声は聞こえなくとも心は届く3 | 注文の多い蕎麦店

注文の多い蕎麦店

人間は何を食べて命を繋いできたのか?
純粋に生きるための料理を実践し
自然に回帰することで
人間本来の生活を取り戻します。

結局ね。
その子は出てきませんでした。
きっと恥ずかしかったんでしょう。
そりゃそうだ(笑)
その後やたら避けられるようになりましたし(汗)

後は特に目的なんてもうない。
盗んだバイクで走り出す。
ただその行為に酔いしれる。

もう十分だ。
元の場所に返しに行こう。

そう言ったのも彼でした。
盗られた人が困るだろ。
そんなところも僕が彼と一緒にいる理由。

結果はこれがまずかった。

無灯火でニケツ、一方通行逆走、信号無視。
そして窃盗。
初犯ながら家裁送致です。

ここで問題になったのが彼の進路。
なんせ地元陸上界の期待の星。
すでに内定の決まっていた強豪高。
その道にいささかの曇りが・・・

と思ったんですけど。

結局揉み消しです(笑)
まるで何事もなかったかのように。
一芸は身を助けるということか。
おかげで共犯の僕もすっかり真っ白(笑)

いやあ世の中うまいことできてるもんだ。
なんて15歳にして世間の仕組みを学びました。

そんなこんなで卒業間近。
彼と疎遠になる出来事がありました。
ある日の帰り道のことです。

家が近いこともあり。
よく彼とは一緒に帰ってたんですけどね。
とくに話すことはないんですよ。
だってかなり気合入れないと聞こえないし(苦笑)

ふいに後ろから呼び止める声。

おい!ちょっと俺らに付き合ってや。

去年までよく一緒にいたやんちゃっ子二人組み。

続く。