ここのところ、時々思います。
多くの営業マンが「私にお任せください」と、クライアントから契約をいただくのは、良いことなのだろうか?と。
業種にもよるのかもしれませんが、FPという立場から言えば、あまり好ましくないだろうな、というのが私の見解です。
なぜなら、言うタイミングや状況によっては、「お任せください」という言葉が、お客様を思考停止にし、依存関係を作り出すような気がするからです。
FPになる前、私は今とは異業界でインストラクターをしていたことがあります。
クライアントに対し、ある機器の使い方等についてお教えするのですが、場合によっては、立場上それまでは知りえなかった知識を入れていただかないと利用が出来ないようなこともありました。
そんな中で、同僚の間では、忙しいインストラクターと、そうでないインストラクターは明確に分かれていました。
私は、というと、全く忙しくないインストラクターでした。
その理由は明白で、自分が受け持ったクライアントからの問い合わせがほとんどなかったからです。
忙しいインストラクターの多くは、日々、自分で受け持ったクライアントからの問い合わせに忙殺されていました。
そして、クライアントが増えれば増えるほど、問い合わせの量は増加し、日々大変さは増していく、という悪循環のように見えました。
なぜそのようになってしまうかと振り返ったときに、それは、クライアントを自立させずに、「何かあったらいつでも私に聞いてくださいね」と、依存関係を構築しているからだと思い当たりました。
私はその時代、どのような対応をしていたかというと、クライアントが困ったときに確認すべきHPや、問い合わせ先の電話番号等をお伝えしてきていたからだと思います。
つまり、何かあった場合の情報の取り方や対処の仕方を教えていたのです。
それが功を奏し、お客様は何かトラブルがあってもご自身で解決してくれて、私はいつも、問い合わせが少なく、残業をほとんどしない、という生活が出来ていたのです。
この、クライアントを自立させる考え方は、特にFPを生業とする上でも、非常に重要ではないでしょうか?
現状、日本のFPの多くは、保険代理店を兼業しています。
というか、保険代理店だからFP資格を取得している、という方の割合の方が、実は圧倒的だと思います。
私も、仕事で保険の取り扱いをしています。
保険代理店ですから、生命保険やら医療保険やらをご案内します。
その多くは、「お任せください」、「何かあったらいつでもお問合せください」とお伝えし、その場で大きな安心感をクライアントに与え、契約につなげているのではないでしょうか。
しかし、これが場合によって依存関係を構築することになり、クライアントをいつまで経っても自分のことが自分でわからない、自立していない子供のような存在にさせているのではないでしょうか?
「お任せください」 もいいでしょう。
「いつでも問い合わせ」 も素晴らしいサービスです。
でも、それだけを売りにしてはいけないと思うのです。
だって、「お任せください」で任せてもらっても、FPは、保険代理店は、不死身ではありません。
生命保険に加入していただいたクライアントが保険請求をするときに、その提供者が死んでいない(面倒が見られない)とは言い切れないのです。
駆けつけて欲しいとクライアントが願ったときに、自分が入院していて、駆けつけることが出来ないことだってあると思います。
それに、依存関係で契約になったクライアントは、新しく、より依存出来る相手を見つけたら、そちらに乗り換えると思います。
もっとかまってくれる人が良くなってしまうのです。
他の依存症と一緒です。
クライアントには、自分で考える力や情報を収集する力を身に着けていただき、
「いろいろ自分でわかるし、調べられるんだけど、保険は〇〇さんから入りたいから、入らせて」とか、
「自分で理屈はわかってるつもりなんだけど、一応確認してくれる?」とか、
セカンドオピニオン的な立場になれることが理想じゃないでしょうか?
そして、立場はそうであったとしても、きちんと相談料の支払いや、契約はFPのところでする、という…。
なぜなら、お客様は自分でソリューションを持っていない場合が多いから。
ということで、最近の私は、クライアントの方の自立支援が、FPの大きな目的だと最近考えています。
お客様が知識を持ったら自分にとっても脅威だから、少し割り引いた知識を提供する、とか、セコイことを考えてちゃいけません。
自分はより一層の知識だの経験だのを積んで、クライアントが困ったときには、やっぱり頼れるポジションを確立しつつも、クライアントが一人で生きていけるようにしてあげるのがベター。
実際に出来ているかは別として、そんなスタンスでお仕事をしきたいな、と思う日々です。
