2010年・フランス・From Paris with Love
監督:ピエール・モレル
(IMDb:6.4 Metacritic:42 Rotten:38)
珍しくアメリカで大ヒットを飛ばし、高評価も得た
「96時間」のリュック・ベッソンとピエール・モレルが
再タッグを組んだアクション映画だが、残念ながら、
いつものヨーロッパ・コープ節に戻っている。
興業的にも全くあたらなかった。
いつものヨーロッパ・コープ節とは、
アイデアは面白い、けど、脚本は最低、
というリュック・ベッソンが経営する製作会社の
一連の作品の傾向のことだ。
今回もこれに当てはまる。
アイデアは面白い。
麻薬捜査のために、アメリカからフランスへ
CIAの捜査官ワックスがやってくる。
このワックスをジョン・トラヴォルタが演じる。
しかも、ハゲにヒゲというインパクト大の出で立ち。
そして、にかく誰でも彼でも銃をぶっ放し、
爆弾で吹き飛ばしてしまう、強烈なキャラクターを
トラヴォルタが喜々として演じている。
アクションシーンでの身のこなしも見事だ。
最後には車から身を乗り出し、バズーカを撃ち放つ。
ピエール・モレル監督の演出はとてもテンポがよく、
螺旋階段や屋根でのアクションの見せ方が上手い。
ジョナサン・リース・マイヤーズがずっと花瓶を持たされている
など、細かなコメディセンスも抜群だと思う。
もちろん、アクション映画なのだから、アクションだけを
何も考えずに楽しめればそれでいいのだ、という人も多いだろう。
そういう人なら存分に楽しめるはずだ。
激しいアクションがあり、適度に笑える。
しかし、この作品はアクションを支える骨格となるストーリーが
あまりにも駄目すぎて、そのアクションを活かしきれていないし、
脚本が弱すぎるために、アクションの爽快さが削がれているような気がする。
一番の問題は、敵となる組織がどういう組織で何を目的としているのか、
そして、何を止めるために捜査をするのかという、ストーリーの
最も根幹となる部分が曖昧なままであり、しっかりと描写されないことだろう。
まず、敵の組織の悪さが全く提示されない。
そのため、ワックスがただ人を無差別殺人しまくっているようにしか見えないのだ。
組織側が悪いこと、例えば、殺人でも拷問でも、を行っているシーンを
見せておかないと、なぜ、その組織を倒さねばならないのかがわからず、
アクションシーンでの爽快さが半減する。
むしろ、どうしてこんなにも人を殺さないといけないのか、考えてしまうほどだ。
悪人として出てくるのが、アジア人やアラブ人、黒人ばかりで、
それを白人が殺戮するという構図も、今時どうなのか。
最終的なテロを行うのもたった二人だし、女性が何を考えて、
そこまで男にのめり込んで行ったのかも解らない。
ワックスの目的がわからないのは、主人公を翻弄するキャラクター上、
必要だとしても、合間で組織側の行動をしっかりと見せる必要があった。
すべてがアクションシーンを起こすためのコマとなっている。
タイトルは007シリーズ屈指の名作とも言われる
「ロシアより愛をこめて」へのオマージュである。
最後の展開があまりにも悲しすぎるのは、アメリカナイズされた
作品の中で唯一、フランスらしく、ウェットで驚かされた。
他にも「スター・トレック」など多くの映画へのオマージュが登場するが、
中でも、「パルプ・フィクション」でおなじみのチーズロワイヤルが
登場するのには大笑いしてしまった。
ぜひ一度、食べてみたい。
60点