庭の生き物 | 東四ヶ一の庄

東四ヶ一の庄

実家を離れて40数年。もう帰ることはないだろうと
思っていたこのまちに戻ってきました。
「東四ヶ一の庄」とは、私の愛読書『ホビットの冒険』
『指輪物語』の主人公の家があるところです。

実家は狭い。平屋でもあり、一般的な人間が二人で暮らすならなんとかなるという程度。(しかし、うちの場合、夫が一般的な人間ではない)

 

狭い家には狭い前庭と狭い裏庭がある。

道路に面した前庭は、本当に狭いのに(センスの悪い)父がいろいろな植物を植えたがったらしく、塀の外に散る葉や花びらを毎日2、3度掃除する羽目になっている。

カラタネオガタマノキ。「カラタネ」というのは、中国から来たもの、ということのようだ。

「オガタマ」とは「招霊」と書き、昔は神事に使われていたという。常緑樹。モクレンやタイサンボクの仲間らしい。確かに花は似ているかもしれない。

 

2、3日前からわっと咲き出したツツジ。

職場の最寄駅の周囲にツツジがずらっと植わっていた。春になると、白、ピンク、オペラピンク、紅の花が法面を埋め尽くし、華麗だけれど気力が充実していないと気圧されそうだった。歩道には、小さい桜のような花の咲く木(カイドウ?)が植えられていて、その木にスズメやカワラヒワがやって来ていた。

 

なんなのかよくわからない蕾。

ボタンとかシャクヤクに似た感じもするけれど(そんな豪華な花がうちにあったのか)蕾の大きさは五百円玉くらいだろうか。蜜が滲み出ているのか、アリが来ている。写真を撮っていたら、黒い羽でオレンジ色の胴の羽虫がやってきた。クロウリハムシ?

 

こういう花木が、これまで何年も、人の住まない家の庭で育ち、咲き、散っていたのだと思う。

花にも木にもなんだか「ごめんね」という気持になる。

そして、散った葉や花びらが周囲に迷惑をかけていたんだろうな、と掃除しながら思った。

 

父好みの前庭と違って、裏は雑草ばかりで私好みだ。

 

オッタチカタバミ。

帰化植物。カタバミの茎が地面を這うのに対し、これは茎が立ち上がる。

 

立ちあがる草の仲間、タチイヌノフグリ。花の大きさは2、3㎜なのに、姿はオオイヌノフグリそのもの。

小さい花なので、小さいカメラではなかなか上手く撮れない。接写に難があるような気がする。良いやり方があるかもしれないので、説明書をちゃんと読んでみないと。

 

オニタビラコ。よく見る花だけれど、かわいい花なので「鬼」があまり似合わない。

オニのつかない「タビラコ」は、春の七草のホトケノザの別名なのだと教えてもらった。実際に見たことはないけれど、写真では、楚々とした小さな一重咲きのタンポポという雰囲気の花だ。

仕事をしているとき、広報用に植物のイラストを探してフリー素材サイトなどを見ていると「春の七草」というタイトルで、あの赤紫のホトケノザを載せているものがよくあった。

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ブロックの下にニホントカゲがいた。

顔を出している。黒い瞳がかわいい。

黒と鈍い金色のストライプが頭から胴までつながっている(仏壇の色と言えなくもない)。尻尾は青と緑の金属光沢があり、全体はなかなか派手かもしれない。向きを変えるとき、その尻尾がちらっと見えたけれど、写真には撮れなかった。

 

ニホントカゲでいいと思ったのだけれど、調べてみると静岡県東部にいるのは「オカダトカゲ」と書いてある(オカダさんて誰だ)。でも、写真でみると違う。ヒガシニホントカゲというのもあるらしく、西日本はニホントカゲ、東日本はヒガシニホントカゲがいるのだそうだ。あまり見分けはつかないらしい。

中部の東海地方はそれら全てのトカゲがいる、ということでいいだろうか。

 

茨城県北部ではカナヘビしか見たことがなかった。

去年の夏、こっちに来ていたとき、空きビルの駐車場で小指ほどもない赤ちゃんニホントカゲをたくさん見つけてとてもうれしかった。宝石のような青緑の尻尾をきらめかせていた。

 

そのビルと駐車場は、今年取り壊されて更地になった。トカゲたちはどこへ行っただろう。