聶の不知道日記。12 | ★wide range★

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清河聶氏  不浄世  僕の家。


全身白装束の光放つ男が訪れる。

.....言い過ぎたね。白飛びしたシーチェンにいさまだ。

人払いをし、結界を張る

用心に越したことはない。


「見事な結界だ。懐桑、腕を上げましたね。」

いつも通りに穏やかな物腰

やつれてはいるものの 美しさは天下一。

見ているだけで目の保養とはこの人を指す。

「結界なんて必要なければ良かったのだけどね にいさま。。。。。」

この間の金麟台の不穏な影

あれを無視はできない。

にいさまも二言はないようだ。

今日は寄り添う者は一人も付いていない。霊であっても人であっても。

「どうしたの? 畏まっての話って何?」

にいさまは、持参した酒とアテを机に置く。何故、雲夢の酒なのかは敢えて聞くまでもない、我知ったる情人の郷里の名産。青臭い蓮花の花托まで袋いっぱいに詰め込んでとはね......

「ほわいさんの好みそうな酒碗を見つけたのだ。良ければこれも収めて欲しい。」

白磁に、淡い碧の線が涼やかで粋だ。
兄ならこの色は好まないが、私なら好きだと熟知している。

「洒落てるねえ!にいさま謝謝‼ 早速一杯やろうよ! ね!」

玻璃窓にぽつりと音を立て、一筋伝って墨のように滲み、また一滴。

また降ってきた.....この時期の雨は湿々とし、頭をきつく絞る。
簾を降ろし、火鉢を燃やし、襟元や袖を乾かせたい。

シーチェンにいさまは、黙々と酒に口を付ける。然程飲んではいない。
要件を述べるまでは、帰らないという意志の表れだ。

「にいさま、雨が酷くなってきたよ。今夜は泊まるでしょう? 客坊を用意させるよ。」

だからもっと飲もうと、少しばかり嵩の減った酒碗に荷風酒を注ぐ。

この酒もまた 青臭くほんのりと甘い。にいさまに染み付いた蓮花の香と唾液の匂いが湿気た部屋に充満する。

誰と交わってそのまま僕を訪ねたのか、、、、、

湯に浸からず、情人と短く名残りを惜しみ 御剣でくるほど 急いているとでも言うのか?

「ほわいさん、気遣いは無用です。話が済んだら帰るから.....」

「そうなの? じゃあ何を勿体ぶっているの? あ!もしや僕に良縁を持ってきた?それに相手が美人過ぎて惜しくなってるとか! 図星でしょう?」

にいさまは、微小に口元を崩し、目を細め 違うよと低く発する。

そんな事は、つゆほども思っちゃいない。
見当は付いている。
優しいにいさまの決心を鈍らす程の重大な要件だ。

雨は次第に ザラザラと音を立て激しさを増す。
天が、にいさまをからかうのに怒っているかのように、雷を落とす。

西の窓が光と共にビリビリと震え、僕は扇子で深く顔を覆う。


「ほわいさん、光瑶に会わせてくれ。」

薄目を開き、にいさまを見る。

このけたたましい轟音鳴り響く今 聞く台詞に驚愕する。

そこは、違うんじゃないのか? 藍宗主。

《怖いのか? 私の中に隠れなさい》

とかではなくて?

何故 三哥の名が出てくる。

違う意味で、雷を落とされた気分だ。

「....どこかに落ちたよね.....ところで今なんて言ったの?」

聞きまちがいなどありはしない。

薫炉から炉灰の燻された煙がゆるゆると登る。

にいさまはもう一度ゆっくりと、一語一語はっきりと言う。


「光瑶に会わせてくれ。」

遠雷成りて、霧雨を瓶からぶちまける。

サアサアと文字のごとく音を立てて降りる。


「墓参りなら、聶氏の墓陵ですよ。」

「そうではなく、骸に会いたいのだ。」


この人の前で、返答は慎重でなければならない。

見ないほうが良い

原形など残ってはいない

ただそこに骨灰があるだけだ。

どれも 死している前提で答えねばならない。

しかし、にいさまは、そうは聞いていない事も僕は解っている。


「にいさまの未練が如何ほどか 知らない私ではないよ。しかし.....私は何も知、、、、、」

殺気が僕を円座から退かせる。

「ニ哥‼」

「阿瑶はいるのだろう? 何処に隠している?会って謝りたいのだ。そんなつもりはなかったと....」

「落ち着いて、どうして私が隠したり出来るんです? 大哥の仇を!!」

沈香と白檀を混ぜた強い香りを掻い潜って、死臭を察したとでも言うのか? これだから湿気た夕暮れは嫌なんだ!

緞帳芝居に興じた 四大世家の二人の宗主が恩情溢れる猿芝居を自ら演じている

僕は演者にはなっても、客にはならない。

不確かで取り繕いたいのだ。

知られてはならないことだから。

僕だけが、呪いを受け、二人の兄を鳥籠で養えばいいのだ。

「見たものがいる.....」

「三哥を? 夢枕に立ったとか?」

シーチェンにいさまは頭を振り、仰け反ったままの僕を立て直し じっと目を見据える。

透き通るような白玉の肌に映える色素の薄い瞳、 眉間に寄せられた皺は、これ以上の嘘は赦されないと言うように深く刻まれる。

「ある道友に聞いた。生まれたばかりの近絕の鬼がいると.....おそらく光瑶のことだ。。。。。」

.........

やはり、金家で視えた影は天界の神官

誤魔化しは効かないね。

軽率に彷徨かせるわけにはいかないな。。。。。

だが何故 見つかった?

籠から出してはいないのに、、、、、。

それに にいさま自体が確固たる自信で探りを入れて来た。そうなると生ぬるい嘘で上塗りしても興を削ぐどころか、審問にかけられかねない。含光君や魏兄にまで知られては僕の展望は全て水の泡だ。

「にいさま、まさか、道友ではなく神官だったのでは? 天に上られるのですか? それは凄い!」

「ほわいさん、そんなことにはならないよ。私の気持ちがあの子に傾倒している間はたとえ名誉なことであっても、晴れやかに飛昇など出来はしないのだ.....」

鬼に階級があるのか知らないが、歛芳尊ならばありえなくもない。
まさか 陣を破るまでに自我が戻ったとすれば、僕は今頃喉を食いちぎられ、腸を引きずり出されるやの凌遅され 犯されるだろう。

だが、そんな風ではないのだ。

三哥は物言わずとも従順で、陽事の間も穏やかに事を運ぶ.....。これについては余りの事情に誰もが吐き気をもよおすだろうから詳細は避けたいが......

それさえも演技だとすれば 鬼となりてこの世に放たれる日を待っているとでも言うのか!?

「にいさま、決して献舎や脱舎などはしていませんよ! 鬼との遭遇などありはしない! 貴方を唆すのは天界の方だ!」

「鬼とでも良い。一目会いたい。会えば その刻 やっと解脱出来る。。。。。」


着物の襟元まで赤く染め、汗を滲ませ懇願する

藍曦臣


偽りは偽りの波の中

隠すなら そうするしかない。

僕と大哥の邪魔はさせはしない。


「解った。にいさま。会わせてあげる。たださっき言った鬼とかそんなんじゃなくてただの腐敗してない三哥の躯だよ。聶家の呪法なんだ。秘密にしてくれるなら会わせてあげる どうかな?」

品行方正なにいさまの顔は面目もなく歪む。

無論だと。瞳孔は開き、僕を抱きしめて礼を言う。

「もう!ちょっと‼シーチェンにいさま 背骨が折れちゃうよ〜」

「すまない、、、、、ほわいさん年甲斐もなく色めき立ち恥ずかしい限りだ。」

離れゆく にいさまの裾を引く。

どうした?と振り向くにいさまを後ろから抱きしめる。

「私ももう一度こうやって大哥を掴まえてみたいなあ。ねえ にいさま、、、、、」

引き換えになどなりはしないけど、駆け引きみたいな遊びは必要だ。

これも罪という密林に己を隠して生きてきた僕だからこその防御だ。

「なんだ?」

「にいさまから、瑞々しい花弁とよく知っている人の香りがするね.....良いことして僕のところに来るなんてね 当てつけってもんだよ だから、、、、、」

そう.....遊びは薬。

束縛夫の含光君には通用しないけど、にいさまにならどうだろうね?

「江兄には内緒にするから、僕ともしてよ、、、、、当たり前か! 極秘だよね!」

にいさまの足元に座り込み、白装束の裾を捲る。

「一回抱かれてみたかったんだ〜 魏兄が含光君の陽物の話をばっかするからさ〜 きっと にいさまも巨陽なんだろうなって!」

大きな音とともに床に打ち付けられる僕。

同時に雷音が轟く。

ビリビリと大地は震え、僕のイチモツも頭をもたげる。

江兄、、、、貴方の男は一度の交わりじゃ足らなかったようだよ。。。。。。



※フィクションでえす
※しーほわですよ Rしじぇ 哈哈哈😆
※Yは双聶派