笑って許して | 注文の多い蕎麦店

注文の多い蕎麦店

人間は何を食べて命を繋いできたのか?
純粋に生きるための料理を実践し
自然に回帰することで
人間本来の生活を取り戻します。

昔そんなTV番組あったよなあ。
今回それとは全く違う話。

以前働いてた飲食店にいた子。
とにかく笑う。
ただしポジ的な笑いではなく全てネガ。

オーダーミスに対し。
ちゃんとお客さんに確認してきたか?
だははああ。

ちゃんと学校行ってるか?
だははああ。

将来何かやりたいことあるの?
だははああ。

何の笑いやねん(苦笑)
もちろん会話にもなりません。
僕に対してだけじゃなく他の従業員にも同じ対応。
そしてお客さんにも。
よくまあホールの仕事引き受けたものです。
最低限の会話はできるんですよ。
いらっしゃいませ。何名様ですか。
ご注文よろしいですか。ありがとうございます。
全部アンドロイド並みの棒読みですけど(苦笑)

ただ応用が利かない。日常会話が。
答えに困るとね。とりあえず笑うんです。
だははああ。
怒られてもだははああ。褒められてもだははああ。
同じトーンで。

当然、他の仲間と同調することはありません。
だって会話ができないんですから。
仲間外れも苦にならない。ひたすらマイペース。

ある時ね。隙見て厨房に引き込んだんですよ。
その子のこと知りたかったから。
ホールでは出来悪いんですけどね。
結構細かい仕事うまいんですよ。
典型的なA型。几帳面、丁寧。完全に厨房向きです。

そのうちね。その子の氷塊も解けてきたんですけどね。
少しずつ。少しずつ。

小さい時に両親が離婚して
母親が水商売で家計を支えてること。
将来は看護士になりたいこと。
友達の前では普通にしゃべれること。

僕なりに考えたんですけどね。
彼女が笑うことで自己防衛する理由。
何とかね。修正できないものかと。
ちょっと時間が足りませんでした。
今もそれが気がかりです。

本題。笑って許して。
赤ちゃんは本能的に人の笑顔を認識するといいます。
人が笑ってることで安心を得
人が怒ってること、悲しんでることで不安になる。

彼女の場合。小さい頃。
怒り、悲しみが周囲を取り巻いてたんじゃないでしょうか。
常に不安な状態。その解決策。
自分の笑いで周りの大人を笑顔にする。
遠回りな安心。
あくまで想像ですけど。
生活することに精一杯な母親。
そんな弱みに付け込む輩もいたと思うんです。
想像ですよ。あくまで想像。想像ですけど。

彼女が看護士を選んだ理由。
人を救う道。傷ついた人を癒す道。

ほんとは自分自身を救いたかったんじゃないのかなあ。
自分の傷を癒したかったんじゃ。
ほんとのことは結局わかりませんでしたが。

少しは傷が癒えたのかなあ。
嫌になるまで足首だけは掴んでてやるぞ。
毎度一行だけの返信メールを頼りに(笑)