累計販売数は1000万足を突破‼️
2021年3月から全国で発売されたファミリーマートで販売しているソックスが、累計販売数1000万足を突破した。
ファッションデザイナー・落合宏理氏と「いい素材、いい技術、いいデザイン」をコンセプトに共同開発した「コンビニエンスウェア」は、ファミリーマートのオリジナルブランド。その「コンビニエンスウェア」から生まれたのが、通称「ファミマソックス」だ。
今回は、ファミマソックスがなぜこれほどまでに売れたのか、その理由について考えてみたい。
経済産業省の商業統計による業態分類では「飲食料品を扱い、売り場面積30平方m以上、250平方m未満、営業時間が1日で14時間以上のセルフサービス店」がコンビニエンスストアとなる。
半径300~500mの小さな商圏を対象に、全国に5万5838店舗(2022年12月度JFAコンビニエンスストア統計調査月報調べ)を数え、我々にとっては便利で身近な存在として今日まで君臨する。
コンビニエンスストアというと食品を中心におよそ3000品目程度の商品を取り扱う。主力はお弁当やおにぎり、総菜などの「日配食品」が35.4%(2022年12月度)の売上構成を占める。その次に売上高構成の高いのが「非食品分野」の32.3%で、肌着やソックスなどはこのカテゴリーに分類される。
実は今まで日配食品に次ぐ売上高を誇っていたのは、ジュースやアルコール、スナック菓子などの「加工食品」だった。それが大きく変わったのは、2008年のことだ。
一度は無印良品を扱っていたが…
きっかけは2008年の、taspo(タスポ)の全国導入だ。これを機にタバコ自販機から、taspoを提示することなくタバコを購入できるコンビニエンスストアへと、顧客が流入。結果としてタバコを擁する非食品分野の売上高構成比が押し上げられたようだ。
そんな非食品分野の中で、どのようにファミマソックスは存在感を高めていったのだろうか。
元をたどればファミリーマートは、同じセゾングループだったといった経緯もあり、長らく無印良品の肌着、ソックスなどを販売していた。しかし、2019年1月末をもって取り扱いをやめることになっている。
やめてしまった理由には売上不振などと当時は取り沙汰されていたが、伊藤忠商事との関係深化(2020年に伊藤忠商事がファミリーマートを完全子会社化)も影響したのではないかと推察する。
実際、ファミマソックスは伊藤忠グループ内の伊藤忠リテールリンクが製造して納めているようだし、国内ハイエンドブランドとの関係も深い同社の特徴が、色濃く出ている取組みのように見える。
このファミマソックスに人気が集まった大きな理由には、誰しも一度は見たことのあるシロ、グリーン、ブルーというファミリーマートのストアカラーを採用したインパクトが大きかった点が挙げられる。加えて、今までコンビニの肌着売り場では見た事のない、パッケージ素材やフォント、ロゴも、洗練されていたこともある。
ニーズ高まる「クルーソックス」
極めつけは、ファッション・アイコンのキムタクが自身のインスタグラムでファミマソックスを履いた画像を投稿。その投稿には20万もの「いいね!」が集まり、ファミマソックスの人気に拍車をかけた。
それからもう一つ、ファッショントレンドとも合致した事も理由に付け加えたい。
今回のファミマソックスは「クルーソックス」と呼ばれるタイプに分類される。これはソックス丈が18~26cmのもので、丈の長さが足のサイズとほぼ同じ長さであるのが特徴だ。ちなみに「クルー」という名称は、船乗組員が履いていたソックスに由来するという。
筆者は、このクルーソックスという規格こそ、ファミマソックスの大ヒットのポイントだと考えている。というのも、この丈感のソックスは、ひと昔前までは「オジサンソックス」や「サラーリーマンソックス」という印象があり、少しダサいイメージが拭えなかったのだ。
実際、カジュアル売場でこのクルーソックス規格の靴下を置いている売場は少なかった。ところがスウェーデン発のソックスブランド「ハッピーソックス」がクルーソックスながら大ヒットするなど、近年になって、この丈のニーズが潜在していたことが分かり始めたのである。
結果として、ファミマソックスはクルーソックスを「ダサい」から「オシャレ」なものに変え、市場のニーズをしっかりつかんだと言えるのだ。
他のコンビニもアパレル分野に注力
ファミリーマートのコンビニエンスウェアはソックスだけに留まらず、肌着やTシャツ、ハンカチ、フェイスタオル、レインポンチョ、エコリュック、撥水パーカーなど100アイテム以上にのぼる。しかし、依然としてファミマソックスのヒットの影響か、ソックスの品揃えが一番広い。
そして今、ファミリーマートだけでなく、他のコンビニもアパレル分野の展開を強めている。
先にも触れたように、今までファミリーマートでの日用品アパレルを販売してきたのが、無印良品だった。その無印良品は現在、ロケーションをファミリーマートからローソンに移して販売している。靴下では、かかとを直角に仕立てた「足なり直角靴下」を展開している。
コンビニ最大手・セブンイレブンでの、アパレルアイテムの販売はどうかといえば、2018年頃から宝島社とスウェーデンのブランド「moz」とのムック本という形で販売。中でもリュックや撥水パーカーが大ヒットし、シリーズ化してきた。
ただ、ムック本の付録は、アパレルというより、ギミックに近いような感覚だったかもしれない。店内で商品は広げられず、着用イメージ写真とスケルトン素材のパッケージのみでの販売には新鮮さはあったものの、人気は長続きしなかった。結局、肌着、靴下類は「セブンプレミアム・ライフスタイル」というPBとしての販売を行っている。
コロナ禍も落ち着き始め、オフィス街にも人も戻りつつある中で、人流と生活商圏の関係も変化し始めている。我々にとって身近な存在のコンビニも、差別化戦略の中で、ヒット商品の開発は一番の集客策になるだろうし、品揃えや他社と協業していく方向性については、ストア自体の存在価値が問われるべき課題だ。
三社三様、コンビニがアパレル日用品を上手く売りこなすようになれば、アパレル業界にとって、この上ない脅威となるだろう。
このラインがいいんだよね👍
黄色が混ざるだけで、またいい味を出すね