山笑ふ | 東四ヶ一の庄

東四ヶ一の庄

実家を離れて40数年。もう帰ることはないだろうと
思っていたこのまちに戻ってきました。
「東四ヶ一の庄」とは、私の愛読書『ホビットの冒険』
『指輪物語』の主人公の家があるところです。

先月登った山の、てっぺんの展望台まで行ってみた。

 

山の登り口で猫に出会った。

日当たりのいいアスファルトの上で、ごろんごろんと転がっていた。写真を撮って(撮らせていただいて)いたら、おばあさんがやってきて「あらマックス、ちゃんとご飯食べてるみたいだね。近頃うちに来ないけど」と話しかけていた。

 

マックスという名前なのか。そして、あちこちでご飯をもらっている猫なのか。

よく見ると、右の耳がさくら猫なのだ。避妊済みで、地域で飼われている猫なのかもしれない。

 

マックスと別れて少し登ると、シャガが咲いていた。

こんなに大きくて美しい花がそのへんの草むらに咲いている。なんだか不思議だ。美しくてたくましい植物らしい。

 

もう少し登ると、クサイチゴ。

白い花びらは、はやりのシワ加工が施してある。

 

この前、この山の山頂までは登ってみた。そのときの写真。

広場から先の道路は進入禁止だと思っていたので、沼津アルプスの縦走路という、土と岩と丸太を埋めた階段などの山道を登った。誰にも行き会わず(平日だったからか)もしここで足を滑らせて転んで動けなくなったら、そのまま夜になってイノシシにつつかれたりするかもしれないと思った。

 

その日、降りてきて進入禁止の車止めをよく見たら、入ってはいけないのは車両のみで(但し乳母車と車椅子を除く)歩行者はそのままアスファルトの登山道を進んでもよかったのだった。立て札や説明書はよく読まなくてはならないと思った。(乳母車と車椅子は車両なのだろうか?)

 

そこで、今日は楽な登山道を行った。山頂と展望台は1㎞くらいはなれていて、縦走路を通ってももちろん行けたのだけれど、この前の私はその気力がなかったのだ。

 

途中の広場のソメイヨシノ。昨日の風雨で地面に花びらが散り敷いている。

     天と地の桜の間(あわい)に独り居る    monokakineko

 

展望台に登ると、本当に街全体を見渡すことができた。

狩野川河口から駿河湾に注ぎ込む水の色が違う。昨日の雨で、川の水に泥が混じっているのだろうか。左は伊豆方面、右は富士市の方角。この海は東から西へ流れているのか。

 

そして富士山。

富士山の雪がだいぶ消えている。そうか、春なんだ、とあらためて思う。

雨で空気が洗われたはずだと思うけれど、やはり春の遠景は冬ほどきっぱりとしていない。

 

下る道の脇で、ホタルカズラを見つけた。

写真に撮ると見たままの色にならないのがもどかしい。美しい瑠璃の色。この花に出会えただけでも、今日山に登ってよかった。

 

ムラサキケマン。

そして、モミジの若葉の緑。

     息吸えば肺も緑に染まるなり

 

20年ほど前にネット句会に出した句。でも、「緑」は夏の季語らしい。

 

写真には撮れなかったけれど、鳥たちもいた。(ツグミはまだいるらしい)

猫をはじめ、様々な植物に出会えた。猫は植物ではないけれど。

 

そういえば、こんな猫もいた。

畑に植わっていた猫。数日前に出会った。

 

出会ったといえば、登山道で初老の女性ふたりと出会った。話しかけられ、しばらく一緒に歩いた。ひとりは私より年輩で、昔のこの山の記憶が共通していて、なかなか楽しかった。

そして展望台についたとき。

「聖書に興味はおありですか?」と聞かれた。

ああ、そういう方たちでしたか。

 

神が愛や寛容を説くのなら、どうして神の名のもとに戦争を起こす人たちがいるのだろう。

どうして戦争で死ぬ子どもたちがいるのだろう。

 

ふたりとの会話が楽しかったこともあって、なんだか残念だった。

 

彼女たちと別れて下った登山道の脇に、不思議な神様たちの溜まり場があった。

和洋折衷、時代も様々。日本的といえばそうかも。(右端のサルはなんだろう)

 

今日は写真多めでした。