大型ホームセンターに勤務して

七年目になるYさん、

今年の四月より、

販売担当から内勤業務の

「お客様相談センター」

へ異動となりました。

業務は主にお客様からのクレーム対応です。

電話や窓口での対応に加えて、

時にはお客様の自宅に謝罪に出向くこともあります。

憤慨している人、

チクチクした物の言い方をする人など、

じつに様々です。

Yさんは毎日のようにマイナスの言葉を聴き続けて、

うんざりしてしまいました。

そんなある日、

先輩Mさんの電話応対にハッとさせられました。

受話器を持って即座に立ち上がり、

「申し訳ございませんでした」

と腰を九十度に折ってお詫びをします。

そして、

その後すぐにクレーム対応が終了してしまうのです。

Mさんに理由を聞くと、

「電話では姿が見えず、

言葉だけのやり取りだけど、

気持ちは不思議と伝わるんだよね」

と言うのです。Yさんはいつの日からか、

電話の相手に対して嫌がる気持ち、

疑う心が先に立っていたことに気づいたのです。

それ以来、

Yさんは、

お客様一人ひとりに誠意を持って対応しています。
どんな職場でも、

最後に必ず行なうべき仕事は

「後始末」です。

飲食店に勤務するYさんは、

身をもってその大切さを体験しました。

Yさんは入店二年目になっても、

厨房の流れがよくつかめていませんでした。

洗い場で食器が山積みになっていると、

調理中の包丁やまな板をそのままにして、

洗いものに走るという慌てぶりです。

ある日、

I先輩から

「包丁がそのままでいいのか? 

慌てなくてもいいから、

まず後始末をしなさい」

と注意を受けました。

Yさんはその指示に従いました。

それ以降、

洗い場から調理場に戻ると、

整頓された包丁やまな板を

すぐ手に取れるようになりました。

心地よさと共に、

調理の能率も上がったのです。

後始末は単に物を片づけるだけではなく、

物を大切にする心を養います。

さらに意識して実践を深めると、

仕事に向かう気持ちに区切りがつき、

先々まで見通せる

「段取り」の力がアップしていくのです。

職場の一人ひとりが後始末を徹底し、

仕事の質を高めていきましょう。
「念」という字が、

今の心と書くように、

「念する」とは、

ひたすら今を大事にする心のことのようです。

それは目の前の物事に心を尽くすことであり、

目の前の仕事やお客様を大切にする行為といってもいいでしょう。

仕事の成功や失敗は、

一瞬一瞬の取り組みの結果に他なりません。

経営者のM氏も、

「やっただけのことはある」を持論に、

大きな業績を上げてきました。

「やればできる。

物事は努力しただけ必ず成果となって表われる」と、

いい加減な仕事ぶりを社員にも戒めたのです。

人の思いは目に見えないだけに、

ともすると軽く扱われがちです。

しかし、

おむすび一つとっても

握る人の思いが伝わるように、

念を入れた働きは、

そこに関わるすべての人々に

力を与えずにはいられないのです。

詩人・坂村真民の詩の一句に

「念ずれば花ひらく」とあるように、

願いを心に留めた取り組みは、

やがて成就の花が咲きます。

今、

目の前にある仕事こそ、

私に託された、

私にしかできない尊い仕事と受け止めて、

心を尽くしましょう。
Mさん夫婦の間では、

「面倒くさい」

という言葉を一回使うたびに、

百円玉を貯金箱に入れるというルールがあります。

このルールが作られたきっかけは、

Mさんが発する

「面倒くさいな」

という口癖を、

あまり良く思っていなかった妻からの提案でした。

ルールが適用されるようになってから、

Mさんの財布から次々と百円玉が消えていき、

貯金箱は重くなる一方でした。

Mさんは「今までどれだけ

『面倒くさい』

という言葉を使っていたのか」と振り返り、

自分のマイナス言葉の多さを深く反省しました。

それからは、

「面倒くさい」

という言葉が口から出そうになると、

そこでワンクッション置いて、

まずはやってみようと

心を入れ替えるようにしたのです。

誰もが持つであろう面倒くさい>という心は、

積極的な行動の妨げとなります。

だからこそ心を切り替えて、

即行動に移すことが大切なのです。

積極的にチャレンジしていくための

心づくりをしていきましょう。

中堅社員のNさんは、

仕事が速いことで有名です。

ところが後始末が苦手で、

机の上はいつも書類で埋め尽くされています。

月末の業務で忙しかった時のことです。

Nさんは重要な契約書類を、

誤ってシュレッダーにかけてしまいました。

停止ボタンを押して引っ張り出した時には、

半分以上が裁断されていたのです。

顔面蒼白になったNさんは、

すぐに上司に報告しました。

すると

「君の机の上は整理整頓されておらず、

どれが重要書類なのかも不明だ。

机上が散乱した状態は、

君の頭の中が混乱している証拠である」

と叱責されたのです。

机上の乱れが心の乱れとなって

招いたミスなんだと気づかされたNさん。

自分の怠惰な姿勢が、

周囲に大きな迷惑をかけてしまったと反省したのでした。

忙しくなると心が乱れ、

状況が見えなくなりがちです。

そのような時こそ心に余裕を持ち、

意識的に整理整頓を心がけましょう。

性根を据えた後始末や清掃が、

心の乱れを整えてくれるはずです。