2008年・フランス・Taken
監督:ピエール・モレル
(IMDb:7.9 Metacritic:50 Rotten:58)

金の亡者だとして基本的にアメリカでは
嫌われているらしいリュック・ベッソンの久々のヒット作。
リュック・ベッソンはいつも通りプロデューサーと脚本を務めた。
原題はわかりやすく「Taken」(誘拐された人)だが、
邦題はストーリーにおいてあまり重要ではない
「96時間」という安っぽさ。
全く関係のない邦題をつけられるよりはマシだが、
ここは素直に「テイクン」で良かったのではないか。
誰もスピルバーグが作ったSFドラマの映画版だとは間違えないだろう。
アメリカの高評価を聞いて、いつものヨーロッパ・コープ節とは
違う何かがあるのだろうと、期待してしまっていたが、
実際見てみると、いつものリュック・ベッソンらしさに変わりはなかった。
親子関係を持ち出したことによってアメリカでヒットをしたのかもしれない。
しかし、基本的にはアクション、カーチェイスが延々と続き、
ストーリーの細部などは気にされていない。
ハリウッド式のよくまとまってはいるが冒険のない脚本とは
また違うゴツゴツとした不器用さが売りだ。

後半の親父の暴走が面白くなるのは、
映画の前半でリーアム・ニーソン演じる親父の親バカぶりが
しつこすぎるぐらいに描かれているからだ。
この長すぎるぐらいの人物描写がなければ、
気の聞いたラストの感動も薄れてしまっていただろう。
この親父(あえてそう呼びたい)、とにかく切なすぎるのだ。
カラオケセットをプレゼントして元妻に馬鹿にされる親父・・・
現在の夫が馬をプレゼントし、足元にそれを放られてしまう親父・・・
その時に撮った写真をアルバムに貼る親父・・・
アルバムの娘の誕生日ごとに撮った写真をしんみりと見つめる親父・・・
娘の好きな飲み物をカフェで準備しておく親父・・・
これに共感しない人はいないだろう。
とにかく後半の激しさを全く予感させないほどに冴えない親父なのだ。
この前半と後半の落差が面白さにつながっている。

構成は素晴らしいのだが、リュック・ベッソン好きとして
少し物足りないのが、後半のアクションだ。
地味だ。いや、地味ではない。
普通なアクション映画の基準で見れば決して地味ではない。
だが、これはリュック・ベッソンの脚本だ。
あれが欲しくなる・・・そう、馬鹿馬鹿しさだ。
そんなのいらないし、ないから評価が高いんだ。
それはわかる。でも、B級好きとしてはもう少し笑わせて欲しかった。
何も忍者に登場しろと言うのではない。
映画の雰囲気を壊さない程度にコミカルな要素が欲しかった。
何度もあるアクションシーンで、困難の突破の仕方がワンパターンなのも気になる。
「トランスポーター2」の消化ホースを使ったアクションのようなアイデアが
もう少しあれば、だれることなく、勢いが持続したのではないかと思う。
全体的に傑作ではないが、気楽に見るのがちょうど良い娯楽作品だといえる。
続編の企画も動いているらしいが、映画内で物語がしっかりと完結しているので、
あまり見たくない。焼きまわしになるだけで、面白くなりそうにもない。
70点