モンゴルだるま@モンゴル語通訳・エコツーリズム普及仕掛け人兼業遊牧民です。
はや今週も金曜日ではありませんか!
驚いた・・・

あったかくなると時がすぎるのも加速されるのか?

税務申告用の領収書の整理とか、財務諸表の確認とか、
あれやら、これやらしなくちゃ、しなくちゃとかいって、全然まとまってない。

そんなわけで、今週末は、事務処理などのデスクワークに忙殺されることになりそうです。

さて、エコツアーです。
この記事では、乗馬の場合の馬の采配と、プログラムを参加いただいたお客様によって臨機応変にかえながら、満足していただくためのポイントなどを、先日の日帰り乗馬を例にご紹介します。

先日の乗馬ツアー関連については
「【エコツアー】日帰り乗馬ツアーの参加者様のブログで紹介されました」
「【エコツアー】遊牧の春 引越しのビフォーアフター」
をご覧ください。



私が作るエコツアーといえば、
1;着地型=地元の遊牧民主導でプログラムを開発
2;環境保全を意識=環境インパクトを小さく、かつ地元の環境問題を参加者(ガイドもツーリスト)も意識しながら、自分の次のアクションを心の中で考えるキッカケをこっそり提案
3;資金はミニマム、感動マックスな旅の醍醐味

なんてことを意識しています。

インタープリテーションで環境とか自然、モンゴルの生活文化などへの「気づき」をいざなうのが好きなんだけど、いつも型どおりに、説教くさく「環境とは・・・」とか解説したりするのは苦手。

参加者の面子によっては、全然、解説付きツアーの王道、みたいなやり方を無視しちゃいます。

ベースさえしっかりしていれば、後からジワジワと「気づく人は気づく」っていう感じでいいんじゃないかな、と。

この前の日曜日、急遽企画した日帰り乗馬ツアーはまさにそんな感じで
出発当日に内容を変更しました。

さらに、途中でも変更しました。


臨機応変に変幻自在で出来るのも、自分たちが企画し、自分たちで案内しているから。

当初の参加人数が2名様で
1人は、夏の常連さんのOさんで、馬に上手に乗りたい派で、最近お仕事がつまっていて気持ち的にパーッとなりたい!というリフレッシュが目的でのご参加。

もう1人が、ダルハンにある大学で国際エコツーリズムを教えているボランティア講師のKさん。
エコツアーとは何か、を日々模索していらっしゃるご様子なので、エコツーリズムの実践現場をご覧いただけたらいいな、なんて思っていました。

そして、3人目の登場。
今年1月(3か月前に着任ってことですね)からボランティア隊員としてモンゴルに派遣されているけれど、任地変更・任務変更でウランバートル待機中の女性Aさん。
せっかく異国に意欲満々で来ての途中待機って、はやる心を抑えなきゃ、という場合か、自分が「今、ここにいる」意義とかを考えて鬱々するか、退屈するか、、、といった感じで、心が踊る体験が必要なのかもしれないなぁ、って感じました。(初対面だったのですが、あった瞬間の感じで。)

とまぁ、三者三様の参加動機とバックグラウンドがあるわけです。

なので、エコツーリズムとは?ってことを感じていただくっていうよりは、
まずは「乗馬を楽しんでいただこう」と思いました。

「モンゴルの春を乗馬で感じる」っていうテーマは変えずに何ができるか?
ルートを考えてみました。

当初は、
引っ越したばかりの春営地から、前いた冬営地(直線距離だと15kmぐらい)に向かう。
そこにまだ残っている遊牧民家族のところでお茶をいただき、戻ってくる、
という計画でした。


2名様のご参加ということで、
馬の構成は

従順でよく走るツォーホル
ちょっと神経質だけど誰にでも乗りやすいホンゴル
にOさんとKさんに乗っていただき、
乗りなれているモハルヘールに私が乗る。

と考えていました。

この3頭は冬の間に私が自分で乗ってみて体調や走り具合などを確認しているので、この片道20km弱も半日あれば走れるだろう、と想定してました。

初心者といえども割りと体育会系というか運動神経がよさそうなKさんと
走るのが大好きで馬にも慣れているOさんなら、
時速10km程度の軽早足でとっとこ行けば楽勝かしら、と。

3名様になったところで、
馬の構成が
上記の3頭に、かなり神経質でビビリーなビッデル(肩にビッデル紋様というちょっと変わった毛色の様が左右対称についている)が加わりました。

3名様になったところで、乗馬ガイドのオラーナ君は、ガイド仲間を緊急で助っ人で呼び出そうとしていたのですが、助っ人のおじさんは、自分が世話している馬が群ごと行方不明で捜索中だとのこと。

そこで、私とオラーナ君で初心者のお二人をベースキャンプから離れるところまでひっぱることに。

モハルへールはこの前乗ってるから、どんな感じになるか、はわかっていたのですが、ビビリーなビッデルに乗るのは、この日が今年初めて。

もともとどういうアクションを取るのかが想像できない上に、ほぼ半年振りの再会で、体調もなにも把握しきれてないから、私もかなり緊張です。

新モンゴルまるかじり☆旅と暮らしの生情報☆-なかなか横一列は難しい


いざ、出発。

モハルへールは1人でOさんが乗り、ツォーホルにKさん、身体が小さいホンゴルにAさんが乗る、という采配をオラーナ君がしました。

ホンゴルを私が引くことになったのは、冬の間、一緒に放牧されていたビッデルと一緒だと、ホンゴルもビッデルもお互いに仲良しなので安心だ、ということと、ホンゴルは身体が小さいので、引っ張る力も少なくていいから。

ツォーホルとオラーナ君が乗っているアクサンホンゴル(荒っぽいホンゴル)は、冬中、ベースキャンプ近くにいて、餌を与えられながら使役に使われていた2頭。やはり、お互い一緒にいることになれている。
またツォーホルは、2月に行われたツァガンサルの競馬に出場させようと、オラーナ君が冬の間、調教していたので、ちょっとやる気満々で、何がきっかけでダッシュするか、わからなかったから、だと思います。

モハルへールはもともと、私が乗っていて、ガイドという立場ゆえ、最後のお客様のケアのために後ろからついていく、という役割の馬で、単独でダッシュする、ということは滅多にないという性格なので、Oさんが1人で乗っても大丈夫っていうOさんの実力との兼ね合いで決められました(だと思う)

こういう采配は乗馬ガイドにまかせているのですが、わりと的確なんですね。
どうやってるのかなぁ、というのをいつも観察しているのですが、ほんと、よく見て決めてるんだなって思います。

2時間余りで冬営地まで到着できるはずが、予定の半分ぐらいのペース。
モハルヘールが意外とチンタラだったのです。チンタラってことは逆にいうと暴走はしないってこと。

Kさんが1人で走りたい、とご要望だったので、いつ走り出すかわからない(と私は思ってた)ツォーホルをOさんに、モハルへールをKさんに、と交代させよう、と私がオラーナ君に提案。

オラーナ君は、ちょっと考えてから「まぁ、いいよ。」と小休止させながら、鐙の長さを調整してくれました。

OさんとKさんが1人乗りになったので、Aさんはオラーナ君にオマカセし、Kさんとエコツーリズムとかについてでも話すか・・・と思ったわけですが・・・

Oさんは乗りなれた馬で、わりと軽快に走るわけですが、Kさんのモハルヘールがチンタラがいよいよチンタラな感じに。

どうした?モハル??
いつもの調子でさくさく走れよ!と後ろから追ってみる。

私が横にいくと、それなりにスタスタ走るのですが、
ちょっと離れると、またチンタラ・・・

多分、体重というよりは重心のかけ方やコンタクトがうまくいってなかったからなんだと思われますが、なかなかペースがあがりません。

出発してから20分ぐらいは、どんな調子だったとしても、並足(テクテク歩き)で馬と乗り手のコミュニケーションをとる時間をとります。
その並足での乗り方や馬のペースをみながら、乗馬ガイドは、その後のペースを決めていくのです。

結局、1時間半ぐらいのところで、オラーナ君が、「次の冬にベースキャンプをはる予定の場所に行こう」と提案。
「とても前の冬営地までは行きつけないよ」と耳打ちされました。

前の冬営地までは、大きな山の稜線を行くことになるので、テレルジ山脈が綺麗に見えるし、ダイナミックな展望が楽しいだろうな、と思ったのですが、とても坂道のアップダウンに馬が耐えられないというのです。

私の乗ってるビッデルをKさんかOさんに乗ってもらって、モハルへールに私が乗ったらどうか?ともきいてみたのですが・・・

「冬営地までたどり着いたとしても、そのあと、帰りは、馬は速く帰ろうと走りたがる。でも、彼らの重心のかけ方や乗り方だと、やせてる馬達が鞍ズレを起こしてしまう。今の時期に鞍ズレで背中を痛めたら、2ヶ月は乗馬用には使えなくなっちゃうよ。シーズンの半分をフイにすることになる」と説明されました。

鞍ズレの辛さや痛々しさは私もわかるし、経験豊かなオラーナ君が言葉だし、馬から下りて、それぞれがくつろいでいる様子を見ると、確かに乗り手の皆さんも普段使わない筋肉を使ってお疲れ気味。

というわけで、遊牧民宅にお邪魔してのあたたかいお茶をいただく、という企画もダイナミックな眺望もなし、になりました。

ここで私の大失敗。

Kさんは携帯型ガスコンロとコッフェルを持参していて、草原でのティーパーティーをしたいって楽しみに思っていらっしゃったのでした。でも私が荷物を少しでも軽くしよう、と思って「水は目的地でもらえますよ」とせっかく途中のお店で購入なさったミネラルウォーターをベースキャンプに残してしまったのです。

せっかくのお茶セットもお水がなければお茶ができません。

風除けができる冬営地候補の谷間でも、それなりに寒い。

しかも、何にもない、タダの草っぱら・・・

申し訳ないことをしてしまいました。

でも誰からも文句は出ません。
気のいいお客様でよかった・・・

Kさんが、持参のハーモニカを演奏してくれました。
上手!

新モンゴルまるかじり☆旅と暮らしの生情報☆-馬もうっとり


風に乗って谷間を漂うハーモニカの調べをきいて、馬達も気持ちよさそうです。


3曲ほど披露していただいてから、記念写真をとって、ベースキャンプへの帰路につきました。

新モンゴルまるかじり☆旅と暮らしの生情報☆-Kさんとモハルへール

ハーモニカの調べでちょっぴりご機嫌になったモハルヘールとKさん


新モンゴルまるかじり☆旅と暮らしの生情報☆-ホンゴルとAさん

ホンゴルとAさん ホンゴルは小柄だけどとっても扱いやすい優しい子です。最後までがんばろう!



行きは、引き馬してたときにAさんと、叱咤激励時にKさんとは一緒に歩いたので、帰りはオラーナ君に二人をまかせて、Oさんの乗馬満喫を実現することにしよう・・・と。



モハルへールはわりとへとへと状態みたいで、なぜかホンゴルも膝をつきそうな仕草を見せていたので、私では、対応しきれなかったのです。
ばてている、というわけではなく、気分が乗らない、みたいな感じなので、普段から世話をしているオラーナ君がそばにいることで、ちゃんと「お仕事」してもらおうという作戦。

ついでに私のビッデルも、私の重さが辛いのか、腹帯の締め具合がきつすぎるのか、ペースを緩めて、後続のAさん、Kさんを待とうとすると、「止まるくらいなら、降りてよ」と乗馬拒否の仕草で、大地をガリガリ前足でかく。

乗馬拒否で横たわる、という馬からささっと下馬するのには慣れているのですが、平坦地で、はるか後続で2頭の馬を叱咤激励、奮闘しているオラーナ君がいないと、「馬にひょいと乗る」ってのができない(お尻が重いのと左足首の靭帯が不具合なため踏みしめられないので)私は、ビッデルが消耗しないジョギングペースで、前に、前にと進むしかない・・・

そして、私が前をいけば、Oさんのツォーホルも軽く走る。
新モンゴルまるかじり☆旅と暮らしの生情報☆-ツォーホルとOさん

ツォーホルとOさんのコンビは、去年の夏の乗馬ツアー以来のおつきあい。

Oさんが走るのが大好きだったのを知っているから、疲れているツォーホルでも、「走ろう!」って気持ちになるのです。


ツォーホルが「ビッデルなんかに負けないぞ」ってがんばってる息遣いを背中に感じます。

ちょっぴり冷たい、爽やかな春の風を感じながら、ひたすら走りました。

途中で音もなく、私のウェストポーチのチャックがぱっかり開いてしまい、デジカメが落ちちゃいました。

音もなかったのに、後ろを走っていたオラーナ君が「とまれー、とまれー、なんかモノを落としたぞー」と叫んでいます。

デジカメは無事に回収されました。
ほんと、よく見てるなぁ・・・

それからは、それぞれのペースで「走って」帰りました。

帰ってきたみなさんからは、それぞれの「満足」が感じられて、ほっとしました。

お客様を「置き去り」にする形で走っちゃったことに若干の後ろめたさというか申し訳なさがあったのです。

でもOさんが「最後は、駆け足までしてくれちゃいましたよ」とニコニコしていたので、あーよかった、と。

Oさんはお仕事の仕事で、もうじき帰国。次にモンゴルに来るっていう予定がないので、もしかしたら、これが最後のモンゴルでの乗馬になるかもしれない。

ならば、調子が多少でないなりに、ツォーホルなら走ってくれるって信じていました。
ツォーホル、よくがんばってくれたなぁ。

あとから無事に到着したKさん、Aさんもオラーナ君が軽く走らせてくれたとのこと。

帰ってから、あつあつのミルクティー(スーテイツァイ)をいただき、そのあと、オラーナ君の奥さんにモンゴル定番の家庭料理「ゴリルタイシュル」を作ってもらいました。

モンゴルの遊牧民家庭では、麺を自分たちで小麦粉から練って手打ちで作ります。
この手作り感を目の前で見るって、結構、「遊牧民のところにきたなぁ」って実感できるシーンなので、作るのは到着してからにしてもらおうって思っていました。

たっぷり4時間あまりの乗馬になってしまったので、昼食というよりはむしろ、ちょっと早めの夕食ぐらいの時間になってしまいました。

でも、皆さん、
「あー、身体があったまる」
「運動のあとの食事はおいしいなぁ」
とおいしそうに召し上がってくださったので、結果オーライだ、と。


新モンゴルまるかじり☆旅と暮らしの生情報☆-ゲル前記念写真


最後にゲル前で記念写真をパチリ。

後で皆さんからご感想をメールやメッセージでいただいたのですが、
目的どおり、それぞれに
「モンゴルの春」を実感いただけたようです。

「今季初のホース・トレッキング(1) 」
Kさんことキタさんの楽しいモンゴルエコツーリズム奮闘記「感謝カンレキ雨あられ+3」
もあわせてご覧くださいませ。


春の馬がへたれやすいってことも含めて。
いろいろ予定変更が多かった初の日帰り乗馬でしたが、
これもまた春ならでは。

皆さんから、「また行きたい」とご感想をいただけたので、
まずは「大成功!」としておきましょう。

急の募集にも積極的にご参加いただき、ありがとうございました。

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