狂気の白線集団9 | 注文の多い蕎麦店

注文の多い蕎麦店

人間は何を食べて命を繋いできたのか?
純粋に生きるための料理を実践し
自然に回帰することで
人間本来の生活を取り戻します。

とりあえず双方納まったんですけど。
お互いしこりを残したまま仕事は続くわけで。

とにかくなるべく二人を接触させないように。
皆で気を遣いながらようやく終業間近。

鉄板に付着した溶剤をハンマーで
叩き落とすトヨタ君。
その横に機械を押しながら通りかかったパチプロさん。

ちんたらしとんな。
はよせえよ。

一瞬にして目つきの変わったトヨタ君。

くそじじい。ぶち殺してやる!

まずい。彼の右手には・・・
考える暇も無く爺さんめがけて歩き出す彼。
背後からハンマーを振り上げ・・・

寸前でした。
何とか右手を押さえ込み。
騒ぎに気づいた作業員で彼を羽交い絞めに。

何が起こったのか全く気づかない爺さん。
彼の右手に握られた物を見て
ようやく理解したようで。

な、何しとんのや。お前は・・・

その声はさっきまでの怒声とは一転。
恐怖と怯えに掻き消されそうなか弱い囀り。

そう。爺さん。あなた危なかったよ。
導火線に火を点けといてそ知らぬ顔。
それはないんじゃないの。

結局彼。
クビにはなりませんでしたが
もちろん爺さんと同じ班になることはなく。

その後一ヶ月。
何事も無く雇用期間の期限を迎えたバイト軍団。
そこで全員に雇用の延長が持ちかけられたのですが。
バイトから正規雇用に。
ただし給料はほぼ半減。
それでも残る人がほとんどでした。
だって楽な仕事ですもん(笑)
誰にも気を遣わないし力仕事もない。
技術もさほどいらないしね。

ただ件のトヨタ君には再雇用の相談はありませんでした。
もちろんですよね。
ところが彼。その事実を知ったとき。

何で僕だけ?
まあそんな安い給料で働く気なんて
さらさらないけど。
またセールスに戻ってバンバン稼いでやるわ。

やめときなさい(汗)
君には少し休息が必要です。

何か彼とはもう一度会いそうな気がするなあ。
病院でないことを願います(笑)

完。