その1
ニノちゃんの画策。
「翔やんてさぁ・・・ホントに相葉さんのこと好きなんだ」
ギョッとした顔して振り向く翔ちゃんに、俺は口の端をつり上げた。
HEY×3収録後。
相葉さんにフラれた翔ちゃんは、その後も一途に彼を目で追いかけてる。
その視線に気づいちゃったら、そんな風に言わずにいられなかった。
「なななななななんで? なんでそう思うの?」
分りやすく動揺する翔ちゃんに、
「なんでって(笑) そう思わないのは相葉さんだけじゃない?」
同情するようにそう言って彼の肩を叩いた。
「別に・・・好きって、メンバーとしてだからな」
強がる翔ちゃんが可愛くて、俺は無言で何度も頷いた。
「ちょ・・その同情した目、ヤメテ?」
ムスっとして俺を睨む。
「ホントに、それ以上の感情はないから!」
こんな分りやすい態度をとっておきながら、自分の感情まで否定するなんて・・・
翔ちゃん・・・可愛すぎるよ・・・(笑)
コレが恋愛感情だなんて思いたくない気持ちもちょっと分るけどね。。。
でもさ、自分をごまかすのもそろそろ限界じゃない?
よし
今年の翔ちゃんの誕生日プレゼントはこれだな。
「分かってます。んじゃ、ホントにそれでいいんだね?」
俺は笑って翔ちゃんの顔を覗き込んだ。
「はぁ? どういう意味・・・?」
「あーばさん!」
キョトンとする翔ちゃんをそのままに、俺は少し離れた場所にいた相葉くんを呼んだ。
「ん? なに?」
にこやかに近づく彼に、
「今日さ、お前んち行っていい?」
いつもより近い距離感でそう尋ねた。
「今日? この後?」
「今日。この後」
翔ちゃんの視線を背中に感じて、俺はチラリと彼を振り返った。
「なんでいつもそんな急なんだよ~」
渋りながらも、相葉くんは楽しそうに笑う。
「いいじゃん。久しぶりに飯食わせてよ」
「久しぶりじゃねぇだろ!」
相葉くんの言葉に、翔ちゃんの頬がピクリと引きつる。
さすが相葉くん・・・
天然はこれだから怖いよ(笑)
「なんで俺がニノの飯を作んなきゃいけないわけ?」
「いいだろ? その代り・・・」
尚も渋る相葉さんに俺はニヤリと笑って、彼の肩を抱いて完全に翔ちゃんに背を向けた。
「友達がすげーのくれたんだ。それ、持って行くから」
「すげーのって?」
聞き返す相葉くんの耳元へ口を寄せながら、翔ちゃんへ一瞬視線を送り、
「・・・えっちなDVD」
小声でそう囁いた。
相葉くんが吹き出して、顔を赤く染める。
俺は笑って、
「な? だからいいだろ?」
身体を離して、彼の肩を叩いた。
「も~ 分かったよ」
相葉くんが赤い顔のまま、そう答えて歩き出しながら、
「あんまり遅い時間に来んなよ?」
俺を振り返ってそう言った。
「分かってるって」
俺は笑って彼に手を振る。
この会話、もはやカップルだよね(笑)
俺は込み上がって来る笑いを飲み込んで、ゆっくり翔ちゃんを振り返った。
暗く澱んだ瞳と目が合う。
俺が口の端をつり上げると、彼は無言で俺から視線を逸らせた。
その横顔は、猛烈に嫉妬してる自分と戦ってる。
待ってて
きっと翔ちゃんは自分の気持ちに気づくから
それが俺からの
誕生日プレゼント
つづく!