に泊めてもらおうとする。そこへ月下の汐汲みを終えた二人の女が汐汲み車を引いて帰ってくる。

女たちは自分たちが在原行平(ありわらのゆきひら)の寵愛を受けた松風・村雨の霊であると告げ、行平が都に戻って亡くなり帰ってこなかったことを語る。姉の松風は、行平の形見の狩衣と烏帽子を身に付け、半狂乱となり、松を行平と思い込む。やがて夜が明け、松風は妄執に苦しむ身の供養を僧に頼み消えていく。

 

番組の「松風」は、今回初めて観ました。前半は動きがあまりない、じっくりしっとりな感じ(そして少し眠い感じ)なのですが、後半、松風が形見の衣装を着て、もの苦しく舞う辺りは感情的で、面白く引き込まれる舞台でした。松を行平と思い込む姉松風を引き留める妹村雨の行動もダイナミックですし、姉の松の木を行平と思い込む行動が「浅ましや」、妄執であるといさめながらも、姉に「待つとし聞かば帰り来ん」と詠んでくれた言葉を忘れたの?!との言葉に、そうでした、と受け入れてしまうところが、面白いような哀れなような。

 

今回、松風・村雨の姉妹を、女性の能楽師の方二人で演じておられたので、女性らしい動きや声と相まって、イメージ通りで想像しやすくも思いました。演目「二人静」も、まだ観たことがないのですが、「松風」は、松風・村雨の姉妹なので、二人静のように同一の存在ではなく、あくまで姉妹なのですが、よく合っていて、二人ともが美しくて、息もあっていてとても良かったです。

 

また松風の上演前の解説も面白かった。今回、どうして「松風」をやるのだろう?と思っていたのですが、徳川家康は大阪城で、豊臣秀吉の前で「松風」を舞ったことがあるのだそう。家康は、松風など地味目な演目を舞うことが多く、一方、秀吉は道成寺など派手な演目を舞うことが多かったと。また「松風」は「松」と「待つ」「松平」をかけて、いつかは自分が天下をとの気持ちを込めたのではとも言っておられました。さらに家康は船弁慶の義経を舞ったこともあり、通常は子役はやる役に、舞台を観た他の武将らは大笑いして受けていたけれど、秀吉だけは笑わず、それは家康のことをただものではなく感じていたからとも。こういった逸話を聴いてから舞台を観ると、徳川家康ゆかりの舞台で、ゆかりの演目と思えて、一層楽しく観られました。

 

岡崎城二の丸能楽堂には、今回初めて来ました。

 

岡崎公園の中へ。

 

ちょうど時間だったようで、時計台が開いて、からくり人形が能を舞っていました。

 

会場の二の丸能舞台へ。

 

これまで観たことがある野外の薪能の舞台と違って、能の舞台はしっかり常設の建物があり、屋根もあります。しかし客席は一番後ろの席に屋根があるだけで、それ以外は屋根のない屋外コロッセウム、屋外オペラ場のような席でした。

 

ちょうど昨日、今日と夏日の陽気だったので、結構暑かったです。帽子と飲料水を用意して臨みましたが、なかなか本気で暑い。あと座面は板なので石よりは固くないとはいえ、やはり固く、背もたれも無いので、帰宅後、今現在、体がしんどいです。薪能の薪用の台はあったので、薪能で月が出ていたりしたら素敵そうです。今回の演目、松風は秋の満月の夜に上演されたら雰囲気でそう。

 

岡崎公園の桜。

 

公園の藤の花。

 

せっかく岡崎に行ったので、能楽堂に行く前に松應寺へ。

 

こちらには白い白藤の花が藤棚に咲いていました。

 

岡崎公園の中には土産・特産品の店がありました。これまでに何度か食べたことのある手風琴のパイの備前屋が岡崎の店とは知りませんでした。徳川の武具入れの箱をかたどった箱入りです。

 

藤の花が描かれた紙風船も入っていました。