しばらくして俺は警察署に行った。
親の前で言われるくらいなら自分から行った方が気が楽だった。

警察署に行き、受付の方に向かった。
「こんにちは、ご用件は何でしょうか」
受付の人に声をかけられて驚いたが、思い切って言うことにした。
「あのー…… 朝の自殺の件で…」
確信を言おうとしたが、上手く口が動かなかった。
怖いのか?
「聞いたか? あの自殺」
「あぁ、あれか あれは気が狂ってるよ」
「第一、そんなに好かれてた錬哉ってやつ? あいつも惜しいの棒に振ったよな 意外に美人だったし」
「まぁ、俺らには関係のない話だけどな」
殴りたい…… 殺してやりたい……
しかし、心からそう思っても行動に移せなかった。
いや、やっちゃいけないんだ。
「何でもありませんでした……」
俺は怒りを抑えて出ることにした。

……

「おぉ、爛崎じゃん」
前の方から部活帰りの一ノ瀬が来た。
今はあんまり気が向かない。
「あぁ… もう部活は終わったのか…」
俺は素っ気なく答えた。
あんまり答える気になれなかった……
「あぁ… じゃぁな」
意外にあっさり一ノ瀬と別れた。
あいつらしくないな……

………

帰ったらなぜかチャットをやっていた。
名前は市川 良孝でやっていた。
市川:こんばんわ
A:こんばんわ 今爛崎の話をしてたんだ。
B:あいつも嫌なとばっちりを受けたな…
C:あぁ、全くだ。
市川:とばっちり?
A:あぁ、おまえは事のあらましを知らないのか
B:今日自殺のがあっただろ。 そいつ、実は殺されたんだ。

え、そうなのか……

C:あぁ、しかも手で締められた後もでている。
B:しかし、指紋が何故か出ていないんだ
C:手袋でもしてたんだろ?
B:多分そうだが… 気味が悪いな
A:後ろを振り向くなよ? きっと誰か居るから
C:今後ろに妹が居る(キリッ
B:おまえは黙ってろwww

おぃ、人の死をそんな軽視していいのかよ…
俺はPCの電源を切って寝ることにした…
しかし、周りは普通に動いていたから俺はその軌道に乗ることにした。
まずは登校する。
学校を休むとむしろ怪しまれる。
「行ってきます……」
俺はいつものように学校に通った。
心はボロボロだったが、体が元気だから通う義務があると思った。

「よぉ、爛崎 元気ないな」
後ろから誰かに捕まれた。
「あぁ、一ノ瀬か…」
一ノ瀬は俺のクラスメイトで、デリカシーはないが良い奴である…と思う。
「なんだよ… また振られたのか?」
今日はデリカシーのなさが際だっている。
できれば会いたくなかった……
「別に……」
俺は冷たく引き離した。
今は思い出したくない……
「なんかあるだろ絶対!! 話してくれよぉ 友達だろ?」
今はお前に話したくないんだよ!
察してくれ!!
「お前を友達と思ったことはないな……」
俺は一ノ瀬を冷たく突き放して学校に行った…

授業もあまり集中できなかった。
だってふと力を抜いたら泣き出しそうだったから…
「爛崎…… ちょっと来てくれないか?」
放課後になり、いきなり立澤先生に呼ばれた。
じ授業のことで呼ばれるのかなぁ……
「えぇ、分かりました」
今日は部活にもでようと思ってなかったし、言い訳する気になれなかった。

「はいよ」
いきなり先生から缶コーヒーを渡された。
何でだろ……
「ちょっと来い」
先生は俺を屋上に呼んだ。
屋上は普段立ち入り禁止で、入るのが初めてだった。
「どうした? 今日はなんか物悲しげだったぞ…」
先生にいきなり言われて、心臓の中まで見られた気がした。
先生なんてみんな自分自身のために働いているのだと思っていた。
「えぇ……少しありまして」
少し泣きそうになったが、押さえて答えた。
「少しか…… 無理はするなよ」
なんで……こんなに泣かせてくるんだよ……
「くさいか… ってそんなことはどうでもよくて! おまえ一昨日レポート出さなかっただろ!!」
一瞬で涙腺から涙が失せた。
やはり先生か……
「あぁ、すいません…」
「すいませんじゃねぇよ 明日までに持って来いよ」
先生は軽く俺を蹴って職員室に行った。
何だったんだろう……
時刻は午後8時を回っていた。
なぜそんな時間になっているかというと、話すと長いのだが部活で遅れてしまった。
しかし、先輩はどういう気持ちでいったんだろう……
『次は、住吉 住吉 御降りの方はお忘れ物の無いよう、お気をつけください』
そんなことを考えていたら、地元の駅に着いてしまった。
意外に高校から駅まで距離があるから困る。

俺は普通に電車を出て、普通に駅に出た。
何故か、駅前には野次馬が群がっていた。
そして、見事に家までの交通経路も塞がれてしまった。
「仕方ない。 路地裏を通って帰ろう」
俺はあらがいもせず、他の道を探し始めた。
路地裏に入ると、人影が大きく減った。
都心では良くある風景だが、今日は一段と寂しく見えた。

ガチャリ ガチャリ
後ろから人の足音と、金属のぶつかり合う音がした。
(やけにチャラチャラした奴がいるなぁ)
振り返ってみたが、誰もいなかった。
おかしい…… 確かに音が鳴っていた。
俺か? いや、今日はそんな音の鳴る物は持っていた。

俺はまた前を向き直した。
そこにいたのは……
「殺人…… メイド…」
チェーンソーを振りかざす殺人メイドだった。
「死ね……」
殺人メイドは躊躇わずチェーンソーを振り落とす。
「ぅわああぁぁぁぁ!!」
俺はとっさに横に飛んだ。
しかし、避けれるわけもなく左腕にチェーンソーが直撃した。
「ヴぅ…… 痛い」
幸いなことに肉をえぐられた程度で済んだが……腕を切り取られたことを考えると……おぞましい。
しかし、肉を削られるのは痛い。
もう、血も留まることを知らないでドブドブ流れてる。
頭もだんだんぼーっとしてきた。

殺人メイドはまたチェーンソーを持って近づく。
あぁ、俺はここで死ぬのかな?
殺人メイドはチェーンソーを構えた。

俺は全力で殺人メイドにタックルした。
殺人メイドは体重の軽い分綺麗に飛んで壁にぶつかった。
俺はそのまま家に逃げた。



「どうしたのその傷!?」
家に帰ると、親がすっ飛んできた。
やっと逃げてこれたか……
「あぁ… さっき… さ… 殺…」
親に説明しようとしたら、あのことを思い出して上手く喋れなかった。
「それより! 早く救急車を!!」
親もあためふためいて話を聞いていなかった。
いや、話すのは止めよう。
これ以上親をパニクらせたくない。

しばらくして救急車がきて、俺は病院送りになった。
怪我もすぐ治り、また普通に生活が出来た。
警察は通り魔事件として扱ったが、あれは確実に殺人メイドだった。
その後、俺のポケットの中にお札で作られた十字架が入っていることを俺は気づいた。