水のある場所 | 東四ヶ一の庄

東四ヶ一の庄

実家を離れて40数年。もう帰ることはないだろうと
思っていたこのまちに戻ってきました。
「東四ヶ一の庄」とは、私の愛読書『ホビットの冒険』
『指輪物語』の主人公の家があるところです。

17日、18日と、これまで住んでいた街に行って来た。

 

少し時間があったので、前の家の近くの緑地公園へ行った。

以前は、月に何度かここへ来て、野の花木の花、キノコや鳥カエル蛇カメ虫(カメムシではなく、カメや虫)を見た。

 

今住んでいるところには、歩いて行ける距離にこういうビオトープのような場所がない。道端や海、山、川などでいろいろな動物・植物に出会えるけれど、この緑地に行けなくなったのは転居して残念なことのひとつだ。

 

緑地は、もとは湿地帯だったらしい。池があり、水鳥がいる。私が最後に見たときより、池の葦がずいぶん刈り取られてすっきりしていた。

遠かったので(とても)わかりづらいけれど、アオサギ。(別名なぞの鳥)

 

葦を刈って水面が広くなったからか、今年の冬は30羽ほどのカモ類が来た、と緑地管理のボランティアをしている人が話してくれた。

「ここを『モネの池』のようにしたいんですよ。ハスを植えるんです」

ああ、いいですね。(しかし、モネなら睡蓮ではないだろうか)

花のこと、鳥のこと、ザリガニのことなど、その人はいろいろ教えてくれた。

 

ヒメリュウキンカとアカタテハ。

ヒメリュウキンカの花びらのように見えるのは萼片。プラスチックのようにパリパリつやつやしている。

 

そして、ここにも河津桜。

真ん中の2輪の右側の花。雄しべの一本の先が、花びらのようになっている。この花は一本だけだけれど、複数の雄しべがこうなっているものもあった。

これは「旗弁」というらしい。こういうものが八重桜になっていったのだとか。

 

わかりにくいけれど、コゲラ。(わかりにくい写真ばかり)

お腹側からしか写せなかった。背中のきれいな白黒の縞が撮りたかったが、頑なに背中を見せてくれなかった(背後に立たれたくないとは、ゴルゴ13のようだ)。この写真では翼のほんの一部の縞が見えるだけ。

コゲラは、日本で一番小さなキツツキ。何年か前の冬、この緑地でシジュウカラやエナガと混群をつくっているのを見たことがある。

 

そして一度だけ、ここでアカゲラを見た。リズミカルに木の幹を叩いていた。飛び去るときに翻った翼の下に見えた赤が美しかった。ここへ来ると、また会えないかと、いつもあのときアカゲラのいた木の方を見てしまう。

姿を見ることはできなかったけれど、ガビチョウとシジュウカラのさえずりを聞いた。

 

ウグイスの声も、今年初めて聞いた。(藪の中で「チャッ、チャッ」と言っていたのもウグイスだったんだろうか)

この緑地のウグイスは「ホーホケピキョ」と鳴く。毎年ここで、この「ピキョ」の声を聞いた。親の鳴くのを真似て、代々「ピ」を入れるのが受け継がれてきたのだろうか。だとすると、ウグイスの鳴き声にも方言があるのかもしれない。今年初めての声も「ホケピキョ」だった。

 

夕方、用事も兼ねて友達と会った。一緒に近くの神社へ行った。

約1300年前に編纂された『常陸国風土記』にも記述のある泉。今も、泉の底の砂を巻き上げて水が湧き出している。水底をザリガニ(条件付特定外来生物)が歩いていた。

 

この日は参拝する人が大勢いた。仕事をしていたころ、休みの日にここまで歩くことがあった。たいてい平日だったから、私はこの泉の周辺をほぼいつも独り占めできた。

風土記の時代、夏の夜に近隣の里人たちが酒肴を持ち寄り、この泉のまわりで涼をとったという。そのころの夜は暗かっただろう。暗い夜の星は、今より明るかっただろう。

 

そろそろ主役の座を降りつつある冬の星座、オリオン。帯の三ツ星の真ん中の星(「アルニラム」というらしい。今調べて知りました)が1300光年の彼方にある。今見るのは風土記の時代の光なのだ。

 

そういえば、私はまだ自分の目で実際に天の川を見たことがない。

 

眼に良いという水場でお参りする友達。

近眼や老眼にも効くといいのだけれど。