源氏物語 二十三帖 初音 | 翡翠のブログ

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源氏物語 二十三帖 初音

 

新春の六条院。旧暦なので現代の2月ころか?院の春の町は梅の花の香り。この帖では平安のころの正月の風物、歯固め、餅鏡(鏡餅)といった文化が語られます。元旦の夕方、光源氏は身づくろいして年始回りをし、女君達は前帖で配られた衣装を着て出迎えます。

 

この訪問の順は、六条院での女君らの格の順なのでしょうね。初めに紫の上を訪れ、鏡餅の前で祝い言を述べ、歌話を交わします。

次に明石の姫君の元へ。ここで述べられる「小松を引く祝いの遊び」というのがイマイチわからず。画像や説明をネットで調べました。どうやら「子の日」の遊びらしく、野に出て若菜を摘んだり、小松の根を引いて長さを競ったりした遊びらしい。この地中から抜いたのを持ち帰って庭に植えたのが門松の始まりらしいです。

明石の姫君には実母である明石の君から歌が送られます。

「年月をまつにひかれて経る人にけふ鶯の初音きかせよ」(年月を小松(姫)にひかれて過ごしてきた私に、今日の鶯の初音(姫の初便り)を聞かせてください」という、しみじみ哀れな様子に源氏は姫に返事を書かせます。

それから夏の町の花散里、玉鬘を訪れ、日のくれるころ冬の町の明石の君を訪れます。姫からの返歌に書いた切ない母心を思い、また気品ある優美な明石の君の姿に惹かれ、源氏は元旦を明石の君のところで泊まります。しかし翌朝は夜明け前に寝殿に戻り、「ついうたたねした」と紫の上に言い訳して、昼まで寝てしまいます。なんてリアルな描写、紫の上には弱いのね、やっぱり。

 

この帖のタイトルにもなっている「初音」、おめでたい春の代表とされる巻らしいです。確かに千年、万年と続く晴れやかさもありすます。名古屋の徳川美術館には「初音」の調度という道具一式が収蔵されています。三代将軍家光の長女、千代姫が数え年三歳で尾張徳川家二代光友にお嫁入りしたとき婚礼調度の一つで、意匠が『源氏物語』の「初音」の帖に因んだものです。ちなみに「胡蝶」の帖に因んだ「胡蝶の調度」もあり、それらの調度品70件が国宝に指定されています。徳川美術館に行った際に、観覧したことがあります、ほんっと!美しい!