川沿いの草地に捨てられた子猫
この子は何?弟なの?
2018年9月末、トライアルスタート。ボランティアが岩崎さんのところに子猫を連れて来た。
はじめは見た目から「こはく」や「すすき」など、はかなげな名前をイメージしていた。しかし、実際に触れあってみたら無邪気で少しとぼけた印象だったので、もう少しポップな名前にしようと思ったそうだ。岩崎さんがお酒好きで、麦くんの兄弟にふさわしい名前と思い、「麦とホップ」からとって、ホップくんという名前にしたという。
ホップくんは、繊細そうな見た目とはうらはらに肝が据わっている感じだった。
先住猫の麦くんは、とても戸惑って、今まで聞いたことのない声で鳴き、はじめてシャーシャーと威嚇して落ち着かなかった。しかし、ほんの3日ほどで状況を飲み込んだようで、熱心にホップくんの毛づくろいをして、時にはニャーニャー言いながら、ホップくん面倒をみた。
「ホップはびくびくすることもなく、はじめから麦に興味を示して追いかけまわしていました。2段式のゲージに入れていたのですが、すぐに外に出たいって、うちにきた翌日には部屋にいる時間の方が長かったように思います」
猫だって成長する
岩崎さんは、トライアルで麦くんがホップくんにどのように反応するか、ホップくんが慣れてくれるかどきどきして見守ったが、すぐに慣れたので正式譲渡してもらうことになった。
ホップくんが来てしばらく経った頃、麦くんがごはんをホップくんに譲ったり、岩崎さんに甘える時間が減ったり、がんばってお兄ちゃんになろうとしているのが見て取れた。岩崎さんは、麦くんが我慢をしている姿や、一生懸命順応しようとしている様子を見て、「猫も下の子ができると精神的に成長するんだな」と思ったという。
「特に、今までの麦と匂いが変わったことに気づいたときは、なんだか私の方がショックで号泣したのを覚えています。おそらくホップの匂いがうつったのだと思いますが、もう今までのひとりと1匹の生活はないんだなというのを実感しました。麦の成長や変化に、私のほうがついていけてなかったみたいです」
いまは麦ちゃんなりに甘えてくることもあるという。
お兄ちゃんの麦ちゃんに『僕もちゅ〜るちょうだい、ちょうだい』とせがむホップくん。















