「うーん、やっぱり難しいね」
市さんは少々あきらめかけていた。
俺は曲を吹くことを考えてドレミを教えていたが、やはり教えるのは難しかった。

ドレミは本来、西洋音楽に使うもので、今の市さんには要らないはずだった。
しかし、トランペットを吹くことと、俺が教えるためには理解しなくちゃならなくなった。
「はぁ… 教えるのも大変だ」
俺は何から教えればいいかが分からなかった。
俺達から見れば当たり前のことが違うからな…

「ねぇ、 少し遊ばない?」
市さんは奉公人に頼んで碁石と駒を持ってこさせた。
将棋をする気か?
「私頭を使うの苦手なんだよね…… 将棋倒しって知ってる?」
将棋倒しか…… 懐かしい気がした。
俺は意外にファイアーエンブレムとか好きですぐに積み将棋とかに走ったからあまりやらなかったが、やってみるか。
「知ってますよ。 やりましょうか」
俺達は早速将棋倒しをやり始めた。

~~~~~~~~~~~
「そうか…… んで?あの少年は帰れないのか?」
織田達は密談用の部屋で話していた。
「えぇ…… でも帰れる方法はあります でも…」
「でも?」
「帰すためにはあの人の力が……」

~~~~~~~~~~~
「あーー!!! もう一回!」
これで何回目だろう……
俺はうんざりするほど将棋倒しをした。
市さんは全敗、俺は全勝。
これは終わりそうにないな…

「そろそろ食事です」
奉公人の伝えで、ようやく終われそうだ。
食事か… 何が出るんだろうな。
「分かったわ。 これは食べてからね」
碁盤を横にずらして市さんは立ち上がった。
俺もそろそろ行こう。
俺はトランペットをケースにしまって市さんの後をついて行った。
「………ということなのです」
俺と憑神は今までのことを話した。
「なるほど、貴殿が未来の物なら戦に出すのは止めよう」
なんとか軍楽隊の話は無くなった。
このままこのカオス状態が無くなって欲しい……
「所で、憑神は用があってきたのでは?」
憑神は何かを思い出して慌てる。
「そうだよ! ほら、吹く準備して!!」
憑神は慌てて物を取りに行った。
あっ、俺がこっちに来た理由のか!!
俺も慌てて準備をした。
それを面白そうに見る二人。

「持ってきたよ!!」
憑神の手には一つの箱があった。
「これに吹くの?」
拍子抜けと言うほどではなかったが、びっくりした。
一体はこの中に何が……
「ほら、吹いて」
目を輝かせて俺に言ってきた。
嫌な予感がする……

俺は仕方なくも、たなばたを吹いた。
もう織田兄弟に吹いてるようにしか見えなかった。
「上手いね……」
市さん(姫)も俺の演奏を聞いてくれている。
「あぁ、凄いな……」
なんか偉い人に褒められると照れてしまいそうで怖い。
まだ演奏中なのにね。

『ガタガタガタガタ……』
箱がいきなりがたがた揺れ始めた。
憑神の祖先が中にいるのか?
「おぉ、もうそろそろかな?」
憑神が嬉しそうに箱を止めている。
出してあげればいいのに……

♪~~~

たなばたも最後に来たとき、憑神が動き始めた。
「さぁ、出てきて!!」
憑神が勢いよく箱を開けた。
大量と煙とともに、何かの影が出た。
「なんだあれは……」
俺はあまりのことに吹くのを止めてしばらく待った。

「うぅ…まだ明るいよぉ」
煙が引くと、一人の子供がいた。
「なんだあr」
「やっぱかわいいよー!!」
憑神は俺がなんだあれと言いきろうとした時に勢いよく子供に抱きつき、愛で始めた。
あまりの速さに言葉を失った。
「なんだあれは……」
信長様が代わりに言っていた。
俺が言いたかった……

「その子は誰なの?」
誰なのはおかしいか?
まず人間じゃないからなぁ……

「この子? この子は私の妹です!!」
憑神は誇って妹を紹介した。
妹か…… 妹!?
「俺はこいつのせいでこっち(安土桃山時代)に飛ばされたのか!?」
そんなの許せねぇよ!!
どれほどおどおどしながら過ごしたことか……
「そうよ。 なかなか出てこなかったのよー」
どうやらマジでその理由でこっちに飛ばされたらしい。
先代とか病の話は嘘だったのか………
「まぁ、落ち着いて。 今日は休んだ方がいいわ」
市さんが俺をなだめてくれた。
まるで癇癪をおこした子供のような扱いだった。

「憑神よ、話がある。 その子供を連れて我の部屋に来い」
信長様は憑神とその妹を連れて自室に戻っていった。

部屋には市さんと俺だけになった。
「二人だけになったね… また教えてくれない?」
「いいですよ」