この話はわが家の子どもたちが、自分の生まれた時のお話に次いで、特に大好きなお話。
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阪神淡路大震災が起きたとき、私と夫はまだ新婚時代。右京区のかなり年期の入ったアパートに住んでいた。一階。その朝は気味悪いぐらい長く揺れた。
当時、夫は司法試験の受験生で、宿直バイトのために週に半分は泊まりで夜留守だった。
たまたま家で寝ていた夫は、その瞬間、隣の私の上に覆い被さった。私は恐怖のあまり動くことも出来ず、ただひたすら敷き布団を空しく握りしめようとしていたのに。夫は私がまだ揺れを揺れとして認識する前に飛び起きて、私を守ろうとしてくれたのだ。
わが夫のこの英雄的なエピソードは、当時英語講師として勤めていた予備校の同僚たちと後に話したときに際立っていた。ある人のお連れ合いは揺れたとき、側の柱にセミのようにしがみついていたという。ふくちゃんは一躍「われらがヒーロー」となった。
その危ういアパートはちょうど二年の更新時期だったので、私たちは無理をして急いで引っ越した。もう少し安全そうなハイツへ。次に揺れたら確実に二階の下敷きになると思ったから。
たくさんの人が亡くなった辛い出来事だったけど、この夫の英雄伝説は、その後幾度となくわが家の子どもたちにねだられ、私も懐かしく、春めいた気持ちで喜んで語って聞かせるのだった。
お父さんが株を上げる「新婚時代のお話」。
いろんな思いが込み上げる。
これは京都市長選に出馬を表明している福山和人弁護士のパートナーおかねともこ(イラストレーター)が、「家族の目から見たふくちゃん」を綴ったエッセイです。
2018年府知事選のときの「ふくふく家族」と同様、リラックスしてお楽しみください。
前回のシリーズはこちら→http://www.fukuyamakazuhito.jp/fukufukufamily

