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何とかしよう!

 米原子力規制委(NRC)の内部文書が21日に公表された。なぜ今これほどの現政権にも影響を与える内容が公にされたのか不明だ。ここでは菅政府の原発事故当初からの避難指示が適切だったかを考えてみたい。      

 NRCは3月11日には日本の規制当局の情報が拒否されて得られなくても、炉心損傷で放射性物質の著しい放出を予測し、12日には日本在住米国民を50マイル(80キロ)圏内の避難が必要と考えていた。炉心が100%溶けているとすればとの前提だが。

 80キロはNRCの放射線影響評価システムによって西方向38キロにプルームが到達する可能性があったのでその倍としたということだ。トモダチ作戦などといかにも日本を助けに来たように報道されたが、在住米国民避難のための情報が最も欲しかったことも明らかにされた。

 一方わが国はどうか。3キロ、10キロ、20キロと小刻みに拡大し、30キロ圏内は屋内待避としたのだ。ポイントは日本政府と経済産業省保安院がメルトダウンとの認識をもっていたかどうかだ。12日に中村幸一郎審議官が1号機が水素爆発直前の記者会見で1号機周辺でヨウ素とセシウムが検出され、「炉心の燃料が溶け出しているとみてよい」と発言した。

 ところが13日までには担当を外され、かの西山審議官に交代し枝野官房長官とともにメルトダウンを明確に否定した。その後は隠し続け、4月18日にはようやく保安院は原子力安全委員会に燃料溶融を認める報告を行い、東電は5月に1号機が3月12日朝にはメルトダウンであったことを認めた。

 詳しくは、欠かさず記者会見に出席して事実を追及してきた著者らによる「検証福島原発事故・記者会見」(日隅一雄、木野龍逸、岩波書店)をご覧頂きたい。保安院はERSSの解析結果を基に2号機は12日午前三時に炉心溶融に至ることを予測し、菅首相に報告していたことが明らかだ。さらに1、3号機も同じく予測していた。

 だが、菅首相はあろうことか、「後になって、メルトダウンやメルトスルーが起きていたことがわかりましたが、最初は東電をはじめ、原子力安全・保安院、原子力安全委員会も燃料棒の一部損傷という見方をしていたわけです」(通販生活春号)と山口二郎のインタビューに答えていう。 

 残念ながら、「検証福島原発事故・記者会見」によってこの発言は事実ではなく嘘であることが明らかになってしまった。菅首相も保安院も中村幸一郎審議官と同様にメルトダウンの認識をもっていたのである。もちろん現経産省の枝野氏等も。
 
 日隅一雄氏らは、メルトダウンによって大量の放射性物質が広域に拡散するから、「政府としては、メルトダウンの可能性を認識しているのであれば、避難区域の拡大、もしくは大規模な避難に備えた準備をする必要があった」という。

 菅政府が避難区域を米国のように80キロに拡大しなかったのはなぜか。SPEEDIの拡散予測を明らかにしなかったのに、文科省はこのデータを用いてモニタリングカーを走らせて線量を計測していた。3月15日には浪江町の30キロ圏内の赤宇木地区が300μSvであるのを把握しても住民に知らせはしなかった。(「検証福島原発事故・記者会見」)これもまた、少なくともフクシマの人々に被曝させないよう安全を守る気はなかった証拠である。

 NRCの議事録について、なんと福島県生活環境部が「避難指示の範囲については住民の安全と地域コミュニティの維持を両立させなくてはいけない。米国より結果的に狭い範囲となった日本政府の避難指示が危機意識に欠けるとは一概に言えない」と理解を示したと福島民報が報じた。(2月23日)

 不思議なコメントだ。なぜ菅政府の初期避難の対処の誤りをフクシマ県民の立場にたって、富岡町長のように怒って批判しないのか。現にこの誤りで無用な取り返しのつかない被曝が起きたではないか。山下俊一氏らの100mSv安全論などICRPの言説とともにとうに破綻しているのだ。法律で1mSvと決まっているのに、双葉町長が言うとおり福島県民は20倍もの20mSvの危険を耐えねばならないのか。

 「住民の安全と地域コミュニティの維持を両立させなくてはいけない」とは、つまり、避難の範囲を狭くすることに福島県が関わっているということに違いない。だからこそ、深刻な放射性物質の拡散を軽視し、1月から急に高くなった定時降下物セシウムの値の真相を明らかにせよと国に抗議もせず、見通しのあるとも思えない除染で時間稼ぎをして諦めさせようというのだろう。

 このコメントの姿勢が福島県当局のものでもあろう。低線量被曝,内部被曝の危険ににフクシマを放置しているのはコミュニティの維持とやらの
お題目のせいだ。フクシマ県民の健康あってこそのコミュニティであるのは当然である。繰り返すが山下俊一氏らの言動はフクシマを切り捨てるモノでしかない悪魔のものだ。

 菅政府のメルトダウンを知らなかったという嘘を許さず、20キロという避難区域の誤りの責任をきっちりとらせねばならない。また、野田政府、県当局や首長が避難や疎開はフクシマの当然の権利なのに認めずに立ちはだかることに抗議を続けねばならない。




 原発再稼働にむけて経産省が突き進んでいる。福島原発事故を想定の被害範囲と考えて原発を動かすと枝野氏は言った。これほどの犠牲を強いながら金儲けしか考えない大資本と使いっぱしりの政治家には呆れる。フクシマの大事故被害と事故後の非人間的な健康管理は原発のあるすべての広範な地域の明日である。


 東電福島原発大事故の影響は20キロ圏内等が避難を余儀なくされた。福島県は県民健康管理調査を行なっている。なぜ事故を引き起こした東電と国が責任を持って行わずに県が行なっているのか理解できない。ともかく、1月25日の検討委員会の資料から考えてみる。


 検討委員会のメンバーは、座長があの山下俊一県立医大副学長。神谷研二県立医大副学長と二人は放射線健康リスク管理アドバイザーである。明石真言放医研理事、児玉和紀放影研主席研究員。残りの4名は福島医大から2名、医師会、保健福祉部長だ。このメンバーを見ただけで、わかる人は私の結論はすぐにわかるだろう。


 放射線の影響による不安の解消と将来にわたる健康管理が目的だ。不安の解消とはまるで影響がないような言い方ではないか。ま、怒りを抑えて先に進もう。基本調査は県民が行動記録を問診票に自ら答える。空間線量の最も高かった時期7月11日までの外部被曝線量を一人一人推計する。


 先行調査として実施されたのは浪江町、飯舘村、川俣町山木屋地区の約3万人だ。菅政府は20キロを避難地域に30キロ圏内を屋外避難地域とした。ところが、同心円ではなく北西方向にさらに中通りに避難地域よりもひどい汚染があることがわかり、ひと月も経った4月12日に計画的避難地域としたのだ。調査に入った大学教授があまりの線量の高さの中で普通の生活をさせている姿に号泣した地区だ。


 この先行実施地区の1589人を分析した結果、最高値は14.5mSvであり、全体の97.4%が5mSv未満であった。「これにより放射線による健康被害は考えにくい」との評価である。「これにより」が何を根拠か不明だが、おそらく100mSv偽理論に依拠しているのではないか。放医研の推計が信頼できるかも大いに疑問だ。私自身も調査の対象なので根拠をしっかり聞いてみるが。


 問題点はふたつ。年間積算被爆が100mSv未満では影響がないを一歩進めて安全だといった山下氏、それに依拠する放医研、放影研だから、健康被害はないとするのだ。ICRPとその傘下の彼らが認めなくとも、低線量の被曝の被害は、広島・長崎、チエルノブイリ、原発労働者の調査から明確になっている。(「低線量・内部被曝の危険性」、肥田舜太郎、児玉龍彦、菅谷昭氏らの著作)


 二つは基本調査には自分の畑や果樹園等で作った作物や飼育している家畜の乳を飲んだかや飲んだ水についての調査がある。一見内部被曝を調べているように見えるが、このことについての評価はない。しかも、3月31日までしか調査を行わない。つまり、東電が撒き散らした放射性物質による内部被曝こそが今後永遠といってもいいほど続くから誠に危険だとの上記の人々によるまともな警鐘を無視しているのだ。かなりの外部被曝と内部被曝をフクシマに我慢せよというのだ。


 甲状腺検査については、チエルノブイリで明らかになった放射性物質による内部被曝だから実施するという。前述した地区の子供を対象とした状況も明らかにされている。しこり(5.1mm以上)や嚢胞(20mm以上)がある子供はB判定とし0.7%であった。「二次検査の対象「現時点では、放射線の影響は考えにくく、大部分は良性のしこりであることが予想される」と評価している。早すぎないかこの結論は。


 評価が本当ならよかったといえる。しかしチエルノブイリにおける実情について、ICRPが実際の甲状腺がんの発生を12分の1しか数えず、過小評価した代表例としECRRは指摘している。だから信頼できないのである。さらに内部被爆の影響で重要な実行線量換算係数も5分の1から26分の1とICRPはECRRよりもはるかに低い。


 ホールボディカウンターの検査も行われ健康に影響がないと評価されている。甲状腺や膀胱、筋肉、骨など特定の部位に蓄積して放射性物質が細胞に長くわるさをしがんなどを発生させる。内部被爆はα線とγ線が強烈に働きかけるが、ホールボディカウンターではγ線しか計測できないのだ。


 この他健康診査、こころの健康調査・生活習慣に関する調査、妊産婦に関する調査を行う。一見いいように見えるが、「チエルノブイり原発事故に健康への長期的影響として、心身における変調が主要な問題のひとつ」という書き方で正体がばれていまった。つまり放射線の影響ではなく、ストレスや生活習慣のせいにしたいのだ。


 どうやら100mSv理論に依拠し、小児甲状腺がんしか放射線の健康被害を認めない健康管理調査のようだ。心配していたとおりであった。がん、白血病、心臓病、脳卒中、ぶらぶら病、流産、胎児の異常、遺伝的影響など実際に発生している健康被害を認めないようだ。


 広島、長崎の被爆者たちが医学と科学を装った政治によって健康被害を認められなかった歴史をわが国はもっている。放射性起因性については今回の原発事故の補償でも被害者が立証責任をおっている。つまり、戦争はひとしく国民が犠牲を負うべきだとのとんでもない受忍論を展開し、非情な役所が金を出し渋った。(「被曝と補償」直野章子、平凡社新書)


 健康管理調査からみえてきたことは、またもやこの悪路を200万フクシマ県民が歩まされていることだ。検討委員会のメンバーでは健康を守る調査は到底無理である。私には科学や医学の専門家を装った彼らが、金を出したくない政治の顔色だけを見て行う悪魔の健康管理にしか思えない。原子力ムラを支えた放医研や山下氏らではなく、別の良心と誠実さをもった、人の心の分かる医師たちにセカンドオピニオンを切実に求めている。


以下は資料です。http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/240125shiryou.pdf

 フクシマは東電原子力発電所大事故以来、くっきりと線が引かれている。4月22日から20キロ圏内を警戒区域(3月12日当時は避難区域)という。3月11日に第一原子力発電所の事故で3キロ圏内に避難支持を出し12日朝には10キロに広げた。1号機が12日15:36に爆発し、19:04にはさらに20キロに広げた。


 短時間のうちに相次いで避難指示範囲をひろげたため、何十万人もの住民は混迷を極めた。どこにどの方向に逃げればよいのかほとんど指示もなく、放射線量については当初は原発敷地内が高いという情報ばかりで、それさえも伝わったかどうかわからない。命からからがら逃げている道路も、一時避難していた場所も放射線量は住民は知らされなかったた。


 だから、国のいう20キロの同心円のできるだけ遠くへという意識だけで逃げ、かえって高い放射線量の地域で被曝した人が多かった。一号機の水素爆発後、10キロ圏外の浪江町苅野小学校に700人の町民が避難していた。防護服を着て線量計を持った人が東京電力の社用車で現れ、放射線量を測定し、避難区域外なので安全であると立ち去った。線量計のアラームは鳴り続けていたという。また、20キロから30キロ離れた浪江町の対馬地区にも3月12日に防護服を着て線量計を持って放射線量を測定していた。(「震災と情報」徳田雄洋)


 驚くことに、というより静かに怒っているのだが、これは3月12日の事故直後の段階ですでに避難指示の10キロ圏外での目撃だ。これに対し、東電も政府も何らかのコメントをした記憶がない。が、既に広範囲に移動して防護服で自分の身だけは守りながら放射線量を計測していたこと、そして住民には知らせなかったという点は確かだろう。この頃枝野氏は原発敷地内の高い線量には触れても、住民の住む地域については何も言ってはいない。一体何を目的に線量を測っていたのか。

 

 13日には、10キロ圏内に114名、20キロ圏内には18万人弱が残っていると枝野氏は言った。14日には3号機の水素爆発が置き、15日には2号機と4号機でも爆発がしたと発表があった。菅首相はこの時点で、放射線量がかなり高いとして、20キロから30キロを屋内待避にした。


 つまり、3キロ、10キロ、20キロと爆発が起きてしまってから避難指示が小刻みになされた。よくスピーディが使われなかったことが問題とされるがそう単純ではない。東電も政府・経産省も絶対安全という自分で付いた嘘に騙されて、予測さえしていない大事故の準備を何らしていなかった。もっと非難されるべきは、住民の被曝を防ぐという点が全くと言っていいほど疎かにされたことだ。その体制は今も続いている。


 さらに大きな過ちは、屋内退避とした浪江町の一部や30キロ圏外の飯舘村、川俣町の一部が警戒区域・避難地域よりも極めて高い放射線量を1ヶ月も放置され、4月12日にようやく計画的避難区域としたことである。同心円に引いた30キロに閉じ込めようとしたが、範囲を広げざるをえなかった。無用な被曝をさせた菅政府と経産省、財務官僚らの責任は重く何らかの償いを求めたい。


 実は60キロの郡山市、福島市、40キロの二本松市などフクシマ全県が極めて高い放射線量に苦しんでいる。国は1年が経過した実測値に基づく積算線量を推計している。61キロ福島市東浜町10.1mSv(4・22)、59キロ郡山市豊田町9.7mSv(4・3)、52キロ本宮市和田11・4(4・25)であり、警戒区域の田村市、大熊町、川内村、などさらに30キロ圏内の広野町などははるかに低い数字だ。( )内は計測の開始月日だから事故直後の高い線量は加えられていない。


 つまり、20キロという同心円の中に放射性物質は閉じ込められたわけではなく西北方向から中通りに流れたのだ。空間線量と土壌に蓄積された放射性物質は当然のことながら重なる。官僚は線引きを一旦決めると頑なに固執する。出来るだけ狭くすれば金もかからないからだ。


 撒き散らされた放射線こそが内部被曝という大きな被害を永久的に与え続けるにもかかわらず、誤った線引きを改めようともしない。 もっと問題なは年間1mSvの法律を一挙に引き上げて、20mSvを基準にして耐えよと犠牲と受忍を政府が勝手に押し付けたことだ。どうして100mSv安全論をふりまかれて信じることができよう。専門家と称する輩がもっともらしい審議会でICRPという信頼できない機関を背にして決めたものだ。科学でも医学でもない。避難のリスクだのを似非専門家や民意に対する背信の現政府に言われたくはない。個人の自由であり人権だ。ただし、金は東電と国が補償するのは当然である。


 30キ圏外も警戒区域もどちらもべらぼうな外部被曝に耐えよとは被害者であるフクシマに対して誠に非人間的な仕打ちである。政府と財務官僚がすべきは、フクシマの安全を度外視した20mSvの受忍を強いるような犠牲を直ちにやめ、土壌のベクレルと空間線量をきめ細かく計測して、1mSvの安全に徹底的に近づけるよう努力すべきなのだ。不完全な除染で政府は時間を稼ぎたいのだろうが、技術が確立していず切り札になならない。


 広島、長崎の被爆者が健康被害を小さな同心円に閉じ込められて苦難の道を歩んだような道をフクシマに再び歩ませてはならない。避難、疎開の権利を認め早急に行い見捨てない手を打つべきだ。健康被害は20キロに限られ、しかも被害者が自分で因果関係を証明しないと賠償を認められないことになりそうだ。


 確かにがれきの問題もさらに食物の問題も大きい。ただ、ジリジリと被曝するフクシマ固有の苦境を小さな声で訴えたいのだ。放射能と正しく付き合うなどと決して言わずにあきらめてはいけない。原発を拒絶し、再稼働を絶対にさせてはならない。同時にフクシマが見捨てられつつあることを理解し声をあげていただきたい。


右記は一目瞭然の資料である。http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1750/2012/01/1750_011718.pdf