財政破綻した夕張市
そこで公立病院で医師をやっていて
現在は鹿児島県で在宅医療、プライマリーケアに
力を入れている森田医師の著書です。
SNS(Twitter)で情報発信もされていて
私もフォローしている
ファンの一人です。
森田先生のことはこの一年で知りました。
やたらとTwitterに出てくるな~
って思っていて
もしかしたら本も書かれているかも?
と調べて手にした一冊です。
森田先生の発信は
他のドクターと違い
俯瞰された視点から医の立場を書かれているから
好きで見ています。
私もコロナ禍で
勤め先の仕事が忙しく
あまり余裕がなかったのもあるし
他の人の情報発信も見ていたのもあったからです。
こんな本が2020年9月に出ていたなんて、、、。
この先生はなんでこんな視点で見えているんだろう?
って思っていたら
一橋大学経済学部を卒業して
医学部に入り直した人だから
医療業界における
金の流れが見えるんだと思いました。
副題も刺激的です。
『コロナ禍で見えた 「世界最高レベルの医療」の裏側』
日本の医療が世界最高峰
だそうだ。
凄いですね。
実情を知っているだけに説得力があります。
それに付随するデータも本書の中に出てきます。
が不名誉なデータも出てきます。
その解説もされています。
本書にかかれているように
現場で働いている医療スタッフたちは
善良で、まじめで、誠実で、患者のためを思って行動しています。
それは分かります。
が全体的にみると
とてもそうは思えないような数字も出ています。
私が思っていた事も
数字を交えて
そもそも論も交えて
書かれていました。
内容も納得いくものばかりです。
共感した箇所です。
・確かに東アジアの死亡率が欧米の100分1の理由として、BCG仮説も既存コロナウイルス交差免疫仮説も直接証明されていません。私はそのどちらが正解でも、もしくはどちらも不正解でも、何の問題もないと思っています。というのも、医学で重要なのは、理論的な機序にもまして、結果としての統計的事実だからです(p34)
・全身麻酔の作用機序だって実はいまだ不明です。それでも、統計的に安全で有用なので、世界中の手術室で広く使われていいます。医学理論ですべて証明できなくても、「統計的に」有用という事の意味は、それ上に大きいのです(p34)
・病床を減らしながら平均寿命を延ばしてきた世界の国々(p113)
・他の先進諸国では~~~過度に医療に依存せず、医師にすべてお任せするのではなく自分の身体は自分でコントロールできるように患者さんに働きかける家庭医の背中が見えてくるようです。生活習慣病の管理という名目で回数を稼ぐ日本のクリニック外来診療とはまるで違うということが分かるのではないでしょうか。日本の外来受診数が世界第2位というのもうなずけます(p134)
・空きがちな病床を埋める手段としての「高齢者住宅・施設の併設・連携運営」は、銀行や経営コンサルタントが病院経営者に勧める常とう手段です(p137)
・「世界一多い病床を持つ日本の医療が、私たちの健康と幸福につながっているとは思えない」
私が長年抱いていた思いは、今回の新型コロナのパンデミックによって再確認されました(p204)
・いま私たちは、新型コロナを理由に、これまで人類が何百年もかけて一つずつ獲得してきた様々な社会的な権利を、一時的とはいえむしり取られているというい前代未聞の体験をしています。医療がまるで、「命を守る」という殺し文句だけで、これまで誰も持ちえなかった「人権さえも制御できる巨大な力」をもってしまったかのようです(p214)
作中にもグラフがバンバン出てきます。
視覚からも理解できると思います。
森田先生はコロナがタイトルで来ていますが
本当はこれらのことを知って欲しいのだと思いました。
目次から
日本の医療をめぐる7つの誤解
①病床が多いと平均寿命が延びる
②全国どこでも同じような医療が受けられる
③医師が忙しいのは医師不足だから
④医療も市場原理に任せる方がうまくいく
⑤地域の病院は減らしてはいけない
⑥公立病院の赤字は税金の無駄づかい
⑦病院がなければ高齢者は幸せに生きられない
作中で日本の医療を取り巻く環境
都道県別の比較
日本と世界(先進国)との比較
がでてきます。
病院や薬に頼ることもありますが
それ以上に大切なことは
自分自身がどう生きたいか?どう死にたいのか?
自問自答することになります。
それを手放して
全部医者に丸投げする患者
それを考えてあげるヤサシイ医者サマ
それからが招くのが
医療という新興宗教化
それによって引き起こされる
医療の薄利多売によるブラック業界化
読んでて納得いくものばかりです。
自分の病気や怪我の状態の本もたくさんありますが
全体をとり巻くことを
医師自身が書かれた本は珍しいので
私は是非この本をお勧めします。
そして
この森田先生なら
相性が合えば
ずっと診てもらいたい医師だと思いました。
それがプライマリーケアなんでしょうね。
いま終末期医療がビジネスになっている傾向があるので
知っておいたほうが良いと思いました。