序説・小さなサロンを繁盛させるコツ

   今、小規模サロン店が「追い風」を受けています。その根拠は以下の通りです。

  ・・・(全国消費者調査)・・・。

大規模店の特長。

1,「全国展開」

2,「総合的」

3,「量」

4,「画一性」

5,「無難」

6,「効率性」

 小規模店の特長。

1,「地域密着」

2,「専門性」

3,「質」

4,「個性」

5,「本物」

6,「感性」

   この調査結果によれば、1から6までの全てが小規模店に向いています。つまり、「地域」・「専門」・「質」・「個性」・「本物」・「感性」といった切り口が、これからの繁盛店づくりのキーワードです。 今まさに「小さなサロン」が経営改革を起こす時の到来です。以下、小規模店の特長について簡単な説明を加えます。

 1,「地域密着」

   これは小規模店の全てに言えることですが、お客が来店される商圏は限られています。つまり、地域密着型の職業です。従って、地域に密着したコミュニケーションが出来て、より親密な人間関係が育まれるのが小規模サロンの強みです。

   小規模サロンの場合、経営者が一人で経営・施術されるケースが多いのでアットホームな雰囲気になります。これは美容室に行ったことがない男性も、女性の視線も気にならず気楽に施術して貰える強みです。また、顧客にとってのプライベートサロン的な雰囲気づくりが出来るのも小規模サロンの強みです。

 

2,「専門性」

   小規模サロンは、ゆったり時間をとって顧客の悩みを聴ける環境です。従って、密度の高いカウンセリングが出来ます。

   髪やの悩みに対しては、顕微鏡でミクロの世界からアドバイスすれば、自店の信頼度はグーンと高まります。また、お化粧のノリが悪くてお悩みの方には、マイクロスコープで皮膚の状態を説明すれば、お客様は感動されます。

   この体験が口コミの波となって地域の評判となります。このように専門性の質を高め、独自固有のレベルに高め易いのが小規模サロンの強みです。

 

3,「質」

   ここで言う質とは経営に取組む精神姿勢を指します。美容サロン経営に技術の質・接遇の質も重要です。しかし、自店の売りとするのが「技術力」といった「目に見えるもの」は直ぐに他店にマネされます。

   例えば、ストレートパーマに研究を積んで独自のレベルになったとしましょう。最初は評判を呼んで客も集まります。

   でも、その技術はライバル店が客として来店、「なるほど、こういうふうにするのか」と簡単に模倣されます。

   差別化の訴求力を高める要因となるのは「経営に対する姿勢」という不可視の部分で、ここがサロンの運営を方向づける究極的な価値観となります。この経営理念の確立が自店のブランド性を高めて行く核となります。これを強力に推進できるのが小規模サロンの強みです。

  

4,「個性」

   ビジネスを学べば必ず出会う概念として「USP」=(Unique Selling Proposition=ユニーク・セリング・プロポジション)というのがあります。競争力を強めるためには「強みを作れ。USPを作れ」と言われます。その理由は、現在は「選択肢過剰の時代」、つまり「美容室過剰の時代」だからです。

しかし、時代はUSPからMSPを高める方向へと流れています。

   MSPとは「Me Selling Proposition」のことで、USPに「Me」、つまり、「自分」という「個」の概念が入ったものです。即ち、自分という個人の「性格・理念・思想」がこれに当てはまります。これを強力に推進できるのが小規模サロンの強みです。

  

5,「本物」

   ここで言う本物とは美容店経営に関する思想のことで、それは「職分に徹したサロン」を言います。美容業の「職分」とは、「美容業に従事する者が守らなければならない職務」のことを指します。

つまり、「美容師法・第八条」に以下のように規定しています。美容師法・第八条=美容の業を行うときは、次に掲げる措置を講じなければならない。

1,皮膚に接する布片、及び皮膚に接する器具を清潔に保 つこと 。

2,皮膚に接する布片を一客ごとに取替え、皮膚に接する器具は一客毎に消毒すること。 

   以上のようになっていますが、その前提として美容師としての「身だしなみ三条件」があります。これらが美容師として遵守すべき「職分」です。

   これを徹底して高収益を挙げているサロンは小規模店のほうが多いですが、その原因は小規模サロンが「小回りが効く」という利点があります。そのような理由から、早く改革が図れることに繋がっているようです。

 

6,「感性」

   時代は、「CS=顧客満足実現」から「CD=顧客感動実現」の時代へと移行しています。その取っかかりが「顧客親密関係の構築」です。「顧客満足」とは、顧客の期待値が1のときに、1のサービスを提供するということです。

  一方、「顧客感動」とは、顧客の期待値が1のときに、1を超えるサービスを提供するということです。

 

   つまり、「期待を超えた、まさかの対応」に触れた時、人は感動します。

  CD =Customer Delight (カスタマー・ディライト) (顧客感動)を実現するには、CS=(Customer Satisfaction(カスタマー ・サティスファクション)(顧客満足)を実現する以上の創意工夫が必要となります。

 

   では、CDの実現には、どういった取り組みが必要でしょうか。「モノ」や「技術」のレベルが平均化した現在において、他店との差別化を図り競争力を強化する手段は何でしょうか? 

   美容サロンが提供するサービスついて大別すると「本質サービス・表層サービス」に別けられます。 

◎本質サービスとは、対価に見合う当然のサービスのことを言い、

◎表層サービスとは、あったら嬉しい期待サービスを指します。

   そして、この表層サービスの充実こそが、顧客満足度をどんどん高めます。ここで本質サービスと、表層サービスの相違点を比較すると、次のような相違点が見えてきます。

 ◎本質サービスは=「上手・下手・良い・悪い・環境・専門的」。

◎表層サービスは=「親切・思いやり・気くばり」となります。

   つまり、

◎本質サービスの部分は論理的なことが多く、

◎表層サービスの部分は感性に訴えるものです。

即ち、精神的な満足の追求が顧客満足度を上昇させるということが言えます。

   この「表層サービスの質」を存分に高めることが出来るのが小規模店の強みです。 

以上、六つの項目の全てが、小規模店に有利になっています。 

   ここで小規模サロンの成功事例を取上げます。

其の1.

   四年前に私の里、熊本の益城町で大地震があり、ほとんどの家が崩壊しました。この田舎の田園風景が拡がる中で夫婦二人で経営する知人の美容室がありましたが、ここも地震で全壊でした。

   私が「これから大変だね」と労ったら、彼は「いえ、どってこと無いですょ」との返答でした。彼は高料金の美容店経営を行っていますが、再出発に際して絶対的な自信を持っているから言える一言です。

 

 其の2.

   福岡市の松下さん(女性45歳)は、自宅マンションの10階に高料金システムの会員制サロンを一人で経営しています。同時にオリジナルの基礎化粧品をネット販売していますので、この利益は絶大で、新聞でも取り上げるほどの女性です。

彼女は一人旅が趣味で昨日は「北海道10日間の旅を楽しんだ」と言って訪ねて来られました。

   つまり、彼女は「儲かる経営」をしています。従って「経済的にも、時間的にも余裕」があります。従って、自由気ままに優雅な美容師人生を楽しんでいます。

   これがオンリーワンの世界を構築できる美容業で、目指すべき経営と言えます。

 続く