蕎麦の実ダイエットの嘘 | 注文の多い蕎麦店

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昨日NHKの朝の番組で蕎麦の実がダイエットに効果的!
というような放送があったようですが。
その理屈は次のような感じ。

蕎麦の実に含まれるレジスタントプロテイン(食物繊維と同じような働きをするたんぱく質)が脂肪の吸収を抑制するので
いくら食べても中性脂肪が付きにくい。

レジスタントプロテイン?
僕今回この言葉初めて聞いたんですけど日本語に訳すと抵抗するたんぱく質。
つまり脂肪分を排除するという理由でそういう名前を付けられたのでしょうが・・・
そもそもこのレジスタントプロテインは脂質の吸収を抑制するのではなくて食品中の中性ステロールを体外に排出する機能があるんですね。
つまり中性脂肪の吸収を抑えるのではなくて総コレステロール値を減少させるという効果があるのです。

ここで中性脂肪とコレステロールの違いについて簡単に説明すると。
どちらも一括りにすれば脂質ということになるのですが中性脂肪は体内の内臓や筋肉に貯蔵されてブドウ糖が足りなくなったときにエネルギー源として使用される役割を担っています。
いわゆる炭水化物ダイエットはこの働きを利用してブドウ糖を枯渇状態にし中性脂肪を燃焼させるといった方法です。
一方のコレステロールは体内の脂肪膜や副腎皮質ホルモンの原料として使用されます。
つまり中性脂肪が人間の身体を動かすエネルギー源でコレステロールが体の細胞を構成する人体組織といえばわかりやすいでしょう。

そこで上記のレジスタントプロテインを摂取しすぎるとどうなるかというと。
確かに蕎麦の実を食べれば食べるほどコレステロールが排出され脂肪分が蓄積しないという状況になりますが。
あくまでも細胞の構成要素となるコレステロールを排除するということになりますので他の食品からたんぱく質や脂質を摂取しなければ
脂肪膜や性ホルモン、副腎皮質ホルモンなどの人間にとって必要不可欠な組織が組成されないことになります。
しかもエネルギー源が蕎麦の実の大部分を占める糖質に偏ってしまいますので
いくら小麦や米よりGI値(血糖値を上げる働き)が低いからとはいえ糖質依存に変わりはありません。

確かにルックス的には肥満が抑えられるのでダイエットに成功した!とぬか喜びそうですが実際にはその成功は
体の中の重要な機能を放棄しての結果だということを忘れてはなりません。
それなら炭水化物ダイエットのほうがよほどマシだとは思いますがまあ結局はどっちもどっちなんですけどね(^ ^;)
 

いずれにせよ何かだけを食べ続けて痩せる!といった類の話は人体にとって不自然極まりない妄想だと考えた方がよいですね。
というかただでさえ今年は不作で蕎麦の実不足なのに何てことしてくれるんだNHK!って話です(x_x;)