あとがき | 注文の多い蕎麦店

注文の多い蕎麦店

人間は何を食べて命を繋いできたのか?
純粋に生きるための料理を実践し
自然に回帰することで
人間本来の生活を取り戻します。

この旅行記。
かれこれ15年近くも昔の話。
地名や時間等あえて再検証せずに綴りました。
15年ほどの歳月を経ても今なお残る記憶。
それだけを頼りに。

人間という生き物は過去の自分の経験。
生きてきた過程を過大に評価しがちです。
特に男という生物。
酒が入ったりなんかすると目も当てられません。
数々の武勇伝。
間違いなく話半分です(笑)

僕のこの旅行記も同じく。
長い歳月とともに過去の体験は賛美され
デフォルメされ煌くような冒険談に。
後日この旅程と雲南省の地形。
移動手段、言語。
徹底的に再考察してみようかと思います。
美化された記憶と過去の事実の相違。
おもしろい検証になるのでは。

ただこの旅行記は今の自分の記憶に偽りなく。
全て脚色せずに書きました。
僕の中ではこれが真実。

何の予備知識もなしに飛び込んだ異国の地。
言葉もわからなければ地理も疎い。
ほぼ恐怖とさえいえる一人旅の始まり。
いざ終わってみれば。

楽しかった。とにかく楽しかった。

まるで素っ裸で歩いてるような感じ。
脳と肉体だけ残して生まれ変わったような。
自分がどれほどの人間か心底理解しました。

経験という皮を剥いだ自分は。
とても小さく。とても果かなく。とても虚しい。
ほんとに弱い人間でした。

この事が分かっただけでも十分。
いい旅でした。
帰国子女にありがちな自分が強くなったという錯覚。
僕には全くありませんでした。
むしろ逆。
自分はなんて弱かったんだろうと。

ほんとにいい経験になりました。
ぬるま湯の中に浸っていては自分の弱さがわかりません。
俺は強い人間。何でもできる。なんて思いがち。
ほんとにね。何もできないんですよ。裸になると。
ご飯さえ食べられないときもある。

若い子たちにはどんどん外に飛び出してほしいですね。
世界はほんと広い。
その広さの中で感じる自分のちっぽけさ。
ここからがスタートです。
このちっぽけな自分に何ができる。何が変えられる。
全てそこから。

以上。長々だらだらと見苦しい拙文失礼いたしました。

懲りずに、次回。
微笑みの国タイ放浪記に続く(笑)