庭を掘る | 東四ヶ一の庄

東四ヶ一の庄

実家を離れて40数年。もう帰ることはないだろうと
思っていたこのまちに戻ってきました。
「東四ヶ一の庄」とは、私の愛読書『ホビットの冒険』
『指輪物語』の主人公の家があるところです。

ネットで検索したり、動画を見たりして、庭にフラットブロックを敷く準備をしている。

だいたいこの四角い範囲を、全体9㎝掘り下げる。広さは縦横約220㎝。

変形している部分があり、下水の蓋もあるので、動画で調べた通りにはいかない。

 

ホームセンターでフラットブロックを見て来た。30㎝×30㎝、厚みは3㎝。

下地の砂利が3㎝、その上のバサモル(砂3、セメント1)が3㎝、そしてフラットブロックが3㎝。9㎝掘ればいい(はず)。

 

この家は、私が小さかったころ建った小さい平屋に、隣にあった小さい平屋をくっつけて一軒にリフォームした家なので、地面を掘ると色々なものが出てくる。

瓦や瀬戸物のかけら。ガラスのかけら(たくさん)。砂利。石。ドブ板だったものらしいコンクリートの塊。真っ赤に錆びた戸車。なにやらわからない鉄の棒。

 

スコップを突き立て、何かに当たるとその下にこじ入れて、てこの要領でそれを持ち上げる。スコップで何匹かミミズを切断してしまった。ジグモの巣もいくつか壊してしまった。地面に向かって「ああっ、ごめん!」と謝っている私を、庭の水撒きをしていた隣の奥さんはどう思っただろう。

 

庭を掘っていると思い出すのは、ブログに何度も書いた「ツバメ号とアマゾン号」のシリーズの一冊『ツバメ号の伝書バト』だ。
アーサー・ランサム作 絵 『ツバメ号の伝書バト』岩波少年文庫
 
日照りの夏、「水のないところでキャンプしてはいけない」と言われた子どもたちが、ハシバミの枝を使った水脈占いで水源を見つける。彼らはその地面を掘って井戸を作るのだけれど、シャベルの先ががちっと石に当たったり、掘り出した石や岩を集めたり、という場面がある。
 
まさにその通り、スコップの先が何度もがちっと石や瓦やガラスに当たる。あの物語の少年少女が水脈を掘り当て、立派な井戸を作ったのだから、私にだってこのくらいやれるはず、と思う(トシが違いすぎる)。
物語は、いつも私のエネルギーだった。
 
こんな瓶が出てきた。
底の直径は5㎝くらい。インクの瓶だろうか。口のところに溝がないからネジ蓋ではなかったのだろう。昔、差し込む蓋にスポイトがついたインク瓶があったような気がする。
 
家のこちら側をリフォームしたのは50年近く前だったはず。この瓶も、少なくともそれより前のものだろう。
洗ってみると、なんとなく味のある形をした瓶だった。
何十年分かの土が、完全には取りきれていない。
 
狭い地面だけれども、9㎝掘り下げるとかなり土が出る。大きなプランターを買ってきて土を入れ、人参の種でも蒔こうか。これだけミミズがいるということは、悪い土ではないだろう。