マンガ好きの部屋 -708ページ目

紅 kure-nai

紅 kure-nai (集英社スーパーダッシュ文庫) 片山憲太郎


紅 (集英社スーパーダッシュ文庫)/片山 憲太郎
¥650
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[内容(集英社HPより一部引用)]

日本を揺るがす始祖十六家に巻き込まれた!?
もめごと処理屋を営む真九郎のもとに、少女を守る依頼が来た。世界屈指の大財閥、九鳳院の娘・紫を匿うため、共に生活を始めることに。紫を狙うのは日本の始祖十六家…紫を救えば真九郎が殺られる!?


[感想]

独特の雰囲気で読者を引き込んでいく。それは切なく心に刺さる。そして・・・。


アニメ化されたことで、多くの方の目に触れることとなった本作。実際、私もアニメの方を先に知りました。アニメ第1話を見て、なんとも言えないその雰囲気に引き込まれ、書店に走りました。そして一気に読破。その後、アニメ第2話放送を前にシリーズ既刊すべてを読み切りました。それくらい引き込まれた作品。

はっきり言ってアニメとは全然違います。アニメも単体としては良い作品だったが、原作の良さは表わしきれなかったと言わざるをえない。



この作品において第一に語るべきは、その独特の雰囲気・世界観でしょう。その世界はどこかダーク。それは真九郎の過去のエピソードにも表れている。そんな中で序盤はストーリーもゆっくりと進んでいく。


紫を守れと命じられた真九郎が紫と共同生活を始めていく。どこか人と距離をとる真九郎は、紫との関係もぎこちなく戸惑う。だが大人びているようで好奇心旺盛、自分の心にまっすぐな紫と接していくうちに真九郎自身も変わっていく。

話は、真九郎の過去、そして”揉め事処理屋”としての姿を少しずつ明らかにしていく。真九郎が抱える心の病みを紫が解きほぐす。そんな展開はどこか人情話の様相を呈す。

しかし、紫の兄・竜士が現れたことで、ストーリーは一気に加速していく。序盤の人情話がウソのようにアクション要素が強くなる。


それはストーリーだけでなく、その文章にも表れている。片山氏はストーリーの時間の流れを文章で演出することがものすごく巧い。序盤の重く暗い話の部分では、改行を少なくしています。これによって、ページに占める文章の割合が多く、読者が読む速度も落とされるため、感覚としてゆっくりとした、また重い雰囲気を演出しています。一方、後半のスピード感溢れるバトルシーンに入ると、改行が多く全体のボリュームが減るため、一気に疾走感が増します。この計算された文章コントロールによる演出は、さすがとしか言えません。


・・・まあ、私の素人意見ですので、間違ってるかもしれませんけどね。



さて、キャラクターに目を移すと、魅力的な“女性”がいっぱい!!

まずは、”真九郎さん大好き”夕乃さん。いわゆる癒し系お姉さんキャラで、学園のマドンナ。それなのに真九郎ラブ。いやいや萌えないわけありませんよね。

お次は、柔沢紅香。真九郎が憧れてやまない”強さ”を持つ女性。どう考えても、戯言シリーズの人類最強の請負人へのオマージュ(笑)。全体として戯言シリーズの影響が、そこかしこに見えるが文句は言うまい。だって面白いんだから。

そして、真九郎の住む五月雨荘の住人、闇夜と環。闇夜はその名の通り、不気味キャラ。環はエロエロ。イイですよエロ、ウフフ。・・・おっと失礼。こんなことを言いつつも、彼女たちがいたから、真九郎が一歩踏み出せたことは間違いない。それは帰る場所を示す灯りでもあったのでしょう。

あとは紅香の部下、犬塚弥生。シブいね、彼女。「柔沢の犬め!」って言われて「犬です」って返すあたり最高。

夕乃さんの妹の散鶴(ちづる)、通称”ちーちゃん”。可愛いね、この子。紫がちょっと大人びてる分、普通に可愛いマスコット的存在。ホッするね。

そして、史上初、弱冠9歳のヒロイン、九鳳院紫!




・・・・ん?




・・・・・・・・・ヒロイン、紫??





ヒロインは、銀子に決まってるだろがーーーーーーー!!!!



いやーー、銀子可愛すぎます。なんだこの子。幼馴染で絵に描いたようなツンデレでアンパンが好物で菓子パンばかり食べてるのに細身でクラスでは変人で通ってて女子高生でありながら情報屋で真九郎が夕乃にもらった弁当を食べようとするのを見てやらしいそれ崩月先輩から貰ったんでしょやらしいあたしあの人嫌いって言ったり真九郎にトラブルがあっても銀子ならタダでいいって言われてあんたやっぱりバカよって返したり最後の最後で心配させないでって言ったり何この子なんでこんなに可愛いのああ可愛いカワイイかわい




・・・・すみません。取り乱しました。でも伝わったよね銀子の可愛さ。(私の変態さととも)


引き立て役にしてしまったが、紫の可愛さはヒロインというより、娘、妹、家族としての可愛さですね。守りながらも守られる。そういった存在。真九郎にとっても、この作品にとっても、外すことのできない最重要人物です。


これらのキャラクターが魅力的なのは、イラストの山本ヤマト氏の力も非常に大きい。ホントに良い作品と良いイラストレーターが出会ったね。これが変な萌えキャライラストだったら、作品台無しだった。



さて最後になりますが、この作品の主題が真九郎の心の成長であることは間違いない。自分独りだけで強くなりたいと願う真九郎が、紫と出会うことで見つける強さ。それは、誰かを守りたいと思う心の強さに他ならない。

暗く、辛い世界のなかで、最後に暖かさに包まれる。


私にとっては、2008年に出会った最高の一冊でした。