イチロー論 | 注文の多い蕎麦店

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人間は何を食べて命を繋いできたのか?
純粋に生きるための料理を実践し
自然に回帰することで
人間本来の生活を取り戻します。


とうとうあのイチローが現役引退を表明しました。
同世代の人間として彼の生き様をなぞるように年を重ねてきた僕にとっては
中田英寿の電撃引退よりもかなりグッとくるものがあります。

数々の記録と実績を積み重ねてきたイチローですが。
彼の特筆すべき点はさもすれば自己犠牲を強いられ
自分よりも他に奉仕することが美とされる日本文化と野球文化において。
あくまでも自分にとことん向き合い自分が出来得る最高のパフォーマンスを表現することが
結果的にチームのそして野球界にとって最善の方向に導かれる。
ということを圧倒的な成績をもって証明したことにあるのだと思います。

そのためには徹底的に自己を管理して周囲に迎合せず
ひたすら自分自身にとって最良の方法を選択する必要があったのですが。
ともすればそれは周囲に馴染まない空気の読めないスタンドプレーだ。
協調性のない自己中心的なナルシストだ。
などと批判され社会から叩かれまくってもおかしくないスタイルなのですが。
彼はそんな周囲の雑音をことごとく自らの絶対的な結果によって封じ込めてきたということが
イチローがどんな先駆者でさえも得ることのできなかった尊崇を野球界を飛び越えて
全世界のあらゆる人間から与えられている理由になるのでしょう。

こと僕に限って言えば。
周囲の環境に馴染まず地域のイベントにも参加せず仲良しごっこからほど遠い場所で
ただひたすら自分の哲学と自分が創り出す料理に向き合って完全個人主義を貫いてきたわけですが。
その背景にはやっぱり同世代で海を越えてその存在感を黙々と発揮していた
イチローという人間の生きざまが少なからず影響したことは否定できないのですが。
僕と彼の決定的な違いは
圧倒的な結果で世間を黙らせたイチローに対して。
圧倒的な結果も出せず世間から大した評価も得られず結果的に

ただただ自己満足的世界に甘んじてるうちの現状ということにあるんじゃないでしょうか。
ただここで一つだけ弁明の余地を与えてもらえるならば。

彼は自分の野球人生を50年という区切りでもって設計していたのに対し。
僕の場合は自分の料理人生を200年(もしくはそれ以上)という区切りでもって計画しているので。
まだまだ僕にとっては人生始まったばかりだということです。
つまり僕にはまだあと150年以上も真っ白なキャンパスが用意されてるので全然今結果が出てなくても
何の恥じることもなければ少しも焦る必要もないのです。
なので僕はこれからもとことん自分と向き合って徹底的に自己管理して
周囲にどれだけ白い目で見られようが理解されなろうが自分の信じた道を貫いていこうと思います。
また150年後にお会いしましょう。あ・・・

みんな死んでるかお願い