升田幸三自伝 名人に香車を引いた男
升田幸三
実家の部屋の莫大な本を整理していたら、何十冊も読んでみたい本が出てきた。その中の１冊がこの「名人に香車を引いた男」の升田幸三の自伝。以前から、大山康晴と升田幸三では大山康晴の方が有名なのかと思っていた。この本は、升田幸三の自伝なので、大山康晴が升田幸三と同じ師匠で弟弟子だったとの関係とは知らなかった。余談ですが升田幸三の弟子がたまにテレビで見る桐谷さんだった。
自伝というだけあって、もちろんこの本に書けない事が山ほどあるのだろうけど、それでもこれだけのエピソードをかなりギリギリで書いてくれているので読んでいて面白い。ライバルのこともかなり厳しい言葉で書いているけど、あくまでもライバルに対して敬意を払っているので、読んでいて気持ちがいい。将棋に負けるのは、指す手をまちがるから起きる。この間違いは、体調やメンタルにものすごく左右されることがこの本を読んでいてよくわかる。
棋譜も出ているので、将棋好きにはたまらないと思う。しかし、将棋を全く知らない人でも、この本は十分に楽しめると思う。もちろん、将棋をかなりやりこんでいる人は、棋譜見て升田幸三の説明を読むとものすごく面白い本じゃないかと思う。ふと思ったけど、この升田幸三は定積を無視して打ち込んでいたと書いてあったが、ある意味、今AI研究の将棋に変わりゆく時代の変化としては、この升田幸三の打ち方で時代と同じように変わる時期なのではと思ったりした。
もう少し自分が本を読むスピードが早かったらと思う。