おはようございます
先日NHKBSでオーストラリア映画「シャイン」を見ました。(今年14本目)
「音楽映画か~、いいんじゃない?」私の見る動機はそんなものでした。
『シャイン』は実在するオーストラリアのピアニスト デヴィッド・ヘルフゴット(1947~)の数奇な半生を描いた映画で、物語のほとんどは実話に基づくものです。

俳優さんの演技がうますぎるのと、デヴィッド・ヘルフゴット氏がご存命なので
まるでドキュメンタリーを見ているようでした。【ジェフリー・ラッシュが第69回アカデミー賞主演男優賞を受賞】
この映画の「軸」は何か
まず「音楽映画、あるピアニストの努力から成功の話」と思い込んでいましたが全く違いました。一言で言うと、「才能と支配、そして回復(再生)」の物語です。
① 父との関係(いちばん大事なポイント)
オーストラリアに住む、ユダヤ人の主人公デヴィッドは、幼い頃からピアノを学び、常に父に強く支配されています。父は愛情がないわけではありませんが、
息子を失う恐怖、自分の価値観への固執
によって、結果的に完全に自由を奪う存在になります。
ここで重要なのは、
「愛=正しい」ではないというテーマです。
父の愛は「重すぎる一方的な愛」なんですね。
② 天才と壊れやすさ
成長したデヴィッドは子供の頃から憧れていたラフマニノフの難曲に挑みますが、その過程で精神的に崩れていきます。(ピアノ協奏曲第三番ニ短調)
これは単に「難曲だったから」ではなく、父からのプレッシャー
自分を証明しなければならない焦り
孤独
が重なった結果です。
③ 壊れた後の人生(ここがこの映画の核心)
普通の映画なら「成功」で終わりますが、この作品は違いました。
デヴィッドは一度壊れ、10年ほど精神病院で過ごし、ピアノを触ることなく
退院後はいつも誰かに支えてもらいながら
少し風変わりな大人として生きていきます。
それでも彼は
またピアノを弾き
人と関わり
愛を受け取る
これは「完全に元に戻らなくても、人は生き直せる」というメッセージになっていますね。
④ タイトル「シャイン」の意味
「輝く」という意味ですが、これは
コンクールでの成功ではなく
完璧な演奏でもなく
👉 壊れた後でもなお光る「人間そのもの」
を指していると考えるとしっくりきますね。
⑤ わかりにくさの正体
この映画が難しく感じる理由は、時系列が飛ぶ
主人公の精神状態が不安定、明確な説明が少ないからです。
でも逆に言えば、「理屈ではなく体験として見る映画」なんですね。

父の執着が主人公の心を蝕んだことは事実です
成功への執着(=自己の崩壊)は父親に向けられたもの
そして執着を手放した後の自然な生、これはまさに
「執着が苦を生み、手放すことで安らぎに向かう」という構造になっています。
しかし仏教的なのではなく、 不完全なままの人間の救いを描いている点が現代的です。
主人公は精神病院から保証人をつけて退院できたとは言え、あきらかに常識から外れた人になってしまいました。
彼が自由にピアノを弾けるようになったことの安堵感と、明らかな精神障害の言動に、どう理解したら良いのか、どう心を寄せれば良いのか、正直私には難しかったです。
現在ご存命なのにこんな激しいドキュメンタリーのような映画をよく作れたなぁと思いました。実際ご家族からは批判もあったようです。
ただ、ピアノは『デヴィッド・ヘルフゴット』ご本人の演奏とのことで、その数々を聞くだけでも鳥肌物に感動しますよ。
この予備知識、いれた後に見た方が、理解が早いのかなと思います。
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