ピロリン…ピロリン。
メッセージが届いた。
東京で高校教師をしている姉からだった…
唯一広島から出たのはこの姉だけで。
なかなか連絡を取る事もしない。
しかし広島に居る二番目の姉との連絡もしないが…
何を話していいものやら。
筆無精さが滲み出る自分。
なんだか恥ずかしく開くのを躊躇っていると…
通知バッジが見えた。
親父のお祝いに関してだった。
ふとあの日の光景が脳裡のスクリーンに…
見慣れない畳紙に包まれた着物…
成人式用に新調された彩り豊かな振袖だった。
湿気や害虫そしてシワ防止の為に包まれた畳紙…
姉が袖を通して現れた姿には
遠い存在になったんだな…と目が合わせられなかった。
姉も両親という包まれた畳紙から出て振袖に負けない自分色の彩りを放つのだなと…
あれから姉は東京で自分色を彩りまた彩り。
親父と自分が歳を重ねるたびに…