裏庭のワニ | 東四ヶ一の庄

東四ヶ一の庄

実家を離れて40数年。もう帰ることはないだろうと
思っていたこのまちに戻ってきました。
「東四ヶ一の庄」とは、私の愛読書『ホビットの冒険』
『指輪物語』の主人公の家があるところです。

30年ほど前、手話を勉強したことがある。指導者は県の手話奉仕員さんだった。

 

手話テキストの例文で

「にわにはにわ うらにわにはにわ にわとりがいる」

というのがあった。

 

これを、指導員さんは「庭には二羽」と手話で表現してみせ、続いて

「裏に、ワニは二羽」と言いながら手を動かし、そして「ワニも一羽、二羽と数えるんですねー」と言ったのだった。

 

たちまち、受講していた人たちの間から「いやそれは」「ワニじゃなくて」「鶏が」などの声が上がり、指導員さんは「あらー」と目を丸くしつつ「庭には二羽 裏庭には二羽 鶏がいる」という意味の手話を教えてくれたのだった。(使う機会はあまりなさそうな)

 

以来、私の頭の中には裏庭でくつろぐ二匹のワニの絵がしっかり残ってしまった。

(ワニは「匹」でいいのだろうか。大きい動物は「頭」なのかもしれないけれど)

 

などと思うのは、庭に出るたび意外なものを見つけるからだ。

これはキクラゲだろうか。

この前まではなかったはず。雨と気温の上昇のせいで出現したのかもしれない。

天鵞絨のベレー帽のようだ。

 

家の前から裏庭に抜ける通路に椿の木があった。白い花を咲かせる好きな木だったのだけれど、大きく茂って通り抜けるのに邪魔になってしまった。この通路にはオートバイを置かなくてはならず、リフォームするときに切ってもらったのだった。

このキクラゲ(仮)は、その切り株から生えてきたらしい。

 

ちょっと調べた限りでは、キクラゲに似た毒キノコはなさそうなのだけれど、そして見た目も手触りも悪くないのだけれど、やはり食べない方がいいだろうか。

 

昨日は、ほぼ一日風雨が吹き荒れて庭の仕事はできなかった。水と日の光を得て、庭の土の中、枯れた木の中で、いろいろなことが起きているだろう。

 

私には、いわゆる「緑の指」はなく、庭をこまめに手入れしたりガーデニングをする趣味もない。それでも、やっぱり土の庭がある方がいい。

 

嵐が来る前に、フラットブロックを敷く予定で掘ったところに路盤材を入れた。砂利のように丸くはなく、砕石ほど大きくはなく、砂つぶのように小さくない「路盤材」というものをホームセンターで売っているのだ。こういうものを下地に使うことは、ネットの動画に教えてもらった。

 

雨のあとだし、今なら下の地面が柔らかいのではないかと思って、今日はその路盤材を踏み固めた。

右の方にある板を載せて、その上で足踏みする。(飛んだり跳ねたりする方が効果的かもしれない。どうせ隣の人には地面のミミズに謝っているところを見られているから、今更何をしたっていいかも)

 

柱の支えにする束石のような、重みのあるものを買ってきてそれで地面を叩くことも考えたけれど、私に持てる程度の重さのものより私の体重の方がきっと重いに違いない。重量物を置くわけではないから、多分これでいい(はず)。

 

家の前の道には、モチノキの花が風雨で散って淡いピンクに降り積もっていた。ちりとりに二杯掃除した。

咲いているときのモチノキの花。

地面に散ると、小さな歯車がたくさん落ちているように見える。