水2杯目でビンタ | 注文の多い蕎麦店

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僕はこう見えて?高校時代真面目にサッカーに励んでいたのですが。
毎年夏休みになると兵庫県のハチ北高原で1週間程度の夏合宿があったんですね。
しかも他校と合同合宿になるのでお互いプライドが刺激されてかなりハードな内容になるという。

当時はサッカーに健康科学など適用されることもなく。
ひたすら根性論を前提とした精神力強化的な練習法がまかり通ってまして。
炎天下に3~4時間晒された後に水分補給タイムがあるのですが何と。

一人たった紙コップ一杯限定

なんですね。
もちろん皆体育会系らしい服従精神が培われてますのでたった1杯の水をまるで

ドンペリのごとくゆっくり味わうわけですが。

一人他校の生徒でまだこの主従関係に洗脳されてない奴がいましてどうやら1杯飲んだ後に
もう一度列に並んだみたいなんですね。
そしてまんまと2杯目の水を・・・
ってところで猛ダッシュで駆け寄ったのがうちの体育会系バカ先生。

お前2杯目やろが!

の言葉とともに強烈なビンタを食らわしたわけですが。
今の時代なら水がたった1杯なのもビンタも大問題になってるだけに

今思うと何か複雑な心境になりますよね。

そんなオニの夏合宿終了間際。
練習後に全員で円陣を組んでバカ先生方からの苦言やら罵倒やらをじっと聞き流した拝聴した後に。

お疲れ様でしたあ!

の掛け声でああやっと長い1日が終わったあ
ってところで・・・

他校の生徒が一人ぽてんと後ろ向きに倒れたんですね

え?って皆あっけに取られたんですが
その子今で言う熱中症だったんですね。
我慢して我慢して何とか練習をやり切って最後の最後かけ声で力尽きたと。

結局その後彼は病院で息を引き取ってしまうことになるのですが
もちろん合宿はそこで打ち切り。
翌年から夏合宿自体が中止に。

亡くなった生徒さんの家族と学校側でどういう交渉が行われたのかはよく覚えてないのですが。
ただ一つ強烈に記憶に残ってるのが
仲間が目の前で亡くなってきっと動揺してるであろうと。
彼の両親が僕たち宛に書いてくれた手紙。
その手紙の最後にはこんなことが書かれてました。

サッカーが大好きで大好きで
そんな大好きなサッカーをやりながら死ねたのだから息子に悔いはないと思います。
皆さんも大好きなサッカーを息子の分までやり続けてくださいね。

そこには先生に対する恨みも
大切な子供を突然奪われた怒りも
そして悲嘆や喪失感さえも封じ込めたご両親の
背筋をピンと伸ばした凛々しさが目に見えるようで
そこで初めて一緒にサッカーに励んだ仲間の死を目をそらさずにちゃんと受け入れることが出来たような気がします。

今の時代ならどうなんだろう?
両親と学校との間に訴訟問題が発生して賠償金が云々と。
どっちがいいとか悪いとかじゃなくて
ただ一つ言えるのは。

残された彼の家族たちはきっと
悲しいとか辛いとかムカつくとかいう負の感情よりも
彼と一緒に過ごした楽しかった想い出とともに彼の分まで前に進んで行けたんじゃないのかな。

ちなみに僕はその後膝を怪我したことを口実に

速攻で大好きなサッカーをやめました照れ