実家の物置を片付けていたら、段ボールの下に敷いていたキャンバスがあった。なんだろうと思ってみると花の絵だった。裏に、私の誕生記念と書かれていた。
父は私の誕生を絵にしてくれていた。いわさきちひろが生まれた子供のデッサンを画集で見た事あるが、私はいわさきちひろの最高傑作だと思う。
残念ながら、父の花の絵はちょっと暗い微妙な色(笑)。私の人生を暗示しているような絵だった。
父は二十歳の時に、私が生まれた日の新聞をくれた。市内で入手できる新聞を全てとってあって成人式にくれた。
父が亡くなって遺品を整理していると、父との思い出を全てとってあった。旅行に行った工程表や、コンサートのチケット、一緒に行った美術館の半券、全てとってあった。
一つ一つが辛くて辛くて耐えられない。
来週、本州に出張。父が生きていたら、時間あったら何処に行ってこいと教えてくれる。出張に行く楽しみは父へのお土産を買う事とお土産話しをする事。そんな話しができる人は、もういない。
毎日毎日、父に聞いておけばよかったと思う事が山ほどある。
あんなに時間あったのに。
