財源問題と財政制約問題 | 門前小僧、習わぬ今日を読む

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反グローバリズム、反新自由主義、反緊縮財政。
アイコン,ロゴ画面はイラストレーターtakaさんより。
takaさんの詳細情報はブログ画面にて。

 財政上の財源問題と制約問題は、別々の問題として考えなアカンのやで。

 

 政府には通貨発行権があるから財源は無限にあると言えるけど、無限に財政支出が出来るわけではないという話なのよ。

 

 例えば政府が公共事業をやる。 

 中には土木建設のように、企業の設備投資や住宅需要など民間の需要に被るものもある。

  政府は通貨発行権があるので、いくらでも金を出せるけど、土木建築業の業者の数(供給能力)は有限だから、いくら金を出せても業者の数以上に公共事業は出来ない。

 

 そこで政府が、もっと公共事業の規模を拡大したいと思えば、公共事業の価格をどこまでも釣り上げて、民間の需要を満たしていた企業を呼び込むことが出来る。 

 でもそれをやると、民間の需要を圧迫することになり、民間企業はこれに対抗しようとするなら同じくらい価格を釣り上げざるを得なくなる。

 

 政府は通貨発行権というチートパワーがあるので、どこまでも高い値段を提示できるけど、民間企業がこれに張り合うためには財源を必要とする。 

 つまり、自社の販売製品の価格を釣り上げて売上を増やし、より多くの財源を確保しようとする。 

 これがインフレに繋がる。

 

 かと言って、民間企業に優先的に供給能力を振り向けていると、公共事業が滞ることになる。
 だから政府は、ある程度民間の実物投資や消費を抑制して、公共事業のための供給能力を残しておいてもらわねばならない。
 そこで役立つのが徴税。

 

 所得所得でも所得でも利益でも、余れば投資に向きやすくなる。
だからその一部を吸い上げてしまうことで、実物投資を抑制して供給能力に余力を作ろうとする。
 まぁ微妙に違うところもあるかもだけど、これが“税は財政スペースのために必要”というお話。

 

 政府は通貨発行権を使って、モノやサービスの価格設定に大きな影響を与える事ができる。
 文字通り、その国の価格設定者として絶大な力を振るうことが可能なんだけど、税財源に縛られると、途端にその辺の大企業に軽く負ける羽目になる。
 なぜかと言えば、政府の事業は基本的に投資収益率が極悪だから。

 

 公共インフラを整備したとしても、それ自体が利益、つまり政府への直接的な収益を生み出すわけじゃない。
 無論それによって経済が活性化して税収が増えることはあるけれど、短期的な収益が得られるわけではないので、政府の会計に民間のそれを持ち込んでしまえば、政府の権限を著しく縛ることになる。

 

 つまり緊縮財政ってのは、民間企業に供給能力を振り向けるのにも有効ってことよね。
 ただし民間企業の需要ってのは、それこそ景気に左右されて安定しないから、供給能力を担う企業にとっては経営の不安定化、からの倒産なんてリスクをかなり高めることになる。

 

 まぁ国民生活の安全保障に直結するような業種、食料やら土木建築やらとかの業種を民間需要依存にさせてしまうとどうなるか、は今の日本を見てればわかりますわな。