事故物件を渡り歩く生活 | 注文の多い蕎麦店

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人間は何を食べて命を繋いできたのか?
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人間本来の生活を取り戻します。



以前今の店を一旦閉めて借金返済のために
大阪に住んでたときのことなんですけど。

ほんとその時はまるで生活費が無くて
まともに食費さえも捻出できる状況ではなかったので。

家賃を少しでも安く済ませる
しか生き残る術はなかった

 

んですけどね。


最初は元手も何もなかったのでとりあえず礼金敷金不要の
あの欠陥物件賃貸パレスさんを利用してたんですが。
やはりそれでも日々の生活が苦しい。

ということで公営のUR公団に応募し続けてやっとのことで当選し
アホパレスさんともようやくおさらばすることが出来たのですが。
公営と言ってもやはりそこそこの家賃が必要で
まだまだ生活が厳しいのには変わりない。

肉なんかは鶏がらしか買えないっていう時さえありましたからね。

そこで当時の嫁さんがネットで調べて見つけ出してきたのが

1年間に限り家賃が半額になるとい

う特別募集住宅なる何やら怪しげな物件

早速公団の事務所に行って詳しく話を聞いてみたら何のことはない

ただの事故物件

つまり先住者が住宅内で死去した物件ということで。
公団としてはそれを次の居住者に公表する義務があるらしく
もちろん前の人が死んでる(しかも部屋の中で)なんて言えば
まともに借り手が現れるはずもなく。

空売りで塩漬けするくらいならあえて家賃を半額にすることで

どうにか空き部屋になるのを免れよう
という試みなのですね。


それでも前の人が死んでる(しかも部屋の中で)と聞かされて
いくら家賃が半額になるとはいえそうそう借りてが出てくるはずもなく。

うちが詳細を聞きにいくと是非とも是非ともともう必死のパッチで薦めて来られるという。
もちろんうちとしてはそこがどんな部屋であろうと
家賃が半額(仮に2DKで6万円の部屋なら3万円)という魅力に勝るものはなく。
即決で判を捺したんですが。

1件目は確か先住者は病死と聞かされたと思うんですが(死因まで公表義務があるらしい)
たぶん浴槽で亡くなられたんだと思います。
だって僕何度もなんども浴槽で溺れたから笑

そしてあっという間に1年が経過すると家賃が通常に戻ってしまうので
また新たな特別募集住宅という名の事故物件を探さないといけません。

と言っても大阪南部のベッドタウンにあるマンモス公団で

なおかつお年寄りの比率も高かったので。
1年の間に亡くなる人は結構おられまして物件探しにも全く手間取ることはなく。

そして2件目は公団の方から自殺と聞かされまして。
それでもいいですか?と念を押されたのですが。
さすがに僕はちょっとうっ!てなったんですが隣の元嫁は顔色一つ変えずに

別にそれでもええで

ってこともなげに言うじゃないですか。
まあ彼女がそういうのなら僕にも異論はない(嘘かなりあるが立場上反論はできない)

結局そこは床の一部分だけが新しく張り替えられてた場所がありまして
明らかに

そこで死んでるやん

っていうのが見え見えだったんですが。
あるとき余りにも疲れすぎて
その張り替えられた板張りの上で居眠りしてしまったことがあるんですね。

まあもちろん

しっかり見えましたよ笑

そんなこんなで1年ごとに事故物件を渡り歩いてどうにか借金返済にこぎ着けたわけですが。
ここで一つ疑問があるんですけど。
うちらがその事故物件で1年過ごした後その部屋は

普通にまともな家賃で貸し出す

わけですよね。

だってうちらを挟むことによって先住者は無駄にぴんぴん生きていたことになるんだから。


なんやうちらは部屋の浄化師かクリーニング師かなんかかニヤニヤ