緑間の作った卵粥を平らげ風邪薬を飲んだ後、緑間に促されて火神は再びベッドに横になった。
風邪をひいて分かった事だが、緑間は何だかんだ言って優しい男だ。
いつもツンツンしていて人を馬鹿にしているところが正直気に食わなかったが、こうやってブツブツ文句を言いながらも自分の看病をしてくれる緑間をいいヤツだと思える。
ただ不器用で素直じゃないだけのことなのだろう。
「辛くないか・・・?」
緑間は汗で額に張り付いている火神の前髪を優しく払いながら、気遣いの言葉を掛ける。
「・・・薬飲んだし、さっきより大分マシだ」
心配顔の緑間を安心させようと火神は少し笑って見せると、緑間は安堵の溜息をついた。
「お前が本調子じゃないと、こっちまで調子が狂う。だから早く治すのだよ」
「・・・ふっ、何だよそれ」
「笑うな」
緑間はそう言って、少し乱暴に火神の頬を抓った。
そして緑間の指が離れて行く前に火神はその指を捕まえ、ニカッと笑って「ありがとな」と緑間に伝えると、緑間は目を瞠り頬を赤く染めた。
「・・・無自覚なのがムカつくのだよ」
緑間は火神に聞こえるか聞こえないかの声で呟くと、スッと立ち上がり火神が寝ているベッドの端に腰を下ろして、どうしたんだと自分を見つめてくる火神の乾いた唇に自分のそれをそっと押し当てた。
火神は緑間の予想外の行動に驚きはしたが、不思議と嫌じゃなかったので、緑間が唇を離すまでじっとしていた。
「・・・人に移すと早く治ると言うだろう」
緑間は自分でもらしくない行動だと自覚しているのか、頬は勿論、耳まで赤くしている。
「今のじゃ移る気しねーけど?」
火神は不敵に笑って直ぐ傍にある緑色の瞳を見つめた。
言外に物足りないと伝えている火神自身も、内心恥ずかしくて堪らない。
緑間は頭のいい男だから、そういう意味だと直ぐに気づくだろう。
緑間がコホン、と一つ咳払いをして「止めておく」と火神から身体を離した。
火神は緑間のその言葉に何故か残念な気持ちになる。
「…一応、病人だからな。これ以上は無理なのだよ」
「その病人に、最初に手ェ出してきたのは誰だよ?」
「それは……」
火神の言葉に緑間が言い淀んで、気まずそうに火神から視線を逸らす。
いつもギラギラと不敵な輝きを見せている赤い瞳が身を潜め、熱の所為なのかとろんとした目元とらしくない言動にクラッときてしまったなんて言える筈もない。
「と、兎に角、早く治すのだよっ」
目元だけでなく耳までも赤くした緑間が可愛くて、もっと色んな表情を見てみたいと思う。
どんな事で笑うのか怒るのか悲しむのか、今までどんな努力をしてきたのか、全てを知りたい。
火神がバスケ以外に興味を持ったのは緑間が初めてかもしれない。
そろそろ帰ると言う緑間の袖を掴み、自分が寝てしまうまではここにいて欲しいと何とも女々しいお願いをしてしまう火神だったが、緑間はそれを馬鹿にするでもなく「今回だけなのだよ」と言って上げかけた腰を下ろした。
薄れゆく意識の中で感じていたのは緑間のひんやりとした掌の温度と、掌が冷たい人間の心は温かいという事だった。
風邪をひいて分かった事だが、緑間は何だかんだ言って優しい男だ。
いつもツンツンしていて人を馬鹿にしているところが正直気に食わなかったが、こうやってブツブツ文句を言いながらも自分の看病をしてくれる緑間をいいヤツだと思える。
ただ不器用で素直じゃないだけのことなのだろう。
「辛くないか・・・?」
緑間は汗で額に張り付いている火神の前髪を優しく払いながら、気遣いの言葉を掛ける。
「・・・薬飲んだし、さっきより大分マシだ」
心配顔の緑間を安心させようと火神は少し笑って見せると、緑間は安堵の溜息をついた。
「お前が本調子じゃないと、こっちまで調子が狂う。だから早く治すのだよ」
「・・・ふっ、何だよそれ」
「笑うな」
緑間はそう言って、少し乱暴に火神の頬を抓った。
そして緑間の指が離れて行く前に火神はその指を捕まえ、ニカッと笑って「ありがとな」と緑間に伝えると、緑間は目を瞠り頬を赤く染めた。
「・・・無自覚なのがムカつくのだよ」
緑間は火神に聞こえるか聞こえないかの声で呟くと、スッと立ち上がり火神が寝ているベッドの端に腰を下ろして、どうしたんだと自分を見つめてくる火神の乾いた唇に自分のそれをそっと押し当てた。
火神は緑間の予想外の行動に驚きはしたが、不思議と嫌じゃなかったので、緑間が唇を離すまでじっとしていた。
「・・・人に移すと早く治ると言うだろう」
緑間は自分でもらしくない行動だと自覚しているのか、頬は勿論、耳まで赤くしている。
「今のじゃ移る気しねーけど?」
火神は不敵に笑って直ぐ傍にある緑色の瞳を見つめた。
言外に物足りないと伝えている火神自身も、内心恥ずかしくて堪らない。
緑間は頭のいい男だから、そういう意味だと直ぐに気づくだろう。
緑間がコホン、と一つ咳払いをして「止めておく」と火神から身体を離した。
火神は緑間のその言葉に何故か残念な気持ちになる。
「…一応、病人だからな。これ以上は無理なのだよ」
「その病人に、最初に手ェ出してきたのは誰だよ?」
「それは……」
火神の言葉に緑間が言い淀んで、気まずそうに火神から視線を逸らす。
いつもギラギラと不敵な輝きを見せている赤い瞳が身を潜め、熱の所為なのかとろんとした目元とらしくない言動にクラッときてしまったなんて言える筈もない。
「と、兎に角、早く治すのだよっ」
目元だけでなく耳までも赤くした緑間が可愛くて、もっと色んな表情を見てみたいと思う。
どんな事で笑うのか怒るのか悲しむのか、今までどんな努力をしてきたのか、全てを知りたい。
火神がバスケ以外に興味を持ったのは緑間が初めてかもしれない。
そろそろ帰ると言う緑間の袖を掴み、自分が寝てしまうまではここにいて欲しいと何とも女々しいお願いをしてしまう火神だったが、緑間はそれを馬鹿にするでもなく「今回だけなのだよ」と言って上げかけた腰を下ろした。
薄れゆく意識の中で感じていたのは緑間のひんやりとした掌の温度と、掌が冷たい人間の心は温かいという事だった。
ガチャッとドアが開く音に火神は目を覚ました。
「・・・すげぇイイ匂い」
食欲をそそる香りがする方へと視線を向けると、 一人用の鍋と水が入ったガラスコップが載ったお盆を持っている緑間がいた。
宣言通り、しっかりと何か作ってきてくれたらしい。まず、香りは合格だ。
「卵粥を作ってやったのだよ」
緑間は言いながらサイドテーブルにお盆を置き、起き上がろうとする火神に手を貸してくれる。
体勢が辛くならないようにベッドボードと火神の背中の間に枕を挟んでくれて、その一連の動きがあまりにも自然で人の看病に慣れているように火神は感じた。
「・・・悪ィな。こんなことまでさせちまって」
「悪いと思っているならさっさと治すのだよ」
緑間はブツブツと文句を言いながらフローリングの床に腰を下ろし、火神が食べやすいようにと、レンゲで卵粥を掬いお椀に移していく。
「お前って料理出来るんだな」
「俺を誰だと思っている。粥程度作れて当然なのだよ」
緑間からお椀とレンゲを受け取り「頂きます」と言ってから、緑間が見守る中レンゲでお粥を掬って口へと運んだ。
「・・・うめぇ」
ぽつりと火神の口から感嘆の言葉が漏れた。
「当り前だろう」
眼鏡のブリッジを上げフッと自信満々に口角を上げた緑間の頬が少し赤くなっていて、こいつにも可愛いとこあるんだなっと火神は頬を綻ばせた。
「・・・すげぇイイ匂い」
食欲をそそる香りがする方へと視線を向けると、 一人用の鍋と水が入ったガラスコップが載ったお盆を持っている緑間がいた。
宣言通り、しっかりと何か作ってきてくれたらしい。まず、香りは合格だ。
「卵粥を作ってやったのだよ」
緑間は言いながらサイドテーブルにお盆を置き、起き上がろうとする火神に手を貸してくれる。
体勢が辛くならないようにベッドボードと火神の背中の間に枕を挟んでくれて、その一連の動きがあまりにも自然で人の看病に慣れているように火神は感じた。
「・・・悪ィな。こんなことまでさせちまって」
「悪いと思っているならさっさと治すのだよ」
緑間はブツブツと文句を言いながらフローリングの床に腰を下ろし、火神が食べやすいようにと、レンゲで卵粥を掬いお椀に移していく。
「お前って料理出来るんだな」
「俺を誰だと思っている。粥程度作れて当然なのだよ」
緑間からお椀とレンゲを受け取り「頂きます」と言ってから、緑間が見守る中レンゲでお粥を掬って口へと運んだ。
「・・・うめぇ」
ぽつりと火神の口から感嘆の言葉が漏れた。
「当り前だろう」
眼鏡のブリッジを上げフッと自信満々に口角を上げた緑間の頬が少し赤くなっていて、こいつにも可愛いとこあるんだなっと火神は頬を綻ばせた。


笑