「はぁ……」
気が向かないまま部活にきたが、いまいちやる気が起きない。
今日は休むべきだったか?
「どうしたの平野くん? 元気ないみたいだね」
不意に、五十嵐先輩の声が聞こえた。
先輩は俺の一つ上で、尊敬できる先輩だ。
「えぇ…… ちょっとショックなことがありまして…」
まさか噂なはずのあれが………
「ふーん… ねぇ、ちょっと目を瞑ってみてよ」
先輩がいらずらっこみたいに笑顔で言ってきた。
俺は静かに目を瞑った。

………

「もういいよ」
先輩の声が後ろから聞こえた。
「何で目なんか閉じさせたんですか?」
俺は後ろを向きながら聞いた。
が、そこにはカジキマグロを持ったメイドがいた…………
「うおぉ!!!!!」
俺は盛大に驚いた。
ただの噂と知っているのに、盛大に驚いた。
「どう? この子の衣装すごいと思わない?」
よく見ると、メイドは演劇部の先輩で、先輩はその後ろにいた。
「すごいも何も…… 何でこんなところにこの人が……」
他部の人がなぜいるのだろう……
「ちょうど休憩中に来てくれるっていうことになったから驚いてもらおうかなって…」
駄目だ、先輩は乙女すぎる。 そんなんでは今の世の中で踊らされるぞ…
「あぁ、そろそろ時間だから行くね」
演劇部の方が時間を見て、急いで部室を後にした。
「じゃ~ね~」
先輩は急いで行った人にゆる~い別れを告げた。
あの人はこれだけに呼ばれたのか…
「んじゃぁ部活に戻ろうか」
先輩の言葉でまた、部活を再開した。
「ねぇ、今巷で噂の殺人メイド知ってる?」
「知ってる知ってる!! 今ネットで話題のでしょ!!」
何をきっかけに、何があって広まったかは知らないが、世の中に殺人メイドというのが話題になっていた。

殺人メイドの特徴

・メイド服(詳細は諸説ある
・チェーンソーなどの殺戮兵器を持っている(たまにカジキマグロを持っている
・見つかったら確実に冥土に送られる(メイドだけに
・気まぐれ(説によっては殺す相手を命令できる
・謎の主人が居る(自分が主人になれる場合もある

一応、退治も出来るがお札と十字架のコンボが必要らしい。
いったいどんな組み合わせか知らないが……
それもあってか、今はお札と十字架のキーホルダーが人気になっている。

「平野さんよー、何をぼーっとしているんだよ」
横から宮崎の声が聞こえた。
「あぁ、どうした宮崎?」
俺は紳士に宮崎に尋ねた。
こいつは俺のクラスメイトで、殺人メイドに詳しい奴の一人だ。
「だから、何をそんなにぼけーっとアホらしく呆けてるんだよ」
尚、こいつは一応男だ。
「俺か? 俺は人を殺めるメイドに踊らされてる世の中を憂いていたんだよ」
詳しくは上を見てほしい。
「何を馬鹿な… もう殺人メイドは活動を始めたよ」
えぇ!? いや、あれは…
「そのメイドって… ただの噂じゃ……」
「いや、本当にいたんだよ。 犯人もまだ見つかってないし、チェーンソーで首元をすぱっと …ね」
宮崎は首が切れるのをジェスチャーで表した。
いくらなんでもそんな惨い殺し方をするのはジェイソンくらいだろ……

『キーン コーンカーンコーン』
俺の胸のざわめきとは裏腹に、学校のベルが鳴り、下校時刻となった。