ちかぽん@モンゴルよろずコーディネーター兼業遊牧民です。

1年の半分ぐらいは草原で家畜を飼いながらのゲル暮らし。
残りでモンゴルのどこかを旅していたり、通訳や翻訳などモンゴル語をいかして仕事をしています。
たまーに旅番組や情報番組、ドキュメンタリー番組など、テレビ番組の撮影や雑誌や新聞の取材のお手伝いなどをしたりもします。

エコツーリズムをモンゴルで普及させるために、旅と取材のコーディネート会社を2002年にウランバートルで起業。

ちょっとしたプチ自慢は、モンゴル全国21アイマグ(県)全部を開発調査や取材などで訪れ、312ソムを制覇していること。(日本の国土の約4倍の面積を持つモンゴル国の、8割余りをカバー)

今日は、モンゴル全国津々浦々を旅した経験上、初めてモンゴルを訪れる方向けに
「ディープにモンゴルを感じ、理解する秘訣」について記事にしてみました。

観光スポットを回ることって、その国の基礎知識を仕入れるだけでなく、ディープに理解するための右脳のベースづくりにも役立つんですよって話です。



さて、モンゴル旅行・ツアーなどで検索すると、
日本が拠点のモンゴル専門(モンゴル国内に支店を持っている/モンゴル人スタッフがいる/モンゴルに留学したり、住んだことがある人がスタッフにいるなど)の旅行代理店のウェブサイトと共に、いくつかの日本語ができるモンゴル人が立ち上げた、モンゴル現地の「ツアー会社」っぽいものがヒットします。

日本語ができるモンゴル人が立ち上げたモンゴル現地オペレーターのウェブサイトでよく書かれているのが
「パックツアーにはない」とか「観光ではない」というような文句。

日本の個人旅行や自由旅行を好む方々でも、結構「観光をしに行くわけではない」とか「パックツアーでは味わえない生の経験をしたい」という論旨で「モンゴル人経営の小さな現地ツアー(っぽい)会社」にネットで申し込んだことがあるのではないでしょうか?

私、なんでそんなに「観光ではない」ということをうたう必要があるのか、がよくわからなかったりします。

異国の知らない土地をたずねるってことは、つまりは「観光」ではないか、と。

ディープに感じるのであれば、まずは基礎知識の部分は踏まえておかないと、
「全身水に入って、顔を水面下まで沈ませて30秒潜ったことがないのに、いきなり、スキューバダイビングしましょう」っていうのとおんなじことではないかしら、と。

そして、よく、モンゴル国の博物館の展示はしょぼい、ダメダメだ、という批判が書かれてたりもするのです。

実際、2013-15年春まで博物館員として派遣されてたJICAの協力隊員の学生さんも、そんなようなこと言ってました。

でもね、でもでもね、私、博物館が大好きなんですよ。
よくぞこれだけ集めたなーって。

私が1992年から94年までの間、モンゴル政府の奨学金で留学していた時、
ちょうど「革命博物館」が「歴史民俗博物館」へと生まれ変わろうとしているときで、
民族学を研究していた私は、この博物館の移行期の展示品のカード整理とか
展示物を地方出張して買い付けるとか、調査するといった作業のお手伝いをしていたのです。

そして、歴史民俗博物館の研究員である民俗学の先生方にいろいろ教えていただいてました。

留学中に、恐竜の化石発掘調査というのが日本モンゴル合同で何チームか出ていて、
人手不足ゆえ、そちらの調査関係の通訳などもお手伝いしていた関係で、
「自然史博物館」の中の展示品もこまかーく研究員の方々に説明いただく機会があり、
化石標本を見ながら、どうやって発掘されたのか、とか標本づくりがどれだけ苦労したか、といったような生のオハナシを拝聴するチャンスもありました。

動植物・鳥類しかり。
学術調査の共同研究のお手伝いをしていたから、その道のプロの先生方に、「同定(実物や写真を見ながら種類を特定する)作業」のための基礎知識を叩き込んでいただいたし、実際、生きている動植物を地方の自然の中で観察することもできているから、もう標本がずらーって並んでいると、すげーーーー!!って興奮してしまうのです。

何度も何度も解説員の説明を聞いて、お客様に説明するのですが、そのたびに、新しい疑問がわいて、宿題を出しちゃうのです。解説員の人たちとも顔見知りだから、顔パスで入場料タダだし。

だから、モンゴルの基礎知識を現地で仕入れるためには、博物館めぐり、しましょうよ。
美術館行きましょうよ。ガンダン寺行きましょうよ、と思うのです。

そして、何より、絶対行っていただきたいのが「日本人墓地」(通称。モンゴル抑留者の慰霊碑がある公園です。モンゴルで亡くなられた日本軍の抑留者の方々の名簿などが展示されている資料館があります)

1日で全部見学することができます。

でもね、パックツアーでこういうところまわると、「つまらない」「疲れた」っておっしゃる方が多いんですね、きくところによると。

なんでかなー?って思うわけですが、それは・・・

モンゴルの博物館や観光スポットって、セルフガイダンスが不足しているんですね。
モンゴルは社会主義国家だったから、基本的に「解説員」という展示品をそれぞれのコーナーごとに説明する専門のスタッフがいて、その人が訪れる人についてまわって、口頭で説明するというシステムなんです。

ところが、モンゴル人の日本語ガイドさんって、「地球の歩き方」の丸暗記とか、説明の丸暗記はできても、「観光案内」がものすごく下手なのです。

解説員の説明を普通に通訳するだけでも、中味のこい充実した情報があるのに、まず、内容を100%理解して、通訳する、ということができないガイドさんがおおすぎる。

外国語ばっかり勉強して、モンゴルの国語や歴史、生物、地理その他の一般教養をオロソカにしているから体系的に要約することもできない。

だらだらと、「その情報、モンゴルに初めて来て(多分これが最後かもしれない)外国人にとって必要な情報?」というようなことまで、たどたどしい日本語で説明しようとして、タイムラグでお客様は退屈してしまう。

あるいは自分のうろ覚えの生半可な知識で嘘を説明していたりすることもある。

もう隣できいてて、びっくりしちゃうというか、うんざりしちゃうというか・・・

いつのまにか、私がご案内していたお客様は2-8人くらいなのに、パックツアーの団体さんまで合流してて、20人くらいを館内説明しているということはよくあります。

だって、私の説明、ビビッドでわかりやすくて、ストーリー性があるから面白いのですもの。

展示品を味わっていただく時間を作りながら、ひとつひとつ、Q&A式でお客様に考えていただいたり、感じていただいたことをシェアしたりしながら、館内でモンゴルを感じていただく。

現代のモンゴルにつながる過去の展示品だったり、ここではないモンゴルのどこかを繋ぐ展示品だったり。
その場にはいけないけれど、博物館だから感じられる、バーチャルトリップ。

初めての方は、そこで知識を仕入れてから、ツアーのアクティビティに参加すれば、より深く、モンゴルを体験していただけるし、先に乗馬とかトレッキングとかを体験した方は、自分の実体験を学術的な知識に落とし込むことで記憶の定着を図ることができる。

観光って、「光をあてて、よーーーーく観る」ということなんです。
日本語って素晴らしいです。

ただ、ぼーって目に入るものを「見る」というんではなく、
「観る」ですよ。注意深く観察するために、光を当てるんです。

光を当てる、というのがガイドの仕事で
「お客様の興味を上手にご案内すべき対象物に注目させる」んです。

そして、ただ、「そこにあるもの」を見せるだけでなく、
「そこにあるもの」がどんなストーリーで「今、ここにある」のかを語ることで、
モンゴルを味わっていただくのです。

大手旅行会社さんのガイドさんの多くは日本語を学んでいる大学生の夏休みのアルバイト。
しかも薄給で、日本人って「チップ」という習慣が身についていないから、ノルマ(ツアープログラムにしたがって、行程をこなす)をこなせば、それで仕事成立で、それ以上のがんばっても、給料があがるわけじゃないしー、みたいな感じで向上心が薄いんですよね。
そもそも歴史とか動植物に興味があるわけではないから。

これがモンゴルにおける日本語ガイドといく「パックツアー」や「観光スポットめぐり」の弱点なんですね。

実際、私がご案内させていただいたお客様のご感想でよくいただくのが
「普通に回れば1時間足らずのところなのに、だるまさんの解説きいていたら、夢中になって、木がついたら2時間以上もここにいたんだね。いやー、楽しかった。」とか
「モンゴル全体の情報がわかると、次に行きたいところがイメージできるわね」とか
「モンゴルの芸術作品というのも奥が深いんだねぇ」とか
満喫していただけて、もちろん、集中してご覧いただいていらっしゃるから、お疲れだとは思うのですが、すごい達成感に満ち溢れたお顔で、全体的にものすごく知的好奇心が膨らんでいらっしゃるです。

日本人墓地の慰霊などですと、私は毎回、過酷な生活環境の中で故郷や家族を思いながら、息絶えてしまった先人のことを思うと、泣けて泣けてしょうがないのですが、
訪れた方々もやっぱり涙ぐんでいらっしゃるんですね。

もうお骨は日本にお戻りになっていらっしゃるんですが、英霊たちの魂も、平和な日本からのお客様に喜んでいただけてるんじゃないかなーなんて思います。

1990年代のパックツアーのウランバートル市内観光のコースには大抵、日本人墓地が入っていたのですが、最近はどこも、コースに入れてないんですね。すごく残念。

私も日程によっては、行けないことも多いのですが、できる限り訪れたい観光スポットです。

秋から冬にかけてはないけれど、墓守のおじさんが丹精込めて作っている花園では季節ごとにいろんなお花が咲いて、とても賑やかです。
いろんな日本の植林活動をしているNPO団体が毎年植樹活動をしているので、年々、花壇やガーデニングも成長しています。

パックツアーや観光スポットめぐりをすることとディープでリアルな遊牧体験をすることの両立ができない、というか、あえて避けるのが、ディープモンゴルな生体験だっていう、ガイドとしての能力不足なモンゴル人たちの「ツアー会社(っぽい)」感じの素敵なウェブサイトで刷り込まれちゃっていませんか?

日本でもモンゴル関係の書籍も数多く出版されているし、新聞や雑誌などでも大相撲だけでなくモンゴルについての話題や記事が取り上げられています。

それでも、モンゴルにいらっしゃるお客様や、私のところにお問合せをくださる方々からは
「モンゴルは情報が少なくて」とおっしゃる方が多いのです。

それは、私も駄文書き散らすばかりで情報提供がオロソカ、という反省もありますが、
やはり、せっかく現地に来ても、きちんとした知識とガイド技術をもっているガイドに案内してもらっていないから、モンゴルについての理解が中途半端に「通」だったり、勘違いしてたりするのではなかろうか?

きちんとガイドとして観光案内ができるガイドは、自信をもって、市内観光を勧めてくれるでしょう。

ただ、残念なのは、大手のパックツアーの定番って、意外とざっくりしてて、ほんとにおもしろいストーリーや展示品がある博物館施設がコースに入ってないんですね。
多分、説明が難しすぎてガイドが対応できないところは省いていく、という方針で、今のざっくりスカスカな「シティーツアー」プログラムが定番になったという経緯があるからかなぁ、って想像しています。

私も、来年はパックツアーっぽいことをやりたいって思ってるのですが、それは、
私が「定番」としてパッケージングするのではなく、お客様の興味や趣味、渡航目的・ご予算に合わせて、観光スポットをセミオーダーメイドでパック化するという、フリーパックな感じを想定しています。

いくら博物館好きとはいえ、毎日毎日、同じところをぐるぐる回るとさすがにあきちゃいますしね。

ウランバートル市だけでなく、地方都市・ソムセンターなどにも郷土資料館があります。
こういういかにもしょぼそうな郷土資料館というのも、地元の人たちのお国自慢が詰まってて、おもしろいものです。

大手旅行会社さんにせよ、日本語の達人のモンゴル人経営者がやっている現地旅行会社にせよ、日本語ガイドさんがどんな人なのか?
できれば、日本語が上手というだけでなく、根気強くて、知的好奇心があって、集中力が続く、サービス精神が旺盛な方についてもらえるとよいですね。

旅行会社さんにパックツアーではなく、個人旅行でのパッケージング(フルアテンド)をお願いする場合は、ガイドさんのリクエストのときに、ちょっと一言リクエストしておくと、よいかもしれません。

ちなみにモンゴルだるまさんがいいわぁ、と言っていただけると光栄なのですが、
たぶん、私、そんじょそこらの日本語ガイドとはけた違いに優秀なので、
格安ツアーをご所望の方とは、ご一緒できないかもしれません。


とはいえ、そんな目の玉飛び出るような「意識高い系」ガイドなわけではありませんから、ご安心を。

来年は遊牧体験と乗馬トレッキングプログラムをかなり力をいれて催行する予定です。

ハラホリンおよびオルホン渓谷の世界遺産スポット・ヘンティーのチンギストレイル(チンギスハーンゆかりの地をめぐるルート)・バヤンウルギー・ホブド・オブス。フブスグルなどのマイノリティグループの生活文化・伝統民族音楽舞踊や動植物・鳥類観察なども得意分野なので、この冬にベースとなるパックツアーのイメージ案を少しずつ記事としてアップして、読者の皆様にご提案させていただこうと思います。


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