曇りガラスの向こう側突然の雨が降りだし、荷物に塞がれた手が無抵抗なままの身をさらす。風も強くなり顔に当たる雨粒が先行くのを拒んでいるように感じる。濡れた頬がやたらと熱を帯び震える身体とはどこか違う。両手の荷物をベンチに置きそっと頬に手をあてがう。ふんわりと温かさがこころにゆるやかな灯りを点した。さっきとは全然違う軽やかな脚…辿り着いた家のドア…いつもの感覚で鍵を探り当て真っ暗な空間にエアコンをつけた。外気温の温度差で曇るガラス誰にもわからないしあわせ向こう側の…。