2008年度 アニメ界ベストヒロインは『WALL・E』のイヴたん | リュウセイグン

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なんか色々趣味について書いています。

長文多し。


ケータイだと、文章のフォント等の効果が現れない、もしくは中途半端に出る場合があります
また、色んな作品批判をも含みますのでその辺り読む際にはご了承下さい。
必ずしも全て嫌いという訳ではありません。






逢坂大河?

ランカ・リー?


何それ食えんの?


2008年どアニメベストヒロインは、イヴだ。


誰がなんと言おうとイヴなのだ!
(CV・玄田哲章)


少なくとも、俺は異論を認めないぜ!



この『アニメがすごい2009』、ウォーリーの順位は30位だそうです。



フフフ、フフフフフ……やっぱりね。
やっぱり、それが今の日本に生息するアニヲタの出した答えですか。



だが断る。



それが貴様らの答えなら、俺はこのランキングそのものを否定する。
間違っているのは世界じゃない、お前らのほうだ!




考えてもみたまえ、日本のボクサー中心で新しい団体を造って、その中で普通の一般人投票から『このボクサーがすごい』とかランキング付けをしてみたとしよう。


世界の才能を中に入れたとしても、日本国内の一般人からはマイナーだから浮かぶ瀬はない。
人気の高い内藤大助選手が一位になったとしても、ノニト・ドネアは数十位
僕は内藤選手が大好きだが、このランク付けはどうよ? という気分になること請け合いだ。
そんなランキングで評価されたと言って、一体何が誇れよう



例えば
『このラノベがすごい』はジャンルが物凄く限定されている。
だから凄いと言っても、凄すぎる作品(『マルドッゥク・スクランブル』とか)はラノベの領域を超越してしまう傾向にあるのでジャンルとして必然的に外れる。それにラノベという括り自体がほぼ日本限定と言っても過言ではない。
よって、「こっちよりこっちのが良いんじゃないの?」って程度はあるかもしれないが、それでもさほど奇妙な展開にはならない。

『このミステリーがすごい』は、評価する人自体が海外や日本の小説を読み漁るマニアが多い。
それに海外部門と国内部門で分かれているので、そういう評価が混在する事もない。


だがどうだ。
『このアニメがすごい』は結局のところ単純な人気投票、話題投票に過ぎない。
海外の優秀な作品も無視して、手前味噌な内輪の評価に終始している。
そんなランキングならこっちから願い下げだ!


と言う訳で、私は2008年最高アニメに『WALL・E』を押します(、まぁ国内作品観てないのも多いけど、上位陣のレベル観れば大体は知れる)
見返してみたが、やはり素晴らしい作品であったよ。


その一番の魅力は、主人公ウォーリーやヒロイン・イヴたんのキャラクター性の高さにあると思う。
そんな訳で今回は、イヴたんの素晴らしさをみっちり解説する事にしようじゃないか


イヴの魅力は、まず形状のシンプルさにある。白い卵形で、胴体に簡素な頭と手、足はない。
アップル社製品のようだ(実際に意識されてる)
パッと見て道具的なデザインとしてはキレイだが、日本アニメの基準において必ずしもカワイイキャラクターとは言い難い
言い難いんじゃダメじゃん……と思った奴はまだ浅い
このシンプルな形状で可愛らしさを感じさせるには、それだけキャラクター性と演出力が必要なんである。
その分、単に外見がカワイイだけではない、沸き立つような愛らしさを感じさせる事が可能だ。


イヴのデザインは所謂「萌え」というイデアっぽい観点の中でも、よりイデア的なのである。
そしてシンプルながら、表情は千差万別。
下手が使うとどうにもならんこの姿が、実力者によって最大限の力を引き出されるのだ。


さて、そんな「イヴの世界」を流れに沿って観てみよう。 





~射殺期~

さて、そんなイヴは宇宙船に乗ってやってくる。
スタイリッシュなデザインに一目惚れするウォーリー。
後を付いていき、物陰から眺める(ストーカーという概念はありません)
その時ちょっと石を蹴飛ばす音を聞きつけたイヴは……



プラズマキャノン発射



どうです、手乗りタイガーなんか目じゃないでしょう。
気絶どころかこの世から蒸発させようとしましたよ
ツンデレに於てオリンポスの頂であろう、この苛烈さから我等のイヴ物語が始まるのです。

しかしウォーリーのお伴であるG(ゴミ掃除ロボットだから仕方ない)は、そんなイヴに果敢に挑む。
もちろん一度発射されたものの、Gらしい生命力でコンタクトに成功。イヴの体表を駆け回ります。
くすぐったいのか、笑みをこぼすイヴ。こっそり見ていたウォーリーが釣られて笑うと……



連射




至高のツンデレキャラであるイヴは、そのツンぶりもまた至高なのです。
それがまた後半の隠し味なのですが。
ちなみに撃った理由は笑われたからではなく、怪しい物音だったからです。





~第一次無視期~

イヴはウォーリーをスキャンしますが、彼女の目的は地球の植物採集(物語的に推測は出来るけど、この時点では説明無し)
ロボットには興味なしとばかりに、そっぽを向いてしまいます
ガラクタで彼女の人形を造ってみたり、休眠モード時に駆け寄ろうとして落ちたりするウォーリーですが、無視。
それでも気になるウォーリーは、彼女の動きを追います。
何度も言いますがストーカーではありません
むしろ相手のが強いですからね。

ていうか、世界にたった一人の時に空から女の子が来たら……誰だって必死になるだろ?

第一次無視期のフィナーレは、イヴのブチギレです。
仕事が上手くいかないイヴは、タンカーの積み込み用磁石に引っ掛かってしまいます。
高性能な割に意外とドジッ子です
脱出しようとするけど、抜け出せない。
ここでウォーリーが……と思いきや磁石にキャノンブッ放死


更にタンカーにも銃乱射


津山村かコロンバイン高校さながらのノーフューチャーぶり
を見せつけ、哀れタンカーはドミノのように次々と倒れていき(海は干上がってる)爆発してしまいました。
この映画、ここらあたりで30分前後と言ったところですが、既に3回あまりキノコ雲が見えます(宇宙船到着、イヴキャノン初回、タンカー爆発)


ケッサクじゃないか、BF団でもここまではしない!


兎も角、流石に気落ちするイヴにウォーリーが声を掛けます。
ようやくコンタクト成功。





~弱デレ期~

二人で名前を教えあいます。
イヴと上手く発音出来ないウォーリーを面白く思うイヴ。

でも手は繋がせない。身持ちが堅いイヴ。


ここで解説しておくと、この作品での手繋ぎはとても重要な意味合いがあります。
ウォーリーの最終目標と言っても過言ではありません。


彼の一番の願いこそが、誰かと手を繋ぐ事なのです。
そんなところに砂嵐がやってきます、慌てるウォーリー。
よく分からないまま嵐に巻き込まれてしまうイヴは「ウォーリー? ウォーリー?」と不安そうな声を出します。


あれだけ凶暴だった彼女の弱い部分が、観客の心をグッと掴む。
しかしこんなのはイヴたんの魅力で言えば序の口です。
なにげにやり手のウォーリーは、イヴの腕を掴んで(繋ぐって感じではない)自らの家に逃げ込みます。


集めたコレクションにイヴキャノンを撃たれそうになったり、強く使われて壊されたり、踊りの真似で自身が吹っ飛ばされながらも、健気なウォーリーはイヴに宝物を見せ続けます。
ある宝物を見せた時、イヴに変化が生じます。
植物
これを見たイヴは自動的に植物を体内に回収し、休眠&待機モードに入ってしまいます。
せっかく仲良くなれそうだったのに……ウォーリーの受難は続きます。





~第二次無視期~

イヴの意識はないままに、ウォーリーは彼女の面倒を見続けます。
太陽電池切れじゃないかと日に当ててみたり、カミナリから守ったり、デートの真似事をしてみたり。
ウォーリーは少しの虚しさを感じながらも、彼女が回復するのを待ち続けます
そんなある日。
宇宙船が再びやってきました。イヴを連れて宇宙へ帰るつもりです。
待てい、とばかりにウォーリーは船に食いつき、甲板外部に張り付いたまま大気圏を突破しました。
宇宙船が来た時、炎に曝されても大丈夫だったウォーリーのタフネスは並大抵のものではありません
流石、700年間生き残り続けてきた猛者であります。
宇宙船は遙か遠くまで航行を続け、人類の箱船アクシオン号に到着します。
植物を発見したので船長室に連れて行かれるイヴ(未だ休眠)とそれを追うウォーリー。
船長室で漸く意識を取り戻し、植物をご開帳するイヴ。
計画ではアクシオン号自体が植物を発見次第地球に帰還する予定だったらしい。






~不機嫌期~

ところが、当の植物がありません。
イヴは故障を疑われて、修理室に連れて行かれます。
この時の不機嫌そうな表情ったらない
ブスーーーッとした顔をしています。
これがまたシンプルなデザインを効果的に用いて、非常に人間味を帯びたキャラに見せているのです。
修理室でイヴが壊されると勘違いしたウォーリーは、色んな物をぶち壊して助け出します。
それでまた騒ぎが大きくなって、二人は危険ロボットとして指名手配状態。
キレたイヴは、脱出ポッドでウォーリーを地球へ強制送還しようとします
ところがその矢先、あるロボットがポッドにあの植物を運んで来ました。




~デレ期~

ウォーリーが中に入って植物を取った……と思いきやポッド射出。
しかも自爆装置機動で、ウォーリー大ピンチ
追いかけるイヴ。

爆発

それを見たイヴは、


「だめ……だめ……」


と首を振りながら呟く!!


話はやや逸れますが、詩仙と呼ばれた李白の七言絶句に『廬山に瀑布を望む』というものがあります。
その転結部に云く、


飛流直下三千尺
疑是銀河落九天


飛流 直下 三千尺
疑うらくは是れ 銀河の九天より落つるかと



滝が三千尺もの高さを一直線に流れ、銀河から落ちてきたのかと疑わんばかりだった……と、李白らしいハッタリに満ちた詩です。


イヴはまさにかくのごとし


イヴキャノン連射やスルーを続けていたあのイヴから、客が溜めに溜めたフラストレーションをこのシーンで一気に解放。

ここから、滝が大地に落ちるかの如く、イヴのデレ化が一気に進みます


折しも銀河の九天から、とありますから李白は実のところイヴのデレぶりを予言詩にしていたのかもしれません(ねーよ


いなくなって、初めて分かる大切さ……みたいなね。
なんだかんだ言って気があったんだな~、って

ぶっ殺すぞコノヤロー!
羨ましいぞバカヤロー!



と思わずニヤニヤしてしまうシーン。
もちろんウォーリーは主人公補正で脱出していました。地球の頃の経験を生かして消化器を制御&推進ロケットとして利用していたのです。


更に植物も無事とあって、大喜びのイヴはウォーリーに抱きつきます

二人の頭に流れる電流
ウォーリーメロメロ。

その後、二人は喜びでアクシオンの周りを踊り回ります。
このシーンはとても綺麗で、見とれた人間同士が手を触れ合ってハッとする……という場面もあります。
オートメイション化されていた宇宙船内では、生身の人間同士が触れ合う事を忘れていたんですね。

ダンスが終わると、イヴはまた植物を届けに戻ろうとします。
ウォーリーには隠れてろと待機命令。ウォーリーは手を繋ごうとしますが、素知らぬ顔。
だからデレ化が進んだと言っても、この時点ではウォーリー<指令





~超デレ期~

その後、ダストシュートを登って船長室へ、船長との会話でイヴの映像記録が提出されます。
ウォーリーとの記憶。そしてミュージカルで男女が手を取り合うシーン。
イヴの心にも「誰かと手を繋ぎたい」という気持ちが芽生え、ウォーリーと全く同じように自分の手を合わせます


そして直後に自分が気付かなかった第二次無視期の中でも、健気に尽くしてくれたウォーリーの姿を彼女は見ます

このシーン狡い!

と思う程に小憎たらしいタイミング。手を繋ぎたいと思った矢先に自分に尽くしてくれた野郎の姿。

デレ期のイヴが、更に落下していきます


しかしそこに船の中枢AI「オート」がやって来て、もう地球には戻らない計画なんだ……と語り、植物を捨ててしまう。
と、イヴを追いかけダストシュートを登って来たウォーリー!


いつも一番美味しいところを攫っていく男がまたまたやって来ました


植物を渡さないウォーリーに、オートの電気ショックが炸裂!

ここで、あのイヴが悲鳴を上げる!!

基盤に電撃を喰らっては、さしものタフネスウォーリーも力を失って落下してしまいます。
続いてイヴも強制停止にされてダストシュートに。オートに抵抗する船長も軟禁状態。

イヴは幸運にもネズミロボット(?)に再起動ボタンを押されて意識を取り戻す。
しかし巨大ウォーリーみたいな「WALL・R」に圧縮されてゴミと一緒にブロック型に。
更にその後は宇宙へ廃棄される運命。
傷付いたウォーリーも隣のブロックに居ました。
イヴキャノンで周りを破壊し、ウォーリーを助け出す。
あわやエアロックが閉まりそうになりますが、ウォーリーの汚染物質(土)を追っていたお掃除ロボットが上手く挟まってくれました。
急いでウォーリーの基盤を交換しようとするイヴ。しかし旧型のものがある筈もありません。
そこへウォーリーが植物を渡す


が、彼女は植物を放り投げてしまう!!!


ここはマジでキました。
イヴ最大のデレモード。

「もう任務なんてどうでもいい、貴方の事が大切なのよ……」
みたいなな!


しかし植物を拾いに行くウォーリー。
「ダメだ……君は……任務をやり遂げて……」
みたいなな!

更に自分の基盤を示すウォーリー。
そう、地球なら換えの基盤がある!
それを悟ったイヴは植物を運ぶべく飛び出します。

ちなみに上記の会話、実際に使ってるのは単語だけで、それも「ウォーリー」「イヴ」「指令」「植物」「地球」くらいかな? しかしそれだけで上の内容みたいな気持ちがハッキリ分かる
これもまた素晴らしい手腕としか言えません。


また、当初このシーンは傷付いたイヴをウォーリーが直す……という物だったのですが、それではイヴのウォーリーに対する気持ちの変化、ウォーリーの健気さ、かっこ良さ、などが伝わってきません。
監督もそういった様々な理由から改変したそうですが、まさに炯眼
ここは作中でも屈指の名シーンになったと思います。



植物を装置に運ぶイヴ。装置に入れれば自働帰還装置が働いて地球に戻れるのです。
船長も必死の抵抗を試みます。
人間達も装置の周りに集まり始めました。
あと少し、と言うところでオートが操舵で船を傾けてしまいます。
植物が落ち、更に人間が重なる。イヴは人間を守る為に体を張ります。
更にオートが装置をしまおうとする。が、ウォーリーが体で引っ込まないように支える。
けれども、力及ばずで装置と地面に挟まれ潰れてしまう! ウォーリーの挟まっている分浮いていますが、すっかり押しつぶされて隙間は僅か。

イヴの絶叫

船長がなんとかオートを停止させ、船の操舵を戻すとイヴはウォーリーに駆け寄る。
そして植物はロボットや人間をバケツリレーしてイヴの手へ、セット完了。

アクシオン号は地球に帰還。
イヴはつくやいなや飛び出します、もちろんウォーリーの為に
ハイスペックぶりを最大限に活用し、完全に部品を入れ替える。
太陽当てるのにイヴキャノンで天井に穴を空けるのはご愛敬。


再起動したウォーリー。しかし彼は……記憶を失っていました。
よくある展開ですが、彼の場合は基盤から何から交換しまくっているので全く理に適っておる
どこかの難病乱発会社とは大違いです。


イヴは色々渡してみせるが無反応なウォーリー。
そしてイヴは彼の手を握り、抱きかかえます。
再び二人の頭に走る電流
諦めようと去ろうとした時、繋いだ右手が離れません。
「イヴァ?」
ウォーリーの記憶が戻った!
こうして二人は人類と共に、新たなるアダムとイヴとして植物を育てつつ地球再生の道を歩む事になるのです。



全部やっちゃいましたが、イヴたんの魅力ご理解頂けたでしょうか?

いとうのいぢ
が絵を描かなくても

くぎゅ
が声を当てていなくても


至高のツンデレキャラは出来る
、出来るのだ。


まだ分からない!?

ううむ、確かにそういう場合もあるかもしれません。

私の下手な文章を読んだだけでは分からないかもしれません


どうか本編を観て下さい
、買うのが一番ですがレンタルでも勿論OK。


その目で彼女を見、彼女の声を聞き、物語が終わった時、貴方は真のキャラクターの魅力とは何か……その答えの一つを得られると、私は信じています