人は一人で生きられるか2 | 注文の多い蕎麦店

注文の多い蕎麦店

人間は何を食べて命を繋いできたのか?
純粋に生きるための料理を実践し
自然に回帰することで
人間本来の生活を取り戻します。

どうにか辿り着いた大理古城。
高速バスは古城の大門前で停車。
ほっと一息。バックパック担いでいざ大理へ。


と思ったら意外に降りる人が少ない。
ちょっと気になったんですけど。
運転手は確かにダーリークースーって言ってたよな。
まあ現地人は観光地に用はないだろし。


いざ大理へ。ん?何かおかしい。
門はあるんだけど肝心の町が見えない。
門の向こうは果てしない一直線。


バス行っちゃった。


慌ててガイドブック広げてみたら(降りる前に広げておきなさい)
市街地一つ手前のバス停じゃないですか。
でもこの時はそんなに気にしてなかったんです。
一駅分のんびり歩いてきゃいいか。
景色も綺麗だし。


中国の一駅をなめてはいけません。


行けども行けども同じ並木道。
なんせ人生初の放浪旅。
念入りに用意した荷物でバックパックはぱんぱん。
そのくせ水も食料も備蓄はわずか。

2時間経過、3時間経過。
行き交う車さえまばらな一本道。
もちろんヒッチハイクする勇気もなし。
たまに通り過ぎるバスもどこ行きかわからない。


もうだめだ。いやもうちょっと。
もう歩けない。あともう少し。
そんな逡巡の末ようやく辿り着いた大理市街。
結局5時間歩きました。


あの時の感動は今も忘れません。
家がある。人がいる。ごはんがある。
当たり前のことがこんなに有難い。

この町でバックパックの中身が半分に減ったのは
当然の結果。

とりあえずガイドブックに載ってるゲストハウスへ。


とにかくびっくり。宿の住人は日本人だらけ。
結構な中国の僻地ですよ。なんでこんなにいるの?

日本の生活が嫌で飛び出した若者(おっさんもたまにいます)
が作り上げた小さい日本。

君たちはなんのために日本を離れたんだ。
君たちはここで何をしているのだ。
もちろんそんなことは言いません。
とにかく寝られさえすりゃそれでいい。
もう疲れた。


2、3日そこにいたんですけど。
結局誰とも馴染めませんでした。
同室の男の子は京大の医学部。
しかも在学中ですよ。
君はここで何の医学を得るのだ。
やっぱり言いません。


昼間から皆で中庭に集まり、ギター片手に
日本の歌謡曲大合唱。
君らはここで一体何を・・・


人生初の放浪旅。
最初に知ったのは荷物を最低限にすることと
異国の地で出会った奇妙な日本人たちの存在でした。


続く。