財政法と平和主義、そして憲法9条 | 門前小僧、習わぬ今日を読む

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反グローバリズム、反新自由主義、反緊縮財政。
アイコン,ロゴ画面はイラストレーターtakaさんより。
takaさんの詳細情報はブログ画面にて。

 

まぁそんなわけで、

新しい“国の借金恐怖プロパガンダ”を発明なさった田中信一郎ダイセンセイなわけですが、この財政法と平和主義、あるいは憲法9条の密接な関わりについて、佐藤健志氏がご著書で詳細を述べられています。

ところが、この本が出版される10年も前に、既にこの点を指摘していた組織があります。

誰あろう、しんぶん赤旗です。

私が知ったのは、↑の田中一郎 『No debt ,No money』 (@bukkakemisosiru)さんのツイートなのですが、

 

財政法 赤旗

 

でググると、一発でその記事が出てきます。

 公債発行を禁じた財政法の規定はなぜできたの? しんぶん赤旗

 

赤旗の記事によると、

 

わが国の財政法は、「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない」(第4条)とし、国債の発行を原則として禁止しています。

 この規定は、戦前、天皇制政府がおこなった無謀な侵略戦争が、膨大な戦時国債の発行があってはじめて可能であったという反省にもとづいて、財政法制定にさいして設けられたもので、憲法の前文および第9条の平和主義に照応するものです。

 この点について、現行財政法の制定時の直接の起案者である平井平治氏(当時、大蔵省主計局法規課長)は、当時の解説書(「財政法逐条解説」1947年)で、次のようにのべています。

 「戦争危険の防止については、戦争と公債がいかに密接不離の関係にあるかは、各国の歴史をひもとくまでもなく、わが国の歴史をみても公債なくして戦争の計画遂行の不可能であったことを考察すれば明らかである、……公債のないところに戦争はないと断言しうるのである、従って、本条(財政法第4条)はまた憲法の戦争放棄の規定を裏書き保証せんとするものであるともいいうる」

 

つまり、

国債が発行できなけりゃ戦争はできない→憲法9条を保証する条項

としての意味合いがある、ということです。

 

ちなみに赤旗、

 

しかし一方、財政法第4条には「公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる」というただし書きがあり、これにもとづいて66年(昭和41年)以降、建設国債の発行が始まり、公共投資拡大を恒常化しました。さらに、75年度からは、財政不足をおぎなうために、赤字国債を発行するにいたりました。

 赤字国債をふやすことが将来世代にツケをまわし大変な危機をまねくことはわかっていながら財界の要求にこたえて、“あとは野となれ山となれ式”に公共事業費、軍事費をふくれあがらせてきた政権政党の責任が改めて問われます

 

消費税増税反対してる政党が、こんなこと言ってやがります。

やっぱりお前ら信用できねぇな、

共産党。

 

社会保障制度の拡充だの消費税減税だ廃止だなどとイキってみても、

「財源は?」

の一言で腰砕けになるヘタレ政党など要らんわい。

 

将来世代にツケをまわすなんてパワーワード、

今じゃ財務省が喜んでプロパガンダに活用してるじゃねぇかクソッタレ。

 

・・・。

 

もっとも、共産党内にも薔薇マーク認定を受けている候補者はいますから、やはり政党ではなく政治家個人の力量を見抜く必要がありそうですが。

 

ちなみに、これは私の憶測ですが、この田中信一郎氏、明石順平氏、そして藤田孝典氏、および清水康之氏は、いずれも財務省が立憲民主党に差し向けたエージェントではないかと疑っています。

 

財務省にとって、増税するには「財源問題」という要素は不可欠です。

 

これが無いと、財源は税金のみ”という前提が崩れます

 

「だったら国債発行すりゃいいじゃん」という話になれば、統計誤魔化したりして何とか「景気がいい」ように見せかけ滑り込みで何とか消費増税を実現しようとしてきた努力が、水泡に帰してしまいます

 

財源問題というデマは、

財務省にとって生命線なのです。

 

日本経済の無残な姿を国民の多くが知るまでになっている現在では、財政破綻論だけでは、これを批判・反論する主張が世間に流布するようになった現在では、今一つパンチが足りない。

 

そこで、国債発行→軍国主義化というデマのご登場、

というわけです。

 

一部の保守や右派にとっては願ったりな話になるわけで、そういった人々を騙すことはできませんが、左派の人たちはどうでしょう。

 

ザックリ言えば、日本の右派と左派を分ける分水嶺は、憲法9条です。

 

憲法9条を肯定的に捉えるか、懐疑的・否定的に捉えるかで、日本の右派・左派は分かれていると言っても過言ではない。

 

このデマが流布すれば、少なくとも日本共産党、社民党は国債発行に難色を示すでしょう。

 

後は、野党第一党である立憲民主党さえ洗脳できれば、仮に安倍政権が次の選挙で倒れ、代わりに野党が政権を取ったとしても、財務省的には全然オッケーなわけです。

 

田中信一郎センセイに、国債に寄らずしてどのように国民の貧困と飢えを解消するのか、とツイッター上で尋ねたところ、

という、平成最強の残念案件・民主党の事業仕分けバリの胡散臭い手法を自信満々で提示されてしまいました。

 

パッと見ていただければ判る通り、この程度のショッパイ方法で日本経済を立て直そうとかヘソで茶が湧き茶釜が踊り狂うくらいのレベルであり得ないと思いますが、ロクな試算統計も示さず、田中信一郎センセイは自信満々でこのツイートを最期にミュートしてきました(苦笑)

 

彼の財源確保手段を再掲しますと、

 

①基礎控除の大幅拡大と最低賃金の1000円全国一律化、

②実質賃金下落の中での消費税10%アップの見送り、

③全所得への一括課税(総合課税)もしくは金融所得課税アップ等

 

だそうです。

 

無論全面的に否定するつもりはありません。基礎控除の大幅拡大は大いに結構、最低賃金1000円全国一律化もいいでしょう(地方の中小企業は廃業に追い込まれる可能性はありますが)。金融所得課税をアップするのもいいかもしれません。

ま、実質的に株取引をしている人なんかは増税になるんですけどね。

 

問題は、②実質賃金下落の中での消費税10%アップ見送りです。

 

安倍政権の不正統計事件も記憶に新しいところ、実質賃金統計がどの程度信用できるのか?

さらに、消費税増税の見送り。

 

凍結や減税、廃止などではなく見送りです。この主張が通るのも、財源問題という逃げ道があるためです。

財源が確保できないから消費税を増税する、というロジック。

つまり、増税への論理的逃げ道をガッチリ確保している、わけですね。

 

国債発行という手段に寄らず財源を確保するには、結局増税しかない、ということにしておきたいわけです。

 

しかも、左派には安倍政権が財政支出を拡大し、バラマキ政策を行ったという根も葉もないデマが流布している(主犯は大新聞などリベラル系メインストリームメディア)わけで、そこへ畳みかけるように財源問題と軍靴の音の恐怖プロパガンダのフルコンボ

 

そこそこのパンチ力はあるかもしれません。

 

 

 

立憲民主党は、結成当時、代表の枝野氏が「脱緊縮財政宣言」をされました。

今では、無残にもその影も形もなく、緊縮脳のブレーンに囲まれ、緊縮政策を党員に勉強させる体たらくになってしまっています。

 

結成当時、安倍政権に愛想をつかし、立憲民主党を支持した人々の中には、脱緊縮財政宣言をした枝野氏に惹かれて支持を表明した方の数は決して少なく無かったはずです。

 

枝野さん、もう手遅れかもしれませんが、どうか、何卒どうか、本当に国民のための政治を実現できる政策とは何なのか、今一度考えてみてはいただけないでしょうか。

 

 

ハッキリ申し上げて、立憲民主党の支持層をナメない方が身のためですよ?

 

先ほども申し上げましたが、立憲民主党の支持層には、元々自民党を支持していた人で、安倍政権に愛想をつかし、立憲民主党支持に回った人が相当数いらっしゃるでしょう。

 

すなわち、安倍自民党の欺瞞を見抜くレベルの見識を持ったハイレベルな支持者が、立憲民主党には多数存在する、ということです。

 

日本の政権は、自民党政権から民主党政権、さらに安倍自民党政権に移行してきましたが、その都度国民は政治に裏切られてきました

 

必然、日本国民の標準的な政治的見識は、その都度レベルアップしてきているのです。

 

もう一度言います。

 

国民をナメるんじゃあねぇぞ?